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三章
03
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塔の中へ入ることを期待していたが、それはできないと言われてしまった。
「森を管理しているのはユーリーン子爵だが、所有しているのは国王陛下だ。森に入ることは禁止されていないが塔に入ることは許されていない。単純に危険だからという理由もある」
精霊姫が晩年この塔で過ごしたのは、もう百五十年ほど前のことだ。
長く管理されてきたが老朽化によって安全とは言えなくなった。
そのため塔内に立ち入ることは禁止されているらしい。
残念に思いつつも塔の周辺を巡ったあとは、そこから湖の景色をしばし眺める。
かつて精霊姫もこの景色を眺めていたのだろうかと思い馳せながら。
しばらく景色を眺めながら続いていた沈黙を破ったのはアルベルトだった。
先ほどよりもやや沈んだ声で詩の話を続ける。
「あの詩は古くから言い伝えられた伝承だ。私が暗唱したのは始まりの章で、その後も詩は続いている。光から現れたその女性は精霊で――『白くまばゆい光のごとく白銀の髪と瞳を持つ』と言われている。その後、同じ容姿を持つ女性が現れると、その女性は決まって精霊の姿を見ることができ声を聞くことができた」
つまり、伝承を信じるなら“精霊姫”は精霊の血を引いていることになる。
自分事として考えると到底信じられないが、精霊の血を引いていると考えればフィーアンダの者たちが“精霊姫”を大事にしている理由の一端がわかる。
それが事実であるなら決して絶やしたくはなかっただろう。
マリアーナはふと、かつて攫われた精霊姫の実家である公爵家はどうなったのだろうと、それが気になった。
「きみが聞いた歌は……恐らく“冬明けの祭り”で歌われていたものだろう」
「冬明けの祭り……」
「春には精霊祭といって精霊を迎える祭りがあるが、冬明けの祭りはその前に行われる。今年一年、精霊のお陰で冬を越すことができたという感謝を込めて、歌や曲を献上して越冬を祝う」
マリアーナは祭りといったものを見たことがなかったが、それを想像して胸が躍った。そんな自分の心境を不思議に思う。
微かなマリアーナの変化を感じ取ったのか、こちらを見下ろすアルベルトの視線が和らいだ。
「精霊は歌や音楽が好きらしい。だから皆で音楽を奏で、歌い、そして踊る。祭りの規模は場所によって異なる。小さな村では一晩で終わるだろうし、大きな町だと三日続くところもある。王都では五日続く」
「そんなに……」
「村や町それぞれの冬を越えた余力で行う祭りだからな。小さな村だと一晩が精一杯だろうが、王都なら数日は続けられる。ただ、一晩だろうが五日だろうが込めた感謝の思いは変わらない」
真摯なアルベルトの言葉に思わずマリアーナは頷いていた。
どんな祭りなのか、そこに人々はどのように想いを込めて参加するのかわからないのに、アルベルトの言葉を聞くと彼らにとって大事な行事なのだということが伝わってくる。
そもそもマリアーナは自国の催し物に参加したことがない。
国境の町では毎年何かやっていたようだが、『フィーアンダの悪女』と言われた自分が行ったところで排除されるのは目に見えている。
成長して以後は、貴族が催す茶会や社交界などにも招待されたことはない。
そのためそういった祭りや集会がどのようなものなのか、本当のところはよく分かっていない。
ただ、歌や音楽が奏でられて人々が踊る様子を想像すると、なぜか気分が高揚してくるのを感じる。
(だけど、わたしは参加しない方がいいわね)
これまでがこれまでだったために、自然とマリアーナはそう考えてしまっていた。
しかし――
「もうじきこの辺りでも冬明けの祭りをやるはずだ。きみも参加してくるといい。ここでは誰もきみを見咎めたりしない」
まるで心の内を見透かしたかのようなアルベルトの言葉に、思わず頬が熱くなった。
先ほどのように胸のうちで呟いた言葉を聞かれてしまったのかと思ったのだ。
だがこちらを見つめる彼の様子から、そうではないらしいことが窺える。とすれば、マリアーナの考えを本当に見透かしたのかも知れない。
参加を許された嬉しさに、また心が高揚していった。
そんなマリアーナを見て目を細めつつ、「ただし」とアルベルトが続ける。
「護衛からは決して離れないでほしい。危険はないだろうが、何が起こるかわからない」
それは契約で決められたことではあったが、改めてそう口にされると心配されているのだと伝わってきて胸が温かくなった。
「ありがとうございます、ルーベンソン公爵――」
心を込めて礼を言うマリアーナだったが、アルベルトの手が伸ばされたかと思うと頬にあてがわれて息が止まる。
片頬がすっぽり覆われてしまうほど大きな手だった。温かくゴツゴツとした指が、まるで壊れ物を扱うように肌を撫でていく。
触れられたところから温もりが伝わり、撫でられたところから頬が熱を持ち始める。
「名前で呼んでくれ、マリアーナ」
「っ……アルベルト様……」
細められた深緑の目が近づいてくるのがわかった。
瞳の温かさに見入っていたが、ゆっくりと身を寄せるアルベルトの意図を察して、マリアーナは自分の鼓動を感じながら目を閉じた。
間近でアルベルトの吐息を感じ緊張に身を強張らせるが、すぐにも重ねられた唇から伝わる熱に何も考えられなくなる。
初めは触れるだけだった口づけも何度か角度を変えて深く重ねられ、唇を啄まれると強張りも溶けていった。
体から力が抜けて無意識にアルベルトに寄りかかり、口づけのわずかな合間に熱い吐息が漏れる。その微かに震える唇をアルベルトの舌先が撫でていき肩が跳ねた。
ところがその時、少し離れたところから咳払いの声がして我に返る。
慌ててアルベルトから体を離し俯いた。
自分たちから距離を取ってついて来ていたフランのことを、すっかり忘れていたことに思い至る。
いろんな意味で羞恥を覚え、跳ねる心臓を感じながらアルベルトからさらに身を離そうとした。
だが、頬に添えられていたはずの手がいつのまにか腰に回り、マリアーナが離れて行くのを許してくれない。
片手を繋いだまま、片腕で抱き寄せられてまた身を強張らせてしまう。
アルベルトは見られて恥ずかしくないのだろうかと思っていると、頭上から「あいつはまったく……」と呆れたような、あるいは責めるような呟きが聞こえてきた。
マリアーナの心臓がやや落ち着きをみせたころ、ようやく抱き寄せるアルベルトの腕の力が緩められた。
間近から見つめられる気配につられて見上げれば、いつもは真っ直ぐにこちらを射抜く瞳から若干躊躇する様子が窺える。
「……アルベルト様?」
「率直に聞きたい――ソフィアのことだ」
一拍遅れてそれがソリヤのことだとマリアーナは気づく。
彼女のことを忘れたことはなかったが、再びその名前を聞くことができるとは思わず、つい目を瞠ってアルベルトを注視する。
「ソフィアのこと、まだきみは怒っているだろうか」
「……『怒って』?……わたしが、ですか?」
「きみを騙していたようなものだ。きみを守るためという役目もあったが、侍女という立場を利用して間諜としても役目を果たした。命令した私にも、実行したソフィアにも怒る理由はあるはずだ」
確かに――とマリアーナは最後にソフィアと顔を合わせたときのことを思い出す。
彼女は言い訳もせず真摯に謝罪の言葉を口にして深く頭を下げた。
ずっと忠実な侍女だと思っていたから衝撃を受けたのは事実で、『裏切られた』という思いが過らなかったわけではない。
だからあの時マリアーナは『そう』としか言葉が出て来なかった。
だが時間が経てばやはり彼女は、マリアーナにとって大事な存在だと思うようになった。
それは決して彼女の侍女としての仕事に助けられたことだけではない。
家族さえも距離を置くなかで、自分に寄り添ってくれたのはソフィアだけだったからだ。
「……わたしは、アルベルト様にもソリヤ――ソフィアにも怒ってはいません。真実を知った当初は悲しいと思いましたが、ソフィアは侍女としてよく働いてくれましたし、わたしの心の支えでもありました。今は感謝の言葉を伝えられなかったことを後悔しています」
マリアーナの言葉に、わずかに緊張していたらしいアルベルトの目元が和らぐ。
「そうか。ではもう一度ソフィアをきみの侍女として迎えてはくれないか。彼女は私の命令できみの元へ行ったが、今ではきみに忠誠を誓っている。だからこそ騙していたことを重く受け止め、きみから距離を取った。ただ、ずっと気に病んでいるというか気もそぞろで落ち着かないらしい――他一名も」
そう言ってアルベルトの視線が一瞬後方へ向けられる。
そこにいるのは護衛のためついて来たフランだけだが――。
「? わたしももう一度ソフィアに会えるなら会いたいです。わたしの方からもお願いいたします」
率直な思いを伝えればアルベルトの目が細められる。
「ありがとう。そう伝えておこう。喜ぶだろう、あいつも――」
再びアルベルトが後方へ視線を向ける。
気になってマリアーナも振り返れば、少し離れたところに居るフランがやはり明後日の方へ向いて立っているだけだった。
「森を管理しているのはユーリーン子爵だが、所有しているのは国王陛下だ。森に入ることは禁止されていないが塔に入ることは許されていない。単純に危険だからという理由もある」
精霊姫が晩年この塔で過ごしたのは、もう百五十年ほど前のことだ。
長く管理されてきたが老朽化によって安全とは言えなくなった。
そのため塔内に立ち入ることは禁止されているらしい。
残念に思いつつも塔の周辺を巡ったあとは、そこから湖の景色をしばし眺める。
かつて精霊姫もこの景色を眺めていたのだろうかと思い馳せながら。
しばらく景色を眺めながら続いていた沈黙を破ったのはアルベルトだった。
先ほどよりもやや沈んだ声で詩の話を続ける。
「あの詩は古くから言い伝えられた伝承だ。私が暗唱したのは始まりの章で、その後も詩は続いている。光から現れたその女性は精霊で――『白くまばゆい光のごとく白銀の髪と瞳を持つ』と言われている。その後、同じ容姿を持つ女性が現れると、その女性は決まって精霊の姿を見ることができ声を聞くことができた」
つまり、伝承を信じるなら“精霊姫”は精霊の血を引いていることになる。
自分事として考えると到底信じられないが、精霊の血を引いていると考えればフィーアンダの者たちが“精霊姫”を大事にしている理由の一端がわかる。
それが事実であるなら決して絶やしたくはなかっただろう。
マリアーナはふと、かつて攫われた精霊姫の実家である公爵家はどうなったのだろうと、それが気になった。
「きみが聞いた歌は……恐らく“冬明けの祭り”で歌われていたものだろう」
「冬明けの祭り……」
「春には精霊祭といって精霊を迎える祭りがあるが、冬明けの祭りはその前に行われる。今年一年、精霊のお陰で冬を越すことができたという感謝を込めて、歌や曲を献上して越冬を祝う」
マリアーナは祭りといったものを見たことがなかったが、それを想像して胸が躍った。そんな自分の心境を不思議に思う。
微かなマリアーナの変化を感じ取ったのか、こちらを見下ろすアルベルトの視線が和らいだ。
「精霊は歌や音楽が好きらしい。だから皆で音楽を奏で、歌い、そして踊る。祭りの規模は場所によって異なる。小さな村では一晩で終わるだろうし、大きな町だと三日続くところもある。王都では五日続く」
「そんなに……」
「村や町それぞれの冬を越えた余力で行う祭りだからな。小さな村だと一晩が精一杯だろうが、王都なら数日は続けられる。ただ、一晩だろうが五日だろうが込めた感謝の思いは変わらない」
真摯なアルベルトの言葉に思わずマリアーナは頷いていた。
どんな祭りなのか、そこに人々はどのように想いを込めて参加するのかわからないのに、アルベルトの言葉を聞くと彼らにとって大事な行事なのだということが伝わってくる。
そもそもマリアーナは自国の催し物に参加したことがない。
国境の町では毎年何かやっていたようだが、『フィーアンダの悪女』と言われた自分が行ったところで排除されるのは目に見えている。
成長して以後は、貴族が催す茶会や社交界などにも招待されたことはない。
そのためそういった祭りや集会がどのようなものなのか、本当のところはよく分かっていない。
ただ、歌や音楽が奏でられて人々が踊る様子を想像すると、なぜか気分が高揚してくるのを感じる。
(だけど、わたしは参加しない方がいいわね)
これまでがこれまでだったために、自然とマリアーナはそう考えてしまっていた。
しかし――
「もうじきこの辺りでも冬明けの祭りをやるはずだ。きみも参加してくるといい。ここでは誰もきみを見咎めたりしない」
まるで心の内を見透かしたかのようなアルベルトの言葉に、思わず頬が熱くなった。
先ほどのように胸のうちで呟いた言葉を聞かれてしまったのかと思ったのだ。
だがこちらを見つめる彼の様子から、そうではないらしいことが窺える。とすれば、マリアーナの考えを本当に見透かしたのかも知れない。
参加を許された嬉しさに、また心が高揚していった。
そんなマリアーナを見て目を細めつつ、「ただし」とアルベルトが続ける。
「護衛からは決して離れないでほしい。危険はないだろうが、何が起こるかわからない」
それは契約で決められたことではあったが、改めてそう口にされると心配されているのだと伝わってきて胸が温かくなった。
「ありがとうございます、ルーベンソン公爵――」
心を込めて礼を言うマリアーナだったが、アルベルトの手が伸ばされたかと思うと頬にあてがわれて息が止まる。
片頬がすっぽり覆われてしまうほど大きな手だった。温かくゴツゴツとした指が、まるで壊れ物を扱うように肌を撫でていく。
触れられたところから温もりが伝わり、撫でられたところから頬が熱を持ち始める。
「名前で呼んでくれ、マリアーナ」
「っ……アルベルト様……」
細められた深緑の目が近づいてくるのがわかった。
瞳の温かさに見入っていたが、ゆっくりと身を寄せるアルベルトの意図を察して、マリアーナは自分の鼓動を感じながら目を閉じた。
間近でアルベルトの吐息を感じ緊張に身を強張らせるが、すぐにも重ねられた唇から伝わる熱に何も考えられなくなる。
初めは触れるだけだった口づけも何度か角度を変えて深く重ねられ、唇を啄まれると強張りも溶けていった。
体から力が抜けて無意識にアルベルトに寄りかかり、口づけのわずかな合間に熱い吐息が漏れる。その微かに震える唇をアルベルトの舌先が撫でていき肩が跳ねた。
ところがその時、少し離れたところから咳払いの声がして我に返る。
慌ててアルベルトから体を離し俯いた。
自分たちから距離を取ってついて来ていたフランのことを、すっかり忘れていたことに思い至る。
いろんな意味で羞恥を覚え、跳ねる心臓を感じながらアルベルトからさらに身を離そうとした。
だが、頬に添えられていたはずの手がいつのまにか腰に回り、マリアーナが離れて行くのを許してくれない。
片手を繋いだまま、片腕で抱き寄せられてまた身を強張らせてしまう。
アルベルトは見られて恥ずかしくないのだろうかと思っていると、頭上から「あいつはまったく……」と呆れたような、あるいは責めるような呟きが聞こえてきた。
マリアーナの心臓がやや落ち着きをみせたころ、ようやく抱き寄せるアルベルトの腕の力が緩められた。
間近から見つめられる気配につられて見上げれば、いつもは真っ直ぐにこちらを射抜く瞳から若干躊躇する様子が窺える。
「……アルベルト様?」
「率直に聞きたい――ソフィアのことだ」
一拍遅れてそれがソリヤのことだとマリアーナは気づく。
彼女のことを忘れたことはなかったが、再びその名前を聞くことができるとは思わず、つい目を瞠ってアルベルトを注視する。
「ソフィアのこと、まだきみは怒っているだろうか」
「……『怒って』?……わたしが、ですか?」
「きみを騙していたようなものだ。きみを守るためという役目もあったが、侍女という立場を利用して間諜としても役目を果たした。命令した私にも、実行したソフィアにも怒る理由はあるはずだ」
確かに――とマリアーナは最後にソフィアと顔を合わせたときのことを思い出す。
彼女は言い訳もせず真摯に謝罪の言葉を口にして深く頭を下げた。
ずっと忠実な侍女だと思っていたから衝撃を受けたのは事実で、『裏切られた』という思いが過らなかったわけではない。
だからあの時マリアーナは『そう』としか言葉が出て来なかった。
だが時間が経てばやはり彼女は、マリアーナにとって大事な存在だと思うようになった。
それは決して彼女の侍女としての仕事に助けられたことだけではない。
家族さえも距離を置くなかで、自分に寄り添ってくれたのはソフィアだけだったからだ。
「……わたしは、アルベルト様にもソリヤ――ソフィアにも怒ってはいません。真実を知った当初は悲しいと思いましたが、ソフィアは侍女としてよく働いてくれましたし、わたしの心の支えでもありました。今は感謝の言葉を伝えられなかったことを後悔しています」
マリアーナの言葉に、わずかに緊張していたらしいアルベルトの目元が和らぐ。
「そうか。ではもう一度ソフィアをきみの侍女として迎えてはくれないか。彼女は私の命令できみの元へ行ったが、今ではきみに忠誠を誓っている。だからこそ騙していたことを重く受け止め、きみから距離を取った。ただ、ずっと気に病んでいるというか気もそぞろで落ち着かないらしい――他一名も」
そう言ってアルベルトの視線が一瞬後方へ向けられる。
そこにいるのは護衛のためついて来たフランだけだが――。
「? わたしももう一度ソフィアに会えるなら会いたいです。わたしの方からもお願いいたします」
率直な思いを伝えればアルベルトの目が細められる。
「ありがとう。そう伝えておこう。喜ぶだろう、あいつも――」
再びアルベルトが後方へ視線を向ける。
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