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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 13-09
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応、と。
全てを揺るがす咆哮を上げながら、巨大な魔狼が立ち上がる。
それは、やはり影だった。地面を無視し、空間を無視し、一直線にそびえ立つ狼のシルエット。
毛並みは無い。代わりに灰銀色の術式紋様が、全身に刻み込まれている。
厚みも無い。きっとコピー紙よりも薄いだろうが、影は二機の神影鎧装が噴出する霊力を物ともせず、幽霊のように佇んでいる。
身長は、凄まじく巨大だ。レツオウガやオーディンが、比較にならないくらいに大きい。ただ立っているだけなのに、その顔が神影鎧装達と同じ高さにあるのだ。
顔立ちは、ひたすらにのっぺりしている。影なのだから当然だが、いかんせん目も鼻も無いのだ。
ただ、口が。
赤く、巨大な、地獄の如きクレバスが、大きくゆっくりと裂け広がる。
「――っ!」
即座に飛び退るギノア。神話の時代、オーディンを飲み込んだ事実からの警戒だ。
だが違う。今狙っているのはオーディンではないのだ。
クレバスは尚も広がる。顔を引き裂き、首を引き裂き、身体全体を二分するほどに拡大する。
それはもはや、存在自体が一個の顎であった。
ひとたび口を開けば、その上顎は天にも届く――そう北欧神話にて謳われた、フェンリルの具現である。
「な、」
そうしてギノアは、一部始終を見た。
まず、レツオウガがその場で回転する。一回、二回、三回。ぐるぐると、霊力の残光が空に踊る。
それに連動し、フェンリルがRフィールドを奔る。一回、二回、三回。ぐるぐると、巨大な顎が赤い結界を蹂躙する。
たったそれだけで、Rフィールドはほぼ消失してしまった。言わんや、フェンリルが喰らったのである。神話と同じように。
見渡せば、視界に映るのは代わり映えのしない灰色の幻燈結界。目をこらせば食べ残された赤色がどうにかこびりついているが、もはや揮発を待つだけの残骸だ。
遠方では凪守の正規部隊と思しき連中が騒いでいるのも見えたが、そんなものはどうでもいい。
今重要なのはただ一点、食われたRフィールドの行き先のみである。
「ッ!」
すぐさまギノアは上空を睨む。
つい数瞬前まで亀裂があった場所、変わらず滞空しているレツオウガは、凄まじい霊力を漲らせていた。喰らった分のRフィールドを、その身に取り込んだのだ。
全てを揺るがす咆哮を上げながら、巨大な魔狼が立ち上がる。
それは、やはり影だった。地面を無視し、空間を無視し、一直線にそびえ立つ狼のシルエット。
毛並みは無い。代わりに灰銀色の術式紋様が、全身に刻み込まれている。
厚みも無い。きっとコピー紙よりも薄いだろうが、影は二機の神影鎧装が噴出する霊力を物ともせず、幽霊のように佇んでいる。
身長は、凄まじく巨大だ。レツオウガやオーディンが、比較にならないくらいに大きい。ただ立っているだけなのに、その顔が神影鎧装達と同じ高さにあるのだ。
顔立ちは、ひたすらにのっぺりしている。影なのだから当然だが、いかんせん目も鼻も無いのだ。
ただ、口が。
赤く、巨大な、地獄の如きクレバスが、大きくゆっくりと裂け広がる。
「――っ!」
即座に飛び退るギノア。神話の時代、オーディンを飲み込んだ事実からの警戒だ。
だが違う。今狙っているのはオーディンではないのだ。
クレバスは尚も広がる。顔を引き裂き、首を引き裂き、身体全体を二分するほどに拡大する。
それはもはや、存在自体が一個の顎であった。
ひとたび口を開けば、その上顎は天にも届く――そう北欧神話にて謳われた、フェンリルの具現である。
「な、」
そうしてギノアは、一部始終を見た。
まず、レツオウガがその場で回転する。一回、二回、三回。ぐるぐると、霊力の残光が空に踊る。
それに連動し、フェンリルがRフィールドを奔る。一回、二回、三回。ぐるぐると、巨大な顎が赤い結界を蹂躙する。
たったそれだけで、Rフィールドはほぼ消失してしまった。言わんや、フェンリルが喰らったのである。神話と同じように。
見渡せば、視界に映るのは代わり映えのしない灰色の幻燈結界。目をこらせば食べ残された赤色がどうにかこびりついているが、もはや揮発を待つだけの残骸だ。
遠方では凪守の正規部隊と思しき連中が騒いでいるのも見えたが、そんなものはどうでもいい。
今重要なのはただ一点、食われたRフィールドの行き先のみである。
「ッ!」
すぐさまギノアは上空を睨む。
つい数瞬前まで亀裂があった場所、変わらず滞空しているレツオウガは、凄まじい霊力を漲らせていた。喰らった分のRフィールドを、その身に取り込んだのだ。
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