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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 05-01
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白色の、巨大なワイヤーフレームが組み上がる。
基点となるは死霊術師ギノアと、巨大な蜘蛛の巣状の霊力図形――神影鎧装の術式だ。
上へ、下へ。何かの骨組みを形作りながら、拡張し続けるワイヤーフレーム。恐らくはオウガのコクピット周りを保護する霊力装甲と同じたぐいなのだろう。使われている霊力量は段違いだが。
編み目、と言うよりも血管のように有機的な形を描く光の軌跡は、凄まじい速度で形を成していく。
すなわち、巨大な人型を。
「……参ったね、もう大鎧装の範疇を超えてる」
オウガローダーを待つ辰巳は、目を細めながら刻一刻と編み上がっていく骨組みを見上げる事しか出来ない。
今ここから跳び上がり、構築中の神影鎧装とやらへ取り付く事は簡単だ。だが、そこから続く攻撃手段が辰巳には無い。
高密度に収束した霊力は、それだけで強固な防護壁となるのだ。もはやインペイル・バスターすら通用しないだろう。一目見ただけでそれが分かった。
歯痒さに苛立つ辰巳を余所に、ずしりと地面を踏みしめる足の骨組み。同時に霊力の吸い上げを終えたのか、東西南北に伸びていた×字部分は切り離され、制御を失って光の粒となり消滅。
入れ替わるように光の髑髏が編み上がり、悠然と辰巳を見下ろした。
強大な霊力を隠そうともしない、異形の巨体。だがどこまでも純白な輝きを発するその様は、どこか神々しくもあった。
紛いものの影とはいえ、やはり神だと言う事か。
「ちとマズイか、な」
舌打つ辰巳。その背後に紫色の巨大な円陣――冥の転送術式が現れたのは、丁度その時だった。
『待たせたな』
「遅いぞ、もう少しでこっちから迎えに行くところだったぜ」
左腕のコンピュータを操作し、辰巳はオウガローダーとリンク。
『仕方なかろう、Rフィールド用に調整する手間があったからな』
『まぁそれをやったのは僕なんだけどね! 冥の転送術式は色々と特注なアレだから、その流れでどうにかRフィールドをごまかしてさ! レツオウガの調整でEマテリアルのデータを更新してたのが役に立ったね! けど徹夜明けには正直辛いぜヘヒヒ!』
元気よく割り込む酒月の奇声。きっと凄くいい顔で笑いながらサムズアップしているのだろうが、辰巳は努めてそれを無視する。
「Rフィールド用に調整、ってのはどう言う事だ?」
『本家と同じさ。日乃栄高校一帯は今現在、Rフィールドのせいで霊的な隔絶状態になりつつあるんだ』
「普通の手段じゃ出入りできない、って事か。この通信もいつまで続くか分からんな」
それが何を意味するのか、あえて考えずに辰巳はオウガローダーをチェック。
状態良好、問題一切なし。すぐにでも発進可能。
故に、辰巳は迷わず叫ぶ。
「オウガローダーッ! 発進ッ!」
基点となるは死霊術師ギノアと、巨大な蜘蛛の巣状の霊力図形――神影鎧装の術式だ。
上へ、下へ。何かの骨組みを形作りながら、拡張し続けるワイヤーフレーム。恐らくはオウガのコクピット周りを保護する霊力装甲と同じたぐいなのだろう。使われている霊力量は段違いだが。
編み目、と言うよりも血管のように有機的な形を描く光の軌跡は、凄まじい速度で形を成していく。
すなわち、巨大な人型を。
「……参ったね、もう大鎧装の範疇を超えてる」
オウガローダーを待つ辰巳は、目を細めながら刻一刻と編み上がっていく骨組みを見上げる事しか出来ない。
今ここから跳び上がり、構築中の神影鎧装とやらへ取り付く事は簡単だ。だが、そこから続く攻撃手段が辰巳には無い。
高密度に収束した霊力は、それだけで強固な防護壁となるのだ。もはやインペイル・バスターすら通用しないだろう。一目見ただけでそれが分かった。
歯痒さに苛立つ辰巳を余所に、ずしりと地面を踏みしめる足の骨組み。同時に霊力の吸い上げを終えたのか、東西南北に伸びていた×字部分は切り離され、制御を失って光の粒となり消滅。
入れ替わるように光の髑髏が編み上がり、悠然と辰巳を見下ろした。
強大な霊力を隠そうともしない、異形の巨体。だがどこまでも純白な輝きを発するその様は、どこか神々しくもあった。
紛いものの影とはいえ、やはり神だと言う事か。
「ちとマズイか、な」
舌打つ辰巳。その背後に紫色の巨大な円陣――冥の転送術式が現れたのは、丁度その時だった。
『待たせたな』
「遅いぞ、もう少しでこっちから迎えに行くところだったぜ」
左腕のコンピュータを操作し、辰巳はオウガローダーとリンク。
『仕方なかろう、Rフィールド用に調整する手間があったからな』
『まぁそれをやったのは僕なんだけどね! 冥の転送術式は色々と特注なアレだから、その流れでどうにかRフィールドをごまかしてさ! レツオウガの調整でEマテリアルのデータを更新してたのが役に立ったね! けど徹夜明けには正直辛いぜヘヒヒ!』
元気よく割り込む酒月の奇声。きっと凄くいい顔で笑いながらサムズアップしているのだろうが、辰巳は努めてそれを無視する。
「Rフィールド用に調整、ってのはどう言う事だ?」
『本家と同じさ。日乃栄高校一帯は今現在、Rフィールドのせいで霊的な隔絶状態になりつつあるんだ』
「普通の手段じゃ出入りできない、って事か。この通信もいつまで続くか分からんな」
それが何を意味するのか、あえて考えずに辰巳はオウガローダーをチェック。
状態良好、問題一切なし。すぐにでも発進可能。
故に、辰巳は迷わず叫ぶ。
「オウガローダーッ! 発進ッ!」
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