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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 11-08
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「…………あ?」
辰巳は目をむいた。
今まで潜ったどんな修羅場より、それこそ神影鎧装オーディンを初めて見た時よりも、辰巳は目をむいた。
「正確には、その生き方が嫌いなんだよ。昔の私に似てるから」
粛々と言い放つ風葉の横顔を、銀色の光が照らし出す。光源は辰巳の左手首に装着されたEマテリアルである。最適化が完了したのだ。
「――、ええい!」
言い返したい事は色々あるが、まずやらねばならない事がある。
まっすぐな風葉の双眸から目を逸らし、辰巳は叫んだ。
「――神影鎧装、展開ッ!」
瞬間。
爆発にも似た光の洪水が、Rフィールド全体を薙ぎ払った。
光の彼方に消える敵の姿。暴力的なまでに視界を埋めるその光に、ギノアはようやく我に返る。
「ちい、ぃっ!」
想定外すぎる状況に流されてしまったが、そもそもオウガの能力開放を見過ごす理由など、あるはずがないのだ。
「やァら、せる、かァッ!」
構え、踏み込み、刺突。
風を斬る切っ先、唸りを上げる衝撃波。
ほぼ同時に襲い来る致命打を、しかし辰巳は既に見切っていた。
「遅、い――っ!?」
小さなサイドステップ。それで収めるつもりだった回避行動は、しかしニ十メートル以上の距離を一気に跳んだ。
校舎の上に着地しつつ、辰巳は立体映像モニタを起動。改めて機体の状況を確認すれば、運動性能だけでなくあらゆる能力の向上が見て取れた。
レックウの接続によってもたらされた制御術式の賜物である。
「成程。やろうと思えば、リバウンダーくらいのジャンプが普通に出来そうだな」
感心する辰巳、収まっていく余剰霊力の白光。
その光源を、オーディンは見上げる。
校舎の中央、時計の真上。そこに立つオウガのいでたちは、今までと全く変わっていた。
胸。背中。両肩。両手首。両膝。両足首。身体各所に組み込まれたEマテリアルが、今は見えない。
霊力で編まれた鎧が、そこに接続されているからだ。
色は銀。とは言っても、オーディンのような純白ではない。やや灰色がかったその輝きは、風葉越しに接続しているフェンリルの影響だろうか。
ともあれ、オウガは塗り替わった。青一色だった躯体に灯る灰銀色が、新たなコントラストをRフィールドに映し出す。
直線主体でいかにも武骨なオウガ本体とは対照的に、流麗な曲線主体で構築された灰銀色のプロテクター。身体各所に装着されたそれは、オウガの機体を一回り大きく演出する。
胸部と頭部は、まだ無い。剥き出しになっているコクピットの上、辰巳は無表情にオーディンを見下ろす。
――性能は予想以上に向上している。新たに展開された霊力のプロテクターと、何より拡張された霊力経路の運動性を合わせれば、撤退することは容易だろう。辰巳はそう算段していた。
そう、撤退だ。辰巳は今、新たにもたらされた能力の全てを、逃走へ注ぎ込むことに決めていた。
理由は、言うまでもなく風葉の存在だ。いくらフェンリルの同調があるとはいえ、一般人を乗せたまま戦闘に移れるはずがない。どうにかして、それこそフェンリルの力を使ってでも、このRフィールドから撤収しなければならない。
自分ではなく。風葉の命を、守るために。
辰巳は目をむいた。
今まで潜ったどんな修羅場より、それこそ神影鎧装オーディンを初めて見た時よりも、辰巳は目をむいた。
「正確には、その生き方が嫌いなんだよ。昔の私に似てるから」
粛々と言い放つ風葉の横顔を、銀色の光が照らし出す。光源は辰巳の左手首に装着されたEマテリアルである。最適化が完了したのだ。
「――、ええい!」
言い返したい事は色々あるが、まずやらねばならない事がある。
まっすぐな風葉の双眸から目を逸らし、辰巳は叫んだ。
「――神影鎧装、展開ッ!」
瞬間。
爆発にも似た光の洪水が、Rフィールド全体を薙ぎ払った。
光の彼方に消える敵の姿。暴力的なまでに視界を埋めるその光に、ギノアはようやく我に返る。
「ちい、ぃっ!」
想定外すぎる状況に流されてしまったが、そもそもオウガの能力開放を見過ごす理由など、あるはずがないのだ。
「やァら、せる、かァッ!」
構え、踏み込み、刺突。
風を斬る切っ先、唸りを上げる衝撃波。
ほぼ同時に襲い来る致命打を、しかし辰巳は既に見切っていた。
「遅、い――っ!?」
小さなサイドステップ。それで収めるつもりだった回避行動は、しかしニ十メートル以上の距離を一気に跳んだ。
校舎の上に着地しつつ、辰巳は立体映像モニタを起動。改めて機体の状況を確認すれば、運動性能だけでなくあらゆる能力の向上が見て取れた。
レックウの接続によってもたらされた制御術式の賜物である。
「成程。やろうと思えば、リバウンダーくらいのジャンプが普通に出来そうだな」
感心する辰巳、収まっていく余剰霊力の白光。
その光源を、オーディンは見上げる。
校舎の中央、時計の真上。そこに立つオウガのいでたちは、今までと全く変わっていた。
胸。背中。両肩。両手首。両膝。両足首。身体各所に組み込まれたEマテリアルが、今は見えない。
霊力で編まれた鎧が、そこに接続されているからだ。
色は銀。とは言っても、オーディンのような純白ではない。やや灰色がかったその輝きは、風葉越しに接続しているフェンリルの影響だろうか。
ともあれ、オウガは塗り替わった。青一色だった躯体に灯る灰銀色が、新たなコントラストをRフィールドに映し出す。
直線主体でいかにも武骨なオウガ本体とは対照的に、流麗な曲線主体で構築された灰銀色のプロテクター。身体各所に装着されたそれは、オウガの機体を一回り大きく演出する。
胸部と頭部は、まだ無い。剥き出しになっているコクピットの上、辰巳は無表情にオーディンを見下ろす。
――性能は予想以上に向上している。新たに展開された霊力のプロテクターと、何より拡張された霊力経路の運動性を合わせれば、撤退することは容易だろう。辰巳はそう算段していた。
そう、撤退だ。辰巳は今、新たにもたらされた能力の全てを、逃走へ注ぎ込むことに決めていた。
理由は、言うまでもなく風葉の存在だ。いくらフェンリルの同調があるとはいえ、一般人を乗せたまま戦闘に移れるはずがない。どうにかして、それこそフェンリルの力を使ってでも、このRフィールドから撤収しなければならない。
自分ではなく。風葉の命を、守るために。
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