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#1 レツオウガ起動
Chapter02 凪守 02-10
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思わず頭上に手を伸ばす風葉だったが、今そこに犬耳は銀髪共々存在していない。仮に見えていたとしても、今の風葉には触れなかっただろうが。
「もっとも、今の霧宮くんには無理だよ。色々と手順があるからね」
「ほれ四杯目」
「あんがとさん……さて、後はフェンリルでRフィールドを使い切ってしまえば危機は去るワケだけど、簡単にはいかなかった。何せ安定化って言っても、その手段は『世界規模で北欧神話系の術式を抑制する結界を張る』っていう荒療治だったからねー」
「……?」
いまいち説明が飲み込めず首を傾げる風葉に、辰巳が横から補足する。
「つまり、北欧神話そのものに妨害電波をぶつけたのさ。山火事を消すために、その山一帯から酸素を消し飛ばしたようなもんかな」
「けど、そんな事をすれば山の生き物もみんな死んじゃうよねー。それと同じでさ、今現在、北欧神話系統の術式はほとんど使えなくなっちゃってるんだよねー。他の術式を試そうって話もあるんだけど、それで安定が崩れたら元の木阿弥だから、こんな現状で落ち着いちゃってるワケだ」
はぁ、と頷く事しか出来ない風葉。
「でも、私のコレは、そのフェンリルなんですよね?」
「そ、どういうワケかね。凪守としてもそれを見逃す理由は無くてさー。だからただ祓うんじゃなくて、抽出したいワケなのさ」
「……そう、ですか」
むむ、と微妙な顔で考え込む風葉。さもあらん、すぐさまおさらば出来ると思っていた犬耳銀髪と、まだ向き合わねばならなくなったのだから。
そんな心境を察したのか、巌ははたはたと手を振る。
「あー、心配はいらないよ。グレイプニルの効力がある限り、憑依状態が現状を超える事はありえないからねー」
「そもそも、霧宮さんの憑依状態はかなり浅いよ。完全に憑依が進行すれば耳が触れるようになったり、目の色が変わったり、尻尾が生えたりする筈だし」
「うむ。仮に外しとったとしても、自分から『力が欲しい』と強く願いでもせん限りは変わらんはずじゃぞ」
「あ、そうなんだ」
でも尻尾が生えたらもふもふだったのかなぁ、と思うと少し残念な気もする風葉だった。
「もっとも、今の霧宮くんには無理だよ。色々と手順があるからね」
「ほれ四杯目」
「あんがとさん……さて、後はフェンリルでRフィールドを使い切ってしまえば危機は去るワケだけど、簡単にはいかなかった。何せ安定化って言っても、その手段は『世界規模で北欧神話系の術式を抑制する結界を張る』っていう荒療治だったからねー」
「……?」
いまいち説明が飲み込めず首を傾げる風葉に、辰巳が横から補足する。
「つまり、北欧神話そのものに妨害電波をぶつけたのさ。山火事を消すために、その山一帯から酸素を消し飛ばしたようなもんかな」
「けど、そんな事をすれば山の生き物もみんな死んじゃうよねー。それと同じでさ、今現在、北欧神話系統の術式はほとんど使えなくなっちゃってるんだよねー。他の術式を試そうって話もあるんだけど、それで安定が崩れたら元の木阿弥だから、こんな現状で落ち着いちゃってるワケだ」
はぁ、と頷く事しか出来ない風葉。
「でも、私のコレは、そのフェンリルなんですよね?」
「そ、どういうワケかね。凪守としてもそれを見逃す理由は無くてさー。だからただ祓うんじゃなくて、抽出したいワケなのさ」
「……そう、ですか」
むむ、と微妙な顔で考え込む風葉。さもあらん、すぐさまおさらば出来ると思っていた犬耳銀髪と、まだ向き合わねばならなくなったのだから。
そんな心境を察したのか、巌ははたはたと手を振る。
「あー、心配はいらないよ。グレイプニルの効力がある限り、憑依状態が現状を超える事はありえないからねー」
「そもそも、霧宮さんの憑依状態はかなり浅いよ。完全に憑依が進行すれば耳が触れるようになったり、目の色が変わったり、尻尾が生えたりする筈だし」
「うむ。仮に外しとったとしても、自分から『力が欲しい』と強く願いでもせん限りは変わらんはずじゃぞ」
「あ、そうなんだ」
でも尻尾が生えたらもふもふだったのかなぁ、と思うと少し残念な気もする風葉だった。
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