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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 03-01
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爆音が、薄墨の結界を揺るがす。
間断なく続く轟音の連鎖は、ギノアが放つ霊力弾の炸裂だ。
「ハハハァ! どうしました!?」
掲げられた杖の先端、はめ込まれた赤い宝玉が光る度、射出される光弾が辰巳目がけて唸りを上げる。上げる。上げ続ける。
秒刻みで放たれる光の弾幕は、数も速度も威力でさえも衰える事を知らない。もしも幻燈結界が無ければ、翠明寮は三十秒もしないうちに穴だらけの瓦礫と成り果てていただろう。
さながら、拳銃感覚で乱発されるロケットランチャーだ。
「ち、ぃ」
対する辰巳は先程から防戦一方に立たされていた。
ギノアの周囲を旋回するように走り回り、照準を可能な限り攪乱。更に左の手甲を用いた最小限の打突で、辰巳は光弾を巧みに打ち払い続ける。
戦闘が開始して既に五分近く経過しているが、辰巳が得意とする鉄拳は、未だ振るわれてない。今し方のような打ち払いに使われているのみだ。
原因はごく単純。間合いが遠いのだ。
辰巳は体術を得意とする、格闘戦のスペシャリストだ。こと接近戦において、辰巳が後れを取る事はそうそう無い。
だが逆に言えば、実力を発揮できるのは間合いの内側でしかないという事にもなる。その外側、つまり踏み込みが届かなければ、辰巳は体術を発揮できないのだ。
そしてギノアは先程から弾幕を張りつつ、辰巳と一定の距離を保ち続けている。
その距離、十五メートル。当然、どんなに伸ばそうと腕が届く距離では無い。
さりとて戦闘モードなのだから、全力で走れば二秒もかからないだろう。が、その二秒をギノアは的確に阻むのだ。先日のリザードマンやフェンリル化していた時の戦闘データを元に、こうした戦法と術式を用意してきたのだろう。
更に光弾以外にも、辰巳が白兵戦に持ち込めない理由がもう一つあった。
「――今、だっ!」
僅かな弾幕の隙をかいくぐり、辰巳はギノアへ突貫。滑るように走る辰巳の影が、幻燈結界に黒い軌跡を刻む。
「破ッ!」
放たれた鉄拳が銀色に閃き――しかし、打ったのは僅かに空気のみ。空振りである。
「ハハ! いやはや、危ないですねぇ!」
ギノアの哄笑は、辰巳の頭上から落ちてくる。
見上げれば、ギノアは日乃栄高校に続く通路の方向へ、大きく飛び退っていた。
更にギノアはそのまま、近くにあった電柱の足場用ボルトへふわりと着地する。風を抱くコートは大きくはためき、全身の青い刺繍が霊力の光を帯びて輝いていた。
間断なく続く轟音の連鎖は、ギノアが放つ霊力弾の炸裂だ。
「ハハハァ! どうしました!?」
掲げられた杖の先端、はめ込まれた赤い宝玉が光る度、射出される光弾が辰巳目がけて唸りを上げる。上げる。上げ続ける。
秒刻みで放たれる光の弾幕は、数も速度も威力でさえも衰える事を知らない。もしも幻燈結界が無ければ、翠明寮は三十秒もしないうちに穴だらけの瓦礫と成り果てていただろう。
さながら、拳銃感覚で乱発されるロケットランチャーだ。
「ち、ぃ」
対する辰巳は先程から防戦一方に立たされていた。
ギノアの周囲を旋回するように走り回り、照準を可能な限り攪乱。更に左の手甲を用いた最小限の打突で、辰巳は光弾を巧みに打ち払い続ける。
戦闘が開始して既に五分近く経過しているが、辰巳が得意とする鉄拳は、未だ振るわれてない。今し方のような打ち払いに使われているのみだ。
原因はごく単純。間合いが遠いのだ。
辰巳は体術を得意とする、格闘戦のスペシャリストだ。こと接近戦において、辰巳が後れを取る事はそうそう無い。
だが逆に言えば、実力を発揮できるのは間合いの内側でしかないという事にもなる。その外側、つまり踏み込みが届かなければ、辰巳は体術を発揮できないのだ。
そしてギノアは先程から弾幕を張りつつ、辰巳と一定の距離を保ち続けている。
その距離、十五メートル。当然、どんなに伸ばそうと腕が届く距離では無い。
さりとて戦闘モードなのだから、全力で走れば二秒もかからないだろう。が、その二秒をギノアは的確に阻むのだ。先日のリザードマンやフェンリル化していた時の戦闘データを元に、こうした戦法と術式を用意してきたのだろう。
更に光弾以外にも、辰巳が白兵戦に持ち込めない理由がもう一つあった。
「――今、だっ!」
僅かな弾幕の隙をかいくぐり、辰巳はギノアへ突貫。滑るように走る辰巳の影が、幻燈結界に黒い軌跡を刻む。
「破ッ!」
放たれた鉄拳が銀色に閃き――しかし、打ったのは僅かに空気のみ。空振りである。
「ハハ! いやはや、危ないですねぇ!」
ギノアの哄笑は、辰巳の頭上から落ちてくる。
見上げれば、ギノアは日乃栄高校に続く通路の方向へ、大きく飛び退っていた。
更にギノアはそのまま、近くにあった電柱の足場用ボルトへふわりと着地する。風を抱くコートは大きくはためき、全身の青い刺繍が霊力の光を帯びて輝いていた。
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