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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 04-05
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そんな必勝の根幹であるらしい術式――つい先ほどまでレイキャビクのアパートに刻まれていた図形群は、ギノアを乗せながら地上五メートル程の高さを浮遊している。さながら光の絨毯だ。
色は赤。厚さは数ミリ。数分前まで×印を描いていた術式は、Rフィールド展開指令に伴い、回路を増加させていた。
蛇腹を開くように、一瞬で展開した半径五メートルほどの円陣。長大な×印の術式に支えられているようにも見えるその様は、さながら蜘蛛の巣だ。
だがその巣は獲物を絡め取る事をせず、逆に外周部から莫大な霊力を放射した。
瀑布のように放たれた霊力は、渦巻きながら幻燈結界を覆い尽くし――ものの数秒で一帯を赤き終末の世界、Rフィールドへ変貌させたのだ。
「コイツは、一体」
「ハッハハ! 驚くのはまだまだ早いですよぉ?」
眼下の辰巳を笑顔で見下ろし、ギノアはぱきりと指を鳴らす。
「本番は、これからですからねぇ!」
蜘蛛の巣が震える。Rフィールドを放射したのとは、また別の術式が起動したのだ。
今度は銀に変色し、力を蓄えるように光を強める蜘蛛の巣術式。その光の中に、辰巳は見た。
「……なんだ、あれは」
ギノアの足下。逆光に浮き彫られた小さな箱が、術式の鳴動に合わせて輝いているのを。
表面に葉脈のような輝きを走らせるこの箱こそ、レイキャビクでサトウに渡された霊力増幅器であり、まさに術式の心臓部であった。
もっとも、辰巳にそんな事は分かるべくもない。見当すらつけられないのが現状だ。
だが、だからといって放置する理由が無いのもまた事実。
「だったら迷わず先手を、撃つ!」
コンマ一秒で脳内の驚愕を塗りつぶし、辰巳は先程構築したハンドガンを照準、連射。
術式とギノア本人、二つの標的を狙って放たれる六発の弾丸。
しかして、その全弾は当たらない。ギノアは僅かに身をかがめて足場の巣を盾にし、盾は何発当たろうがビクともしない。防御術式でもないのに傷ひとつつかないあたり、よほど高密度の霊力が込められているようだ。
「ち、ぃ」
「はははァ! 無駄! 無駄ですよォ! ……うん?」
舌打つ辰巳を見下しながらの高笑いを中断し、ギノアは懐から通信機を取り出す。
相手は、まだレイキャビクにいるサトウからであった。
色は赤。厚さは数ミリ。数分前まで×印を描いていた術式は、Rフィールド展開指令に伴い、回路を増加させていた。
蛇腹を開くように、一瞬で展開した半径五メートルほどの円陣。長大な×印の術式に支えられているようにも見えるその様は、さながら蜘蛛の巣だ。
だがその巣は獲物を絡め取る事をせず、逆に外周部から莫大な霊力を放射した。
瀑布のように放たれた霊力は、渦巻きながら幻燈結界を覆い尽くし――ものの数秒で一帯を赤き終末の世界、Rフィールドへ変貌させたのだ。
「コイツは、一体」
「ハッハハ! 驚くのはまだまだ早いですよぉ?」
眼下の辰巳を笑顔で見下ろし、ギノアはぱきりと指を鳴らす。
「本番は、これからですからねぇ!」
蜘蛛の巣が震える。Rフィールドを放射したのとは、また別の術式が起動したのだ。
今度は銀に変色し、力を蓄えるように光を強める蜘蛛の巣術式。その光の中に、辰巳は見た。
「……なんだ、あれは」
ギノアの足下。逆光に浮き彫られた小さな箱が、術式の鳴動に合わせて輝いているのを。
表面に葉脈のような輝きを走らせるこの箱こそ、レイキャビクでサトウに渡された霊力増幅器であり、まさに術式の心臓部であった。
もっとも、辰巳にそんな事は分かるべくもない。見当すらつけられないのが現状だ。
だが、だからといって放置する理由が無いのもまた事実。
「だったら迷わず先手を、撃つ!」
コンマ一秒で脳内の驚愕を塗りつぶし、辰巳は先程構築したハンドガンを照準、連射。
術式とギノア本人、二つの標的を狙って放たれる六発の弾丸。
しかして、その全弾は当たらない。ギノアは僅かに身をかがめて足場の巣を盾にし、盾は何発当たろうがビクともしない。防御術式でもないのに傷ひとつつかないあたり、よほど高密度の霊力が込められているようだ。
「ち、ぃ」
「はははァ! 無駄! 無駄ですよォ! ……うん?」
舌打つ辰巳を見下しながらの高笑いを中断し、ギノアは懐から通信機を取り出す。
相手は、まだレイキャビクにいるサトウからであった。
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