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パーティは混乱を極めて
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ここで少し前置き。旦那さんたちが暮らす世界では、子供の成長の仕方が違う。生まれてから2ヶ月ごとにひとつずつ歳を取り、10ヶ月で5歳になってしまう。
その後は、687年で1つ年を取ってゆくので、5歳児の数が異様に増えている。5歳になったその日に小学校へ入学する。というわけで、小学校は毎日が入学式で、新しいお友達がやってくる。
我が子たちが通う学校は、小学校から大学まである、姫ノ館というところだ。1年生の総数が数十兆を超えていると言う。つまり、ありえないほど広い学校生活が広がっている。
誕生日は、1年後に1歳から5歳までをまとめて祝う。子供たちの大イベントとなっていて、専門の業者がおり、催し物や料理、飾り付け、お返しのプレゼントまで、何でも相談でき、可能な限り実現してくれる。
パーティー時間は、夕方5時から8時までである。参加者のほとんどが5歳児なので、親がもちろんついてくる。車が入り口に横付けされては、人が降りてきて、次の車がまた玄関へ来て……。の繰り返しとなる。
それでは、ここからが本編――。
今日は、由百合の誕生日パーティー。建築家を目指している彼女の要望で、ケーキは高層タワーのようになっていた。
由百合の生みの親は、私と月命だ。というわけで、私たちふたりが前面に出る、親代表として。みんなは脇に控えている。もちろん、他の我が子たちもパーティーには参加する。
月命は小学校では大変な人気な先生で、廊下を歩くと、子供たちにいつも囲まれているらしい。
そういうわけで、招待された子供たちは、
由百合ちゃんのパパは、月先生なんだ!
という嬉しい誕生日パーティーになった。ビュッフェスタイルの食事が始まり、それぞれの子供たちが動き出すと、ある問題と出くわした。
孔明と一緒に食事をしていた尋のところへ、招待した子供がやって来た。
「あ、尋ちゃんだ」
「尋ちゃんも招待されたの?」
尋は首を振って、
「ううん。由百合ちゃんは僕の兄弟だよ」
「えっ?」
「あれ?」
友達はびっくりしていた。生徒数が多いから知らないのだ。しかも、我が家は子供が多いから、入学したばかりの由百合と尋からは、お互いの名前を兄弟として、友達は聞いていなかったのだろう。
友達はそばにいる孔明を見つめて、
「あれ? 尋ちゃんのパパって……」
「この人じゃなくて、月先生?」
入学式の日に、友達も孔明パパと一緒の尋は見ているが、
「え……?」
尋も友達が何を言っているのかわからなくなってしまった。物心ついた時には、複数婚の家にいて、月命も孔明もみんないるのが当たり前だったのだから、友達の両親が1人ずつだと知らないのだ。
妻はもしかして、他でも? と思って会場を進んでいくと、今度、百叡と策羅が友達につかまっていた。
「あぁ、ふたりも招待されたんだね?」
友達は、百叡と策羅が兄弟なのは知っていたが、
「違うよ。おもてなしするほうだよ。ね?」
「うん。兄弟が誕生日だから」
友達は月先生を遠くから眺めて、
「あれ? ふたりのパパってもしかして、月先生?」
「そうだよ」
「え……?」
百叡の様子を学校に見にきたのは、光命。
策羅が入学式に親離れできなかったのも、光命。
月先生はまったく関係ない。尋の入学式には保護者として参加したが、それまでの子の式には月命は仕事を全うするため、先生をしていて、生徒たちは関係ないのだと思っていたのだ。
5歳の子供が、友達の両親の事情など知らないのが普通。しかも、先生が結婚したという話は広まっていたが、誰としたとは言っていないのだろう。
今やパーティー会場は、先生と兄弟疑惑で混乱しそうになっていた。しかし、光命が1枚のメモ用紙を持って、司会者の元へ走った。
司会の方が、
「みなさ~ん。学校で、明智さんがいっぱいませんか?」
子供たちがうんうんとうなずく。我が家の学校へ行っている子供は全部で、46人いる。しかし、総数が何十兆ではまぎれてしまうのだ。しかも、うちは婿養子であって、父上の家にも小学校1年生はおり、彼らも当然ながら、明智を名乗っている。
だからこそ、友達はみんな、別の家の子なのだろうと思っていたのだ。しかも、もともと別の家族だったのが、新たに結婚して大家族となっているから、それを我が子の誰かに聞かなければ、知らないのは当然だった。
招待された子供たちは、ようやく話が飲み込めてきた。
「あぁ~、そういうことか」
あちこちから声が上がる中で、急遽、私たち夫婦のお披露目会となった。結婚した順にマイクが渡され、自己紹介をしてゆく。
しかし、21人中9人が小学校教諭であり、もう1人が高等部の教師であるため、友達は大騒ぎになった。しかも、別の有名人も混じっていて、
「蓮だ」
R&Bの人気アーティスト。子供たちが指をさして、芸名を叫んだ。
「あっ! ディーバさんだ!」
学校教育はきちんと行き届いていた。ミュージシャンでも、さんづけしている。
「覚師です」
「先生、かっこいい!」
小学校の歴史教諭にまで、歓声が上がる始末。そうして、
「焉貴です!」
「焉貴先生だ!」
「先生!」
「久しぶり! 元気してた?」
焉貴は以前、小学校の算数教師だったが、高等部に移動となった。だから、知っている子供は多く、会えなかったからなおさらである。コンサート会場みたいになっていた。
そうして最後に、
「張飛です」
と言った途端、招待された子供たちが、
「あれ? 張飛先生と月先生、結婚してたの?」
小学校の男性教諭がふたり、壇上に上がっていた。由百合の父親として。
そこで、張飛がなぜ10月になって、新任教師として学校に来たのか、みんな納得した。
「あぁ~、結婚したから、張飛先生、姫ノ館に来たんだね!」
先生が主役になりそうな会場に、鶴の一声――月命の凛とした澄んだ女性的でありながら、男性の響きが割って入った。
「みなさ~ん。今日はどなたの会ですか~?」
「由百合ちゃんで~す」
子供たちは先生に注目するのはほどほどにして、由百合の誕生日をまた祝い始めた。
パーティが終わって、由百合をはじめとする子供たちから、
「これで、明後日の学校から、新しい生活が始まるね!」
子供たちも友達にいちいち説明するのが大変だったのかもしれない。受け入れない子供は誰もいないけれども、パパが10人でママが11人は珍しすぎて、何度も聞き返されたりして、うまく説明ができなかったもかもしれない。
でも、伝えたかった気持ちはたくさんあったのだろう。無事に広まってよかった。
2019年10月17日、木曜日
その後は、687年で1つ年を取ってゆくので、5歳児の数が異様に増えている。5歳になったその日に小学校へ入学する。というわけで、小学校は毎日が入学式で、新しいお友達がやってくる。
我が子たちが通う学校は、小学校から大学まである、姫ノ館というところだ。1年生の総数が数十兆を超えていると言う。つまり、ありえないほど広い学校生活が広がっている。
誕生日は、1年後に1歳から5歳までをまとめて祝う。子供たちの大イベントとなっていて、専門の業者がおり、催し物や料理、飾り付け、お返しのプレゼントまで、何でも相談でき、可能な限り実現してくれる。
パーティー時間は、夕方5時から8時までである。参加者のほとんどが5歳児なので、親がもちろんついてくる。車が入り口に横付けされては、人が降りてきて、次の車がまた玄関へ来て……。の繰り返しとなる。
それでは、ここからが本編――。
今日は、由百合の誕生日パーティー。建築家を目指している彼女の要望で、ケーキは高層タワーのようになっていた。
由百合の生みの親は、私と月命だ。というわけで、私たちふたりが前面に出る、親代表として。みんなは脇に控えている。もちろん、他の我が子たちもパーティーには参加する。
月命は小学校では大変な人気な先生で、廊下を歩くと、子供たちにいつも囲まれているらしい。
そういうわけで、招待された子供たちは、
由百合ちゃんのパパは、月先生なんだ!
という嬉しい誕生日パーティーになった。ビュッフェスタイルの食事が始まり、それぞれの子供たちが動き出すと、ある問題と出くわした。
孔明と一緒に食事をしていた尋のところへ、招待した子供がやって来た。
「あ、尋ちゃんだ」
「尋ちゃんも招待されたの?」
尋は首を振って、
「ううん。由百合ちゃんは僕の兄弟だよ」
「えっ?」
「あれ?」
友達はびっくりしていた。生徒数が多いから知らないのだ。しかも、我が家は子供が多いから、入学したばかりの由百合と尋からは、お互いの名前を兄弟として、友達は聞いていなかったのだろう。
友達はそばにいる孔明を見つめて、
「あれ? 尋ちゃんのパパって……」
「この人じゃなくて、月先生?」
入学式の日に、友達も孔明パパと一緒の尋は見ているが、
「え……?」
尋も友達が何を言っているのかわからなくなってしまった。物心ついた時には、複数婚の家にいて、月命も孔明もみんないるのが当たり前だったのだから、友達の両親が1人ずつだと知らないのだ。
妻はもしかして、他でも? と思って会場を進んでいくと、今度、百叡と策羅が友達につかまっていた。
「あぁ、ふたりも招待されたんだね?」
友達は、百叡と策羅が兄弟なのは知っていたが、
「違うよ。おもてなしするほうだよ。ね?」
「うん。兄弟が誕生日だから」
友達は月先生を遠くから眺めて、
「あれ? ふたりのパパってもしかして、月先生?」
「そうだよ」
「え……?」
百叡の様子を学校に見にきたのは、光命。
策羅が入学式に親離れできなかったのも、光命。
月先生はまったく関係ない。尋の入学式には保護者として参加したが、それまでの子の式には月命は仕事を全うするため、先生をしていて、生徒たちは関係ないのだと思っていたのだ。
5歳の子供が、友達の両親の事情など知らないのが普通。しかも、先生が結婚したという話は広まっていたが、誰としたとは言っていないのだろう。
今やパーティー会場は、先生と兄弟疑惑で混乱しそうになっていた。しかし、光命が1枚のメモ用紙を持って、司会者の元へ走った。
司会の方が、
「みなさ~ん。学校で、明智さんがいっぱいませんか?」
子供たちがうんうんとうなずく。我が家の学校へ行っている子供は全部で、46人いる。しかし、総数が何十兆ではまぎれてしまうのだ。しかも、うちは婿養子であって、父上の家にも小学校1年生はおり、彼らも当然ながら、明智を名乗っている。
だからこそ、友達はみんな、別の家の子なのだろうと思っていたのだ。しかも、もともと別の家族だったのが、新たに結婚して大家族となっているから、それを我が子の誰かに聞かなければ、知らないのは当然だった。
招待された子供たちは、ようやく話が飲み込めてきた。
「あぁ~、そういうことか」
あちこちから声が上がる中で、急遽、私たち夫婦のお披露目会となった。結婚した順にマイクが渡され、自己紹介をしてゆく。
しかし、21人中9人が小学校教諭であり、もう1人が高等部の教師であるため、友達は大騒ぎになった。しかも、別の有名人も混じっていて、
「蓮だ」
R&Bの人気アーティスト。子供たちが指をさして、芸名を叫んだ。
「あっ! ディーバさんだ!」
学校教育はきちんと行き届いていた。ミュージシャンでも、さんづけしている。
「覚師です」
「先生、かっこいい!」
小学校の歴史教諭にまで、歓声が上がる始末。そうして、
「焉貴です!」
「焉貴先生だ!」
「先生!」
「久しぶり! 元気してた?」
焉貴は以前、小学校の算数教師だったが、高等部に移動となった。だから、知っている子供は多く、会えなかったからなおさらである。コンサート会場みたいになっていた。
そうして最後に、
「張飛です」
と言った途端、招待された子供たちが、
「あれ? 張飛先生と月先生、結婚してたの?」
小学校の男性教諭がふたり、壇上に上がっていた。由百合の父親として。
そこで、張飛がなぜ10月になって、新任教師として学校に来たのか、みんな納得した。
「あぁ~、結婚したから、張飛先生、姫ノ館に来たんだね!」
先生が主役になりそうな会場に、鶴の一声――月命の凛とした澄んだ女性的でありながら、男性の響きが割って入った。
「みなさ~ん。今日はどなたの会ですか~?」
「由百合ちゃんで~す」
子供たちは先生に注目するのはほどほどにして、由百合の誕生日をまた祝い始めた。
パーティが終わって、由百合をはじめとする子供たちから、
「これで、明後日の学校から、新しい生活が始まるね!」
子供たちも友達にいちいち説明するのが大変だったのかもしれない。受け入れない子供は誰もいないけれども、パパが10人でママが11人は珍しすぎて、何度も聞き返されたりして、うまく説明ができなかったもかもしれない。
でも、伝えたかった気持ちはたくさんあったのだろう。無事に広まってよかった。
2019年10月17日、木曜日
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