神影鎧装レツオウガ【小編リマスター版】 #1

横島孝太郎

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#1 レツオウガ起動

Chapter02 凪守 03-02

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「機密対魔機関凪守__なぎもり__#、特殊対策即応班『ファントム・ユニット』所属、ファントム4」
 左手首のEマテリアルを掲げ、朗々と名乗りを上げるファントム4こと辰巳。
「「GIIIIIIIIッ!」」
 人語を解しているのかどうか怪しい相手ではあったが、どうやら宣戦布告の意志を受け取る本能はあったらしい。ない交ぜになった咆哮と骨の軋みを上げながら、突撃を開始する竜牙兵団。盾を構え、横一列に隊を揃えるその様は、まさに古代ローマの密集陣形__ファランクス__#だ。もっともそう言うには盾はいささか小さく、槍類も一切存在しないのだが。
「スペクター以上に話が通じないな……ま、そもそも聞く耳が無いか」
 どうあれ、その密集陣形に対して辰巳が撮る手段は一つだ。
「なら、容赦の必要も無いな」
 最後通牒代わりのバイザーを下ろし、辰巳は竜牙兵団との距離を目算。
 こちらは拳、向こうは剣。白兵戦が始まるのは必定の理だが、その前に少しでも敵の頭数を減らす事を辰巳は選んだ。
「セット! ハンドガン!」
『Roger Handgun Etherealize』
 辰巳の指示に応じ、左手首のEマテリアルが青い光を投射。義手上に編み上げられる青色のワイヤーフレームを、辰巳は右手で無造作に掴み取る。
 直後、ワイヤーフレームは辰巳の命令通りに銀色の自動拳銃__ハンドガン__#として実体化した。サイズこそ違えど、オウガにも搭載されていた術式、霊力武装である。
 先日学校で戦った時に使わなかったのは、万が一にも風葉への跳弾を防ぐためと、捕えられた泉__いずみ__#にケガを負わせないためだ。
 だが、今ここには辰巳しかいない。そんな心配をする必要は微塵も無い。
 故に辰巳はバイザーのシステムに照準を任せ、宣言通りに容赦なく引き金を引いた。
 一つ、二つ、三つ、四つ。
 マズルフラッシュが幻燈結界を照らすたび、銃声がアスファルトに跳ねるたび、竜牙兵団は一体、また一体と数を減らしていく。
 実在する銃器とは違い、霊力で編まれた自動拳銃に弾切れは無い。一応弾の種類を変える為に術式の弾倉__カートリッジ__#を変える機能はあるが、今は必要ない。
「GIIIIIIIIIッ!!!」
 だが、そもそもこの程度の火力で竜牙兵団を止められる筈も無い。道の向こうから、ブロック塀の影から、電灯に集まる虫のようにうじゃうじゃと集まってくるのだ。
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