神影鎧装レツオウガ【小編リマスター版】 #1

横島孝太郎

文字の大きさ
85 / 162
#1 レツオウガ起動

Chapter03 魔狼 02-04

しおりを挟む
「待たせたな、ちょいと立て込んでてよ」
「お構いなく。こちらとしても幻燈結界は欲しかったのでねぇ。これから色々と荒事をする予定ですし」
 余裕の笑みすら浮かべるギノアに、辰巳は真正面から相対する。
 距離、およそ十五メートル。薄墨に染まる風景の中で、それでも色を保っている二人の視線が交錯する。
「散歩コースだってんなら道を間違えてるぜ。文化祭でも無い限り、日乃栄高校は基本的に関係者以外立ち入り禁止だ」
「ほほう、そうでしたか。それは申し訳なく思いますが、私にも目的がありましてねぇ」
「内容次第じゃ手伝ってやらなくもないぞ。立ち話も何だし、見晴らしの良い所に案内しようじゃないか。成層圏の上とかオススメだな」
 にやりと口の端をつり上げながら、辰巳は目の前の敵を鋭く睨む。その一挙手一投足を絶対に見逃さない為に。
 対するギノアは一歩も動かない。ただ笑顔の中に、僅かな困惑が混じるのみだ。
「せっかくのお誘いですが、お断りしますよ。後ろ手に縛られたら何も出来ませんし、何よりもここで、この状況でやる事にこそ意義があるのです」
 淀みなく放たれる回答。それを構成する単語の中に、辰巳は明確な拒絶と宣戦布告を見た。
「今、ここで、か。何をする気だ」
「夢を叶えるのですよ。前にも言ったでしょう?」
「そうだったな。で、その為に何が必要だ? なぜ日乃栄高校を選んだ?」
「それは簡単ですよ。大量の霊力と、ファントム・ユニット4番の排除が必要だったと言うだけです」
 さらりと、ギノアは言い放った。
 五辻辰巳を殺す、と。
「……何のために」
「さぁて。どうしてでしょうねぇ」
 言いつつ、ギノアは戦闘態勢に入る。
 コートに縫い付けられた青い刺繍――何らかの術式が光を帯び、更にゆったりした袖の中から短い杖が姿を現す。
「まぁ、こちらから言いたい事は一つだけです。死んで頂けませんかねぇ?」
 未だ浮かぶ笑みの下に明確な敵意を覗かせながら、ギノアは杖を打ち下ろした。アスファルトを叩く石突が、カン、と無機質な音を鳴らす。
「俺が狙い、か」
 辰巳は鼻を鳴らした。
 狙いは風葉フェンリルでは無い。その事実に、辰巳は少し安堵する。
 安堵しながら、左手刀をギノアへ突きつけ、袖をまくり、肘を基点に振り上げる。
 顔を出す腕時計。その文字盤を、辰巳は下へスライド。
「セット、プロテクター」
『Roger Get Set Ready』
 未だに崩さぬギノアの薄笑いを睨みながら、辰巳は叫ぶ。
「ファントム4! 鎧装展開ッ!」
 放たれる指示、展開する術式。
 白光と共に制服は消失し、入れ替わるように現れた漆黒のプロテクターと銀色の左腕が、辰巳の身体を包み込む。
「ファントム4、着装完了」
 全ての疑念を振り払いながら、辰巳はゆるりと半身に構える。
 左腕を盾のごとく前面に構えた、いつもの戦闘態勢。
 もはや辰巳の思考には、眼前の敵を打ち倒す事しかない。
 対するギノアの脳裏にも、夢の障害を排除する事しかない。
 両者の間に言葉は無く、けれども交錯する闘志は雄弁に全てを物語っていて。
「ならばその夢とやらを、今、ここで終わらせる」
 かくして開かれる戦端が、幻燈結界を揺るがした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活

まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳 様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。 子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開? 第二巻は、ホラー風味です。 【ご注意ください】 ※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます ※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります ※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます 第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。 この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。 表紙イラストはAI作成です。 (セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ) 題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作
ミステリー
 窓辺野コトリは、窓辺野不動産の社長令嬢である。誰もが羨む悠々自適な生活を送っていた彼女には、ちょっとだけ――ほんのちょっとだけ、人がドン引きしてしまうような趣味があった。  事故物件に異常なほどの執着――いや、愛着をみせること。むしろ、性的興奮さえ抱いているのかもしれない。  不動産会社の令嬢という立場を利用して、事故物件を転々とする彼女は、いつしか【ロンダリングプリンセス】と呼ばれるようになり――。  これは、事故物件を心から愛する、ちょっとだけ趣味の歪んだ御令嬢と、それを取り巻く個性豊かな面々の物語。  ※本作品は他作品【猫屋敷古物商店の事件台帳】の精神的続編となります。本作から読んでいただいても問題ありませんが、前作からお読みいただくとなおお楽しみいただけるかと思います。

処理中です...