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#1 レツオウガ起動
Chapter02 凪守 02-03
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「あ、これはご丁寧に……って、五辻?」
思わず、風葉は辰巳の姿を探す。いつの間にか右手側の長ソファに腰掛けていた辰巳は、先んじて頷く。
「ああ。俺の――保護者、だな」
家族、とは言わない曖昧な返答。風葉も二人の顔を見比べるが、確かに似ているとは言えない。
何か、事情があるのだろう。
「あ、の」
「それはともかくとして辰巳、いつまで僕を待たせる気だい?」
詰まってしまった風葉の言葉を遮るように、今度は左手側のソファに座る男が声を上げた。
男、といってもとにかく若い。少年と言っても良いくらいに若い。間違いなく風葉より三つは下の外見だ。
一応凪守の制服を着てはいるが、サイズがあっていないのか袖の辺りがぶかぶかしている。
シミどころかホクロ一つ見当たらない肌は、白磁、と言うより病的なまでに真っ白い。だがそれがかえって紫色の短い猫っ毛と、大きな金色の瞳を浮き彫りにしている。
鼻梁は当然のように細く高く、その下にある小さな唇は鮮血のように艶やかな赤。
そんな、控えめに言っても美少年と呼んで差し支えない彼は今、尊大に腕と足を組みながら辰巳に流し目を向けていた。
どうにも漂っている奇妙な色気にドギマギする風葉だったが、それを向けられた当の辰巳は大した感慨もなく、軽いため息すらつきながらビニール袋を持ち上げる。
「これだろ、冥」
言いつつ、辰巳はテーブルの上にビニール袋の中身――すなわち、桜餅のパックを置いた。
「……と、言う事は、キミがファントム3?」
目を丸くする風葉。
確かに通信越しに聞こえた声は若そうだったが、それにしてもここまでだとは思わなかったのだ。
「冥・ローウェルだ」
と、端的に名乗った冥は満足そうに桜餅を眺めつつ、しかし手を出そうとはしない。
「食べないのか?」
ビニール袋を折り畳む辰巳に、冥はフンと鼻を鳴らす。
「解ってないな。和菓子は緑茶という相方があってこそ本当の輝きを見せるのだ」
「ああそう。雷蔵さん待ちな」
さした感慨もなく、小さくなったビニール袋をポケットにしまう辰巳。丁度その時、司令室のドアが開いて雷蔵が入ってきた。
「おう、待たせたのう」
左手にポット、右手に急須やら湯飲みと言ったお茶セット一式が乗るお盆を持った雷蔵は、テキパキとお茶の準備をしてから辰巳の隣に腰を下ろす。ちなみにお茶菓子は辰巳の買ってきた桜餅である。
かくして満席となった応接スペースで、巌はお茶を一啜りする。
「なーんか面接みたいだねー」
「それにしちゃ人数多すぎだろ」
まぁねー、と辰巳の指摘を受け流し、巌はソファ脇においてあったブリーフケースへ手を伸ばす。
思わず、風葉は辰巳の姿を探す。いつの間にか右手側の長ソファに腰掛けていた辰巳は、先んじて頷く。
「ああ。俺の――保護者、だな」
家族、とは言わない曖昧な返答。風葉も二人の顔を見比べるが、確かに似ているとは言えない。
何か、事情があるのだろう。
「あ、の」
「それはともかくとして辰巳、いつまで僕を待たせる気だい?」
詰まってしまった風葉の言葉を遮るように、今度は左手側のソファに座る男が声を上げた。
男、といってもとにかく若い。少年と言っても良いくらいに若い。間違いなく風葉より三つは下の外見だ。
一応凪守の制服を着てはいるが、サイズがあっていないのか袖の辺りがぶかぶかしている。
シミどころかホクロ一つ見当たらない肌は、白磁、と言うより病的なまでに真っ白い。だがそれがかえって紫色の短い猫っ毛と、大きな金色の瞳を浮き彫りにしている。
鼻梁は当然のように細く高く、その下にある小さな唇は鮮血のように艶やかな赤。
そんな、控えめに言っても美少年と呼んで差し支えない彼は今、尊大に腕と足を組みながら辰巳に流し目を向けていた。
どうにも漂っている奇妙な色気にドギマギする風葉だったが、それを向けられた当の辰巳は大した感慨もなく、軽いため息すらつきながらビニール袋を持ち上げる。
「これだろ、冥」
言いつつ、辰巳はテーブルの上にビニール袋の中身――すなわち、桜餅のパックを置いた。
「……と、言う事は、キミがファントム3?」
目を丸くする風葉。
確かに通信越しに聞こえた声は若そうだったが、それにしてもここまでだとは思わなかったのだ。
「冥・ローウェルだ」
と、端的に名乗った冥は満足そうに桜餅を眺めつつ、しかし手を出そうとはしない。
「食べないのか?」
ビニール袋を折り畳む辰巳に、冥はフンと鼻を鳴らす。
「解ってないな。和菓子は緑茶という相方があってこそ本当の輝きを見せるのだ」
「ああそう。雷蔵さん待ちな」
さした感慨もなく、小さくなったビニール袋をポケットにしまう辰巳。丁度その時、司令室のドアが開いて雷蔵が入ってきた。
「おう、待たせたのう」
左手にポット、右手に急須やら湯飲みと言ったお茶セット一式が乗るお盆を持った雷蔵は、テキパキとお茶の準備をしてから辰巳の隣に腰を下ろす。ちなみにお茶菓子は辰巳の買ってきた桜餅である。
かくして満席となった応接スペースで、巌はお茶を一啜りする。
「なーんか面接みたいだねー」
「それにしちゃ人数多すぎだろ」
まぁねー、と辰巳の指摘を受け流し、巌はソファ脇においてあったブリーフケースへ手を伸ばす。
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