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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 12-05
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「甘、いっ!」
だがその刺突を、グングニルの穂先が打ち払う。マントから霊力を噴射し、強引に間合いを合わせたのだ。
「逃がさん――!」
レツオウガも背部霊力装甲から霊力を噴射し、オーディンへ突貫。そのまま両者は高速機動戦闘へと移行する。
彗星のような軌跡を刻むオーディン。稲妻のような軌跡を刻むレツオウガ。
追いながら、追われながら、赤い空に交錯する二刃と長槍。
振り下ろし。斬撃。刺突。フェイント。薙ぎ払い。唐竹割り。
時に離散し、時に激突しながら、二機の神影鎧装は刃の軋みと、霊力の残光と、裂帛の気合を辺りに撒き散らす。
そんな互角の打ち合いを、一体幾度交わしただろうか。
「く、ぅ――!」
不意に、レツオウガの加速が止まった。とうの昔に出ていた日乃栄の敷地の外、民家の屋根に着地したレツオウガは、何故か動かない。
その正面、大分離れた位置で対峙するオーディンは、油断なくグングニルを構える。そして、一歩詰める。
通常の跳躍では届かない、けれどもタービュランス・アーマーならば届くであろう、微妙な位置。
オーディンはそこで敢えて構えを緩めたが、レツオウガは踏み込む素振りを見せない。二刀の切先が苛立たしげに揺れるのみだ。
「ふ、ふ」
故に、ギノアは確信する。
「ふは、ははははは! どうやら加速に回せる霊力が無くなったようですねぇ!」
余裕を隠さぬギノアの指摘に、辰巳は無言で柄を握る。
実際、その指摘は正解だ。そもそもレツオウガは、あまり長い時間の戦闘を想定していないのだ。
確かに擬似コアユニットであるレックウを接続すれば、レツオウガは本来の能力――神の力の一端を発揮できる、はずだった。
その力を用いれば、どんな相手だろうと一撃で屠る事が出来る、はずでもあった。
だが、今。乗っているのは正規パイロットの冥ではなく、代理の風葉だ。
故に想定されていた最大の能力は使えず、代わりに補助兼テスト用の筈だった利英の術式で戦いを強いられている、と言うのが現状だ。
確かにタービュランス・アーマーは優秀な術式だろう。展開するだけで堅牢な防御と迅速な機動という、破格の性能を両立する事が出来る。
しかして代償に求められるのは、相当な速度の霊力損耗だ。生成するだけで結構な量を消費する高密度霊力のアーマーを、加速するたびに燃焼し、再生成しているのだからさもあらん。
結局、タービュランス・アーマーはまだまだ試作品なのだ。
だから、辰巳は短期決戦を狙った。機体の条件が互角なら、後はパイロットの技量次第だろう、と。
実際、それは正解だ。オーディンを追い込む場面も幾度かあった。
だが秒単位で減っていく霊力残量が、背中に抱える一般人の重みが、レツオウガの動きに焦りを生んだ。
その焦りを見切ったギノアは、だから努めて防御に徹し――結果、この状況を造り上げたのだ。
だがその刺突を、グングニルの穂先が打ち払う。マントから霊力を噴射し、強引に間合いを合わせたのだ。
「逃がさん――!」
レツオウガも背部霊力装甲から霊力を噴射し、オーディンへ突貫。そのまま両者は高速機動戦闘へと移行する。
彗星のような軌跡を刻むオーディン。稲妻のような軌跡を刻むレツオウガ。
追いながら、追われながら、赤い空に交錯する二刃と長槍。
振り下ろし。斬撃。刺突。フェイント。薙ぎ払い。唐竹割り。
時に離散し、時に激突しながら、二機の神影鎧装は刃の軋みと、霊力の残光と、裂帛の気合を辺りに撒き散らす。
そんな互角の打ち合いを、一体幾度交わしただろうか。
「く、ぅ――!」
不意に、レツオウガの加速が止まった。とうの昔に出ていた日乃栄の敷地の外、民家の屋根に着地したレツオウガは、何故か動かない。
その正面、大分離れた位置で対峙するオーディンは、油断なくグングニルを構える。そして、一歩詰める。
通常の跳躍では届かない、けれどもタービュランス・アーマーならば届くであろう、微妙な位置。
オーディンはそこで敢えて構えを緩めたが、レツオウガは踏み込む素振りを見せない。二刀の切先が苛立たしげに揺れるのみだ。
「ふ、ふ」
故に、ギノアは確信する。
「ふは、ははははは! どうやら加速に回せる霊力が無くなったようですねぇ!」
余裕を隠さぬギノアの指摘に、辰巳は無言で柄を握る。
実際、その指摘は正解だ。そもそもレツオウガは、あまり長い時間の戦闘を想定していないのだ。
確かに擬似コアユニットであるレックウを接続すれば、レツオウガは本来の能力――神の力の一端を発揮できる、はずだった。
その力を用いれば、どんな相手だろうと一撃で屠る事が出来る、はずでもあった。
だが、今。乗っているのは正規パイロットの冥ではなく、代理の風葉だ。
故に想定されていた最大の能力は使えず、代わりに補助兼テスト用の筈だった利英の術式で戦いを強いられている、と言うのが現状だ。
確かにタービュランス・アーマーは優秀な術式だろう。展開するだけで堅牢な防御と迅速な機動という、破格の性能を両立する事が出来る。
しかして代償に求められるのは、相当な速度の霊力損耗だ。生成するだけで結構な量を消費する高密度霊力のアーマーを、加速するたびに燃焼し、再生成しているのだからさもあらん。
結局、タービュランス・アーマーはまだまだ試作品なのだ。
だから、辰巳は短期決戦を狙った。機体の条件が互角なら、後はパイロットの技量次第だろう、と。
実際、それは正解だ。オーディンを追い込む場面も幾度かあった。
だが秒単位で減っていく霊力残量が、背中に抱える一般人の重みが、レツオウガの動きに焦りを生んだ。
その焦りを見切ったギノアは、だから努めて防御に徹し――結果、この状況を造り上げたのだ。
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