100 / 162
#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 05-02
しおりを挟む
掲げられた左腕Eマテリアルから、まっすぐに放たれる青い光。安全装置解除のシグナルであるその青は、紫色の円陣越しにオウガローダーのコクピットへと着信。
合図を受け取ったオウガローダーは鋼の心臓を脈打たせ、真正面に穿たれた紫色の門へと突っ込む。
暗い門を潜る時間は、僅かに一秒。
利英の改変によってディティールこそ多少違うが、色は変わらぬ紫色の出口を抜ければ、そこはもう日乃栄高校のグラウンドだ。
先日キクロプスと対峙した時のように、神影鎧装の真向かいへ停車するオウガローダー。
ぶわりと風を叩きつける巨大なバンパーを背に、辰巳は己の大鎧装へシステム起動を告げる。
「モードチェンジ、スタンバイ」
『Roger Silhouette Frame Mode Ready』
通常では使われない変形用の機構が熱を帯び、循環する霊力が辰巳のバイザーにコンディションを転送。
オールグリーン、準備完了。そして、辰巳は叫んだ。
「オウガローダーッ! シルエットモードッ!」
轟、と。パイロットの指令を受け、オウガローダーが立ち上がる。
寄せ木細工のように装甲がスライド、姿を現しつつ組み上がっていく鋼鉄の足、腕、胴体。
そんな鋼鉄の上を、辰巳は待つのももどかしく跳び上っていく。律儀に牽引ビームを待っていて、ギノアの神影鎧装に隙を突かれては泣くに泣けない。
「……うん?」
そうしてオウガのコクピットに着地した辰巳は、いつものコンソールの背後に妙なモノを見つけた。
床面に据え付けられた、一メートル四方の小さなシャッター。先日は影も形も無かったモノだ。枠外に小さく書かれた注釈から察するに、その下にあるのは多分内部機構へのコネクターだろう。
「へぇ。レツオウガとかいうヤツの再現、ホントに出来たのか」
――二年前。まだ五辻辰巳という仮の名ですら無かった頃。
現在仮設のコクピットが設置されているこの場所に、かつて合体していたコアユニット。それがどんな形状だったかは聞いた事も無いが、とにかくその機能を再現するための素地は整ったらしい。
だが果たして、それを披露する機会は訪れるのだろうか。
「……ち」
半ば叩きつけるような勢いで、辰巳は左腕をコンソールと接続。
各種制御システムが起動し、バイザーの内側に各種パラメータが表示。同時に左腕を基点として霊力の流れが拡張し、辰巳はオウガと同調開始。
『Get Set Ready』
黒色をしたプロテクターの表面に光の紋様――同調を示す術式が刻まれ、機体各所のEマテリアルとリンクが確立。
「大鎧装! 展開ッ!」
起動キーワードを言い放つ辰巳。直後に光のワイヤーフレームがコクピット全体を包み、更にオウガ頭部の骨組みを瞬く間に編み上げる。
その編み目越しにギノアを見やれば、向こうの神影鎧装も完成目前であった。白い影が、輝く光が、神の姿を赤色の空に投射している。
そんな光と霊力の隙間から、両者は互いを垣間見た。
言葉はない。そもそも届く距離ではない。
ただ、辰巳は睨みながら、ギノアは笑いながら。
両者は、術式に完成の指令を告げた。
合図を受け取ったオウガローダーは鋼の心臓を脈打たせ、真正面に穿たれた紫色の門へと突っ込む。
暗い門を潜る時間は、僅かに一秒。
利英の改変によってディティールこそ多少違うが、色は変わらぬ紫色の出口を抜ければ、そこはもう日乃栄高校のグラウンドだ。
先日キクロプスと対峙した時のように、神影鎧装の真向かいへ停車するオウガローダー。
ぶわりと風を叩きつける巨大なバンパーを背に、辰巳は己の大鎧装へシステム起動を告げる。
「モードチェンジ、スタンバイ」
『Roger Silhouette Frame Mode Ready』
通常では使われない変形用の機構が熱を帯び、循環する霊力が辰巳のバイザーにコンディションを転送。
オールグリーン、準備完了。そして、辰巳は叫んだ。
「オウガローダーッ! シルエットモードッ!」
轟、と。パイロットの指令を受け、オウガローダーが立ち上がる。
寄せ木細工のように装甲がスライド、姿を現しつつ組み上がっていく鋼鉄の足、腕、胴体。
そんな鋼鉄の上を、辰巳は待つのももどかしく跳び上っていく。律儀に牽引ビームを待っていて、ギノアの神影鎧装に隙を突かれては泣くに泣けない。
「……うん?」
そうしてオウガのコクピットに着地した辰巳は、いつものコンソールの背後に妙なモノを見つけた。
床面に据え付けられた、一メートル四方の小さなシャッター。先日は影も形も無かったモノだ。枠外に小さく書かれた注釈から察するに、その下にあるのは多分内部機構へのコネクターだろう。
「へぇ。レツオウガとかいうヤツの再現、ホントに出来たのか」
――二年前。まだ五辻辰巳という仮の名ですら無かった頃。
現在仮設のコクピットが設置されているこの場所に、かつて合体していたコアユニット。それがどんな形状だったかは聞いた事も無いが、とにかくその機能を再現するための素地は整ったらしい。
だが果たして、それを披露する機会は訪れるのだろうか。
「……ち」
半ば叩きつけるような勢いで、辰巳は左腕をコンソールと接続。
各種制御システムが起動し、バイザーの内側に各種パラメータが表示。同時に左腕を基点として霊力の流れが拡張し、辰巳はオウガと同調開始。
『Get Set Ready』
黒色をしたプロテクターの表面に光の紋様――同調を示す術式が刻まれ、機体各所のEマテリアルとリンクが確立。
「大鎧装! 展開ッ!」
起動キーワードを言い放つ辰巳。直後に光のワイヤーフレームがコクピット全体を包み、更にオウガ頭部の骨組みを瞬く間に編み上げる。
その編み目越しにギノアを見やれば、向こうの神影鎧装も完成目前であった。白い影が、輝く光が、神の姿を赤色の空に投射している。
そんな光と霊力の隙間から、両者は互いを垣間見た。
言葉はない。そもそも届く距離ではない。
ただ、辰巳は睨みながら、ギノアは笑いながら。
両者は、術式に完成の指令を告げた。
0
あなたにおすすめの小説
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。
この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
「ただの経費削減ですが?」 銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです
架木 空
SF
日本の企業で総務として働く星野明日虎(32歳)は、ある日突然、見知らぬ宇宙の帝国へと転移してしまう。彼が配属されたのは、整理整頓もままならない「銀河最弱」の補給艦隊だった!
ひょんなことから戦艦の艦長に任命されてしまった明日虎だが、宇宙の戦い方など全く分からない。そこで彼が武器にしたのは、長年の社畜生活で培った「経費削減」と「在庫管理」のスキルだった。
「弾薬の無駄遣い禁止!」「エンジンはこまめに切れ!」――ただ徹底的なコストカットと業務効率化を推し進めただけなのに、それがなぜか「天才的な軍事戦略」として周囲に大勘違いされていく。
個性豊かな仲間たちと共に、最弱だった倉庫部門を最強の組織へと育て上げる、痛快・お仕事&成り上がりSFファンタジー!
※この作品は、「小説家になろう」「カクヨム」でも連載しています
※100パーセント人力で書いていますので、どこまで毎日更新を続けられるかわかりませんが、今のペースならおそらく3月いっぱいは毎日更新できるかと……(現在47話を執筆中です)
ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる
ぽとりひょん
ファンタジー
エアハルトは、幼なじみのエルメンヒルトを追ってダンジョンの町「ゴルドベルク」で冒険者になろうとする。しかし、彼のアビリティを見た人たちは冒険者を諦め村へ帰るように説得する。彼には魔力がなかった。魔力がなければ深層で魔物と戦うことが出来ないのだ。エアハルトは諦めきれずエルメンヒルトと肩を並べて冒険するため、冒険者となってポンコツと蔑まれながら、ソロでダンジョンに挑み始める。
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる