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始まりの卒業パーティ
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リーン・レブロは、十六歳のある日、突然、頭に流れ込んできた自分視点の営みの映像に衝撃を受けた。
相手の顔はよく分からないが、自分が体験したことがない内容を、あたかも自分の記憶のように見た。
まだ経験もないから詳しくは分からないが、これは夫婦の営み中なのだろうと思う。
映像の中の、絶倫らしい夫は、確かに「いや、むり」と言っても笑っている様子でやめてくれる様子は無かった。あんな相手はさぞかし辛かっただろう。
これは何かを私に訴えているのかもしれないとリーンは真剣に悩んだ。
――絶倫騎士はやめなさい
あの映像は暗にリーンにそう伝えているのではないか、と一つの答えにいきついた。
元々、華奢で小柄なリーンは体力もない。あんな相手を夫にしたら身を滅ぼすことになるだろうとブルリと身を震わせた。
初めて知った営みの生々しさは、リーンにトラウマのように植え付けられ、そして、「絶倫夫を持つと身を滅ぼす」というイメージを強烈に残していった。
◇◇◇
目の前に差し出された手と、差し出した本人であるお伽話の王子様のような見た目をした青年を交互に見つめる。
「ちょっと。何グズグズしてるの? ぼさっとしてないでさっさと手を出して」
夢かと思ったが、いつもの現実だったようだ。
「黙ってたらカッコいいのに……。アリアもお迎えありがとう。とっても綺麗ね!」
「ありがとう。リーンも、とてもよく似合っているわぁ!」
「俺は、いつでもかっこいいでしょ!」
「ニコラスが王子様みたいにカッコよかったから、本当に現実か考えちゃったんだよ」
「……っ! ほんとにっ! なんで思ってる事全部口からでちゃうのかなっ」
「えっ! また何かダメな事言った?」
「お兄様。顔が赤いです」
「アリアは黙って!…………言ってない」
「ふふっ! どうしたの? いつもなら「そうだよ! ちょっとは頭使いなよ!」って言うのに」
「それは、ほんと。ずっと使って欲しいと思ってるよ」
ふんっと顔を赤らめたニコラスが、勢いよく視線を横に向けた。
目の前にいる二人は、アリア・メルゼとニコラス・メルゼという双子の兄妹で、妹のアリアとは魔法科で同じクラスになった事から友人になった。
リーンが通っている学園の中には騎士科、魔法科、一般科と分かれていて、魔法科は素質のある人のみが選択を許される。通常は、騎士科と一般科に所属する事が主流だった。
入学後の科の変更は可能で、一般科から騎士科に変更した人もいれば、逆に騎士科で入学したが、一般科に変更した人もいる。騎士科の訓練はとても厳しく、王城騎士への憧れで選んだ貴族の子息達には簡単に続けられる訓練では無いらしい。リーンが入学した年は騎士科から一般科に変更した男子生徒が沢山いたらしい。
そんな中、リーンは入学後の身体検査で魔法適正が発見され、一般科から魔法科に転科した珍しい経歴を持っていた。
ただ、特に何かができるほど特化した魔法の能力が見つかった訳ではなく、適正があるから発現した時の為に勉強しておきなさいといった理由だった。
人が多く集まる王都の中でも魔法を使える人は大変貴重で、少しでも可能性があるなら学ばせておこうという措置だとリーンは考えていた。この先、領地に戻ったら、受けた魔法の授業が役に立つのかは分からないが、知らない世界に触れられる事は自分にとって財産だと思っていた。
魔法科に編入したことよりも、そのおかげで、アリアと友人になれた自分は、王都で一番と言っていいほどの幸運の持ち主だと自負している。
その、大切な友人であるアリアが紹介したい人がいると引き会わせてくれたのが双子の兄であるニコラスだ。二人と友人になってから、卒業まで常に三人で行動する事が日常だった。
相手の顔はよく分からないが、自分が体験したことがない内容を、あたかも自分の記憶のように見た。
まだ経験もないから詳しくは分からないが、これは夫婦の営み中なのだろうと思う。
映像の中の、絶倫らしい夫は、確かに「いや、むり」と言っても笑っている様子でやめてくれる様子は無かった。あんな相手はさぞかし辛かっただろう。
これは何かを私に訴えているのかもしれないとリーンは真剣に悩んだ。
――絶倫騎士はやめなさい
あの映像は暗にリーンにそう伝えているのではないか、と一つの答えにいきついた。
元々、華奢で小柄なリーンは体力もない。あんな相手を夫にしたら身を滅ぼすことになるだろうとブルリと身を震わせた。
初めて知った営みの生々しさは、リーンにトラウマのように植え付けられ、そして、「絶倫夫を持つと身を滅ぼす」というイメージを強烈に残していった。
◇◇◇
目の前に差し出された手と、差し出した本人であるお伽話の王子様のような見た目をした青年を交互に見つめる。
「ちょっと。何グズグズしてるの? ぼさっとしてないでさっさと手を出して」
夢かと思ったが、いつもの現実だったようだ。
「黙ってたらカッコいいのに……。アリアもお迎えありがとう。とっても綺麗ね!」
「ありがとう。リーンも、とてもよく似合っているわぁ!」
「俺は、いつでもかっこいいでしょ!」
「ニコラスが王子様みたいにカッコよかったから、本当に現実か考えちゃったんだよ」
「……っ! ほんとにっ! なんで思ってる事全部口からでちゃうのかなっ」
「えっ! また何かダメな事言った?」
「お兄様。顔が赤いです」
「アリアは黙って!…………言ってない」
「ふふっ! どうしたの? いつもなら「そうだよ! ちょっとは頭使いなよ!」って言うのに」
「それは、ほんと。ずっと使って欲しいと思ってるよ」
ふんっと顔を赤らめたニコラスが、勢いよく視線を横に向けた。
目の前にいる二人は、アリア・メルゼとニコラス・メルゼという双子の兄妹で、妹のアリアとは魔法科で同じクラスになった事から友人になった。
リーンが通っている学園の中には騎士科、魔法科、一般科と分かれていて、魔法科は素質のある人のみが選択を許される。通常は、騎士科と一般科に所属する事が主流だった。
入学後の科の変更は可能で、一般科から騎士科に変更した人もいれば、逆に騎士科で入学したが、一般科に変更した人もいる。騎士科の訓練はとても厳しく、王城騎士への憧れで選んだ貴族の子息達には簡単に続けられる訓練では無いらしい。リーンが入学した年は騎士科から一般科に変更した男子生徒が沢山いたらしい。
そんな中、リーンは入学後の身体検査で魔法適正が発見され、一般科から魔法科に転科した珍しい経歴を持っていた。
ただ、特に何かができるほど特化した魔法の能力が見つかった訳ではなく、適正があるから発現した時の為に勉強しておきなさいといった理由だった。
人が多く集まる王都の中でも魔法を使える人は大変貴重で、少しでも可能性があるなら学ばせておこうという措置だとリーンは考えていた。この先、領地に戻ったら、受けた魔法の授業が役に立つのかは分からないが、知らない世界に触れられる事は自分にとって財産だと思っていた。
魔法科に編入したことよりも、そのおかげで、アリアと友人になれた自分は、王都で一番と言っていいほどの幸運の持ち主だと自負している。
その、大切な友人であるアリアが紹介したい人がいると引き会わせてくれたのが双子の兄であるニコラスだ。二人と友人になってから、卒業まで常に三人で行動する事が日常だった。
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