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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 12-06
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「では、返礼させて頂きましょうかねぇ!」
宣言とともに、オーディンが跳ぶ。一体どこにこれほどの霊力を保持しているのか、まるで衰える気配を見せない疾走で、瞬く間に間合いを詰める。
「ぬ、ぅ!」
対するレツオウガは二刀を携え、ひたすら防御に徹するしかない。
袈裟斬り、振り上げ、刺突、薙ぎ払い。あらゆる角度から襲い来る高速の連撃を、辰巳は全身全霊を持って切り払い、切り払い、切り払う。
立ち位置は動かない。動いている余裕が無い。
舞うように、嘲るように、衛星のごとく旋回しながら襲い来るオーディンの連撃が、辰巳をその場所に釘付けるのだ。
「ハハハァ! さっきまでの勢いはどうしたんですかァ!?」
「さぁて、どっかに落としちまったかもな!」
夕立のように降りしきる刃音の中で、辰巳はひたすらに機を伺う。
残存霊力量は既に三割を切っており、今も結構な速度で低下中だ。加速がかけられないわけではないが、使えるのはせいぜい二回。
その回数で、ヤツの虚を突くためには――そう辰巳が戦略を組み立てていた矢先、唐突に風葉が口を開いた。
「……どうにか、できるかも」
「何が?」
輝度を調整した立体映像モニタを一つ表示し、バックミラー代わりにして後ろを見る辰巳。
即席の鏡に映りだした風葉は、口元に手を当てて奇妙に視線を泳がせている。
同調するフェンリルが、風葉に何かを教えているのだ。
「神影鎧装、レツオウガ……これって、かみさまの力を再現出来るんだよね?」
「まぁ、そうらしいけどよ」
眉をひそめる辰巳。コンマ数秒、ほんの少しだけ操作が鈍る。その隙を、ギノアが見逃すはずもない。
「貰いましたよッ!」
鋭く虚を突くオーディンの一撃。切り払いは、回避行動は、間に合わない。
「ち、ぃ!」
止むを得ず、辰巳は霊力噴射を敢行。
胸部陣羽織から噴出する霊力光を煙幕代わりに、レツオウガは後方へ大きく跳躍。
直後、薄皮一枚の距離をグングニルが掠めた。
「ほう? まだそんな余裕がありましたか」
「探せば見つかるもんなのさ、意外とな」
長槍を構え直すオーディンと相対しながら、辰巳は歯噛みする。
さもあらん。仕方がなかったとはいえ、なけなしの霊力を緊急回避に使ってしまったのだ。
切り札は一発、それも使えるかどうか――。
「慣れないことはするもんじゃない、な」
「そうだね……でも、出来るかもしれない」
脳内で戦法を組み直しつつ、辰巳はもう一度バックミラーを見る。
立体映像モニタを見ながら術式の制御系をいじっている風葉が、そこに写っていた。
宣言とともに、オーディンが跳ぶ。一体どこにこれほどの霊力を保持しているのか、まるで衰える気配を見せない疾走で、瞬く間に間合いを詰める。
「ぬ、ぅ!」
対するレツオウガは二刀を携え、ひたすら防御に徹するしかない。
袈裟斬り、振り上げ、刺突、薙ぎ払い。あらゆる角度から襲い来る高速の連撃を、辰巳は全身全霊を持って切り払い、切り払い、切り払う。
立ち位置は動かない。動いている余裕が無い。
舞うように、嘲るように、衛星のごとく旋回しながら襲い来るオーディンの連撃が、辰巳をその場所に釘付けるのだ。
「ハハハァ! さっきまでの勢いはどうしたんですかァ!?」
「さぁて、どっかに落としちまったかもな!」
夕立のように降りしきる刃音の中で、辰巳はひたすらに機を伺う。
残存霊力量は既に三割を切っており、今も結構な速度で低下中だ。加速がかけられないわけではないが、使えるのはせいぜい二回。
その回数で、ヤツの虚を突くためには――そう辰巳が戦略を組み立てていた矢先、唐突に風葉が口を開いた。
「……どうにか、できるかも」
「何が?」
輝度を調整した立体映像モニタを一つ表示し、バックミラー代わりにして後ろを見る辰巳。
即席の鏡に映りだした風葉は、口元に手を当てて奇妙に視線を泳がせている。
同調するフェンリルが、風葉に何かを教えているのだ。
「神影鎧装、レツオウガ……これって、かみさまの力を再現出来るんだよね?」
「まぁ、そうらしいけどよ」
眉をひそめる辰巳。コンマ数秒、ほんの少しだけ操作が鈍る。その隙を、ギノアが見逃すはずもない。
「貰いましたよッ!」
鋭く虚を突くオーディンの一撃。切り払いは、回避行動は、間に合わない。
「ち、ぃ!」
止むを得ず、辰巳は霊力噴射を敢行。
胸部陣羽織から噴出する霊力光を煙幕代わりに、レツオウガは後方へ大きく跳躍。
直後、薄皮一枚の距離をグングニルが掠めた。
「ほう? まだそんな余裕がありましたか」
「探せば見つかるもんなのさ、意外とな」
長槍を構え直すオーディンと相対しながら、辰巳は歯噛みする。
さもあらん。仕方がなかったとはいえ、なけなしの霊力を緊急回避に使ってしまったのだ。
切り札は一発、それも使えるかどうか――。
「慣れないことはするもんじゃない、な」
「そうだね……でも、出来るかもしれない」
脳内で戦法を組み直しつつ、辰巳はもう一度バックミラーを見る。
立体映像モニタを見ながら術式の制御系をいじっている風葉が、そこに写っていた。
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