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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 02-02
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「泉さんを待ってるのか」
「いつもはそうしてるんだけどね。今日は先に行ってもらったよ」
「そうかい」
にべもなく顔を背け、玄関へ向かって歩き出す辰巳。
「ちょっと待ってよ」
その正面に回り込み、風葉は辰巳の登校を引き留める。
「私が待ってたのは、五辻くんだよ」
「昨日も聞いたなそのセリフ。まだ何か聞きたいってのか」
す、と辰巳の目が少し細まる。まるで敵を睨め付けるかのように。
だが風葉は引かない。逆に、真っ向からその視線を見返す。
「逆だよ。私は、五辻くんに言いたい事があるの」
半ば睨んでくるような、上目遣いの視線。
戸惑いはあっても、それでも自分を貫こうとする意志の強さが、瞳の中にあった。
知らず、辰巳は片眉をつり上げる。
「……手短に頼みたいもんだな。八時まであと十分も無い」
「ん、分かってる。そんな時間がかかるもんじゃないよ……でも、ちょっと待ってね」
言うなり風葉は目を閉じて、深く息を吸い、吐いた。
更にもう一度吸い、吐いた。
深呼吸である。
「……なんかのまじないか?」
「ちょっと緊張しちゃってさ。もうちょい待って」
「はぁ」
気の抜けた溜息をつく辰巳とは対照的に、風葉の表情は割と真剣だ。考えをまとめたり、心を落ち着けたりしているのだろう。
少々手持ち無沙汰な辰巳は、何気なく玄関を眺めた。
ガラス戸の向こうにあるのは、朝日に照らされるひび割れたアスファルト。その隙間から顔を出すたくましい雑草。かさかさの白線に沿って止められている寮長の軽乗用車。
そして、季節感を無視した白いコートの白人男性。
「――、」
その顔を、辰巳は良く知っていた。
驚愕する辰巳を余所に、風葉はよし、とつぶやく。どうやら精神統一がようやく終わったらしい。
「私はね、五辻く……ん?」
風葉は言葉に詰まった。
言いたい事を見失ってしまったから、では無い。
辰巳の視線が、自分を見ていなかったからだ。
「ちょ、ちょっと五辻くん? ちゃんと聞いてよ」
「……悪いがその話、放課後にしてくれるか。急用が出来たんでな」
口調こそ変わらないが、辰巳の目は先ほど以上に鋭さを増している。
思わず、風葉もその視線を追う。
ガラス戸の向こう。時代錯誤な白いコートの男が、朝日の下で笑っている。
その男に、風葉も見覚えがあった。先日、巌に渡された資料に載っていた写真の男だ。
「いつもはそうしてるんだけどね。今日は先に行ってもらったよ」
「そうかい」
にべもなく顔を背け、玄関へ向かって歩き出す辰巳。
「ちょっと待ってよ」
その正面に回り込み、風葉は辰巳の登校を引き留める。
「私が待ってたのは、五辻くんだよ」
「昨日も聞いたなそのセリフ。まだ何か聞きたいってのか」
す、と辰巳の目が少し細まる。まるで敵を睨め付けるかのように。
だが風葉は引かない。逆に、真っ向からその視線を見返す。
「逆だよ。私は、五辻くんに言いたい事があるの」
半ば睨んでくるような、上目遣いの視線。
戸惑いはあっても、それでも自分を貫こうとする意志の強さが、瞳の中にあった。
知らず、辰巳は片眉をつり上げる。
「……手短に頼みたいもんだな。八時まであと十分も無い」
「ん、分かってる。そんな時間がかかるもんじゃないよ……でも、ちょっと待ってね」
言うなり風葉は目を閉じて、深く息を吸い、吐いた。
更にもう一度吸い、吐いた。
深呼吸である。
「……なんかのまじないか?」
「ちょっと緊張しちゃってさ。もうちょい待って」
「はぁ」
気の抜けた溜息をつく辰巳とは対照的に、風葉の表情は割と真剣だ。考えをまとめたり、心を落ち着けたりしているのだろう。
少々手持ち無沙汰な辰巳は、何気なく玄関を眺めた。
ガラス戸の向こうにあるのは、朝日に照らされるひび割れたアスファルト。その隙間から顔を出すたくましい雑草。かさかさの白線に沿って止められている寮長の軽乗用車。
そして、季節感を無視した白いコートの白人男性。
「――、」
その顔を、辰巳は良く知っていた。
驚愕する辰巳を余所に、風葉はよし、とつぶやく。どうやら精神統一がようやく終わったらしい。
「私はね、五辻く……ん?」
風葉は言葉に詰まった。
言いたい事を見失ってしまったから、では無い。
辰巳の視線が、自分を見ていなかったからだ。
「ちょ、ちょっと五辻くん? ちゃんと聞いてよ」
「……悪いがその話、放課後にしてくれるか。急用が出来たんでな」
口調こそ変わらないが、辰巳の目は先ほど以上に鋭さを増している。
思わず、風葉もその視線を追う。
ガラス戸の向こう。時代錯誤な白いコートの男が、朝日の下で笑っている。
その男に、風葉も見覚えがあった。先日、巌に渡された資料に載っていた写真の男だ。
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