天然ノンケと同棲しています。

Hiiho

文字の大きさ
126 / 210

不測の事態 1

しおりを挟む
 青と暮らし始めて二年が経とうとしていた。
 ふたりは上手くいってると思うし、オレはと言えば仕事も順調で、副店長を任されるほどになっていた。

 何もかもが上手くいきすぎていて、オレは忘れていたのかもしれない。
 青とのこの関係が、ひどく不確かで、繋ぎ止めるものが何もないということを。


「涼太、ちょっといい?」

「はい」

 パソコンの前に座り、スタッフのシフト表を作っていたオレは、店長に呼ばれて店長室へ入る。

「涼太さ、モデルやってみる気ない?」

「え!?モデル、ですか?」

 いきなり過ぎる店長の言葉に、目が点になる。

「そー。うち、SNSでスタッフのコーディネート上げてるじゃん。涼太が出てると閲覧数も上がるし、これは誰だって問い合わせが多いらしいんだよ」

「はあ」

 なんだかピンとこねーな。

「そしたら、上の連中が青田買いで涼太をうちのブランドの広告塔にしよっかって話になったらしくて、涼太さえ良かったら、モデルとして専属契約させて欲しいんだってさ」

「はあ。なんでオレですか?他にいるでしょーに」

 突然の話すぎて、頭が混乱してきた。

「おまえ、その顔でそれを言うか?俺は悪い話じゃないと思うけどな。まあ、考えてみてよ」





 家に帰ったオレは、昼間店長に言われた事を思い出していた。

 オレがモデル?・・・いや無理だろ。今の仕事が好きだし、だいたいオレはふつーの会社員だぞ?人前であんま笑えねーし、SNSの写真だっていつもテキトーにスマホで撮ってもらってるやつだし。

「涼太、なんかあった?」

 考え込んでいるオレに気付いて、青がオレの顔を覗き込んでくる。

「あー、うん。なんか、店長が、うちの会社のモデルやらねーかって・・・」

「は?モデル?ダメに決まってんだろ」

 だよな。

「オレもそう思う」

「涼太がモデルなんかやったら、また余計な奴らが近付いてくるだろーが」

 そういう理由かよ。

「そんな事より、うちの店舗いくつあると思ってんだよ。全店にオレの写真が並ぶって考えたら、気持ち悪いだろ。ムリだわ」

 ダメだ。想像しただけで寒気がする。やっぱり断ろう。

「全国に俺のカワイイ涼太が・・・そんなん耐えれねぇ。涼太は俺だけのもんだろ?」

 青の手が頬にかかり、瞼にキスが落ちてくる。
 目を開けて青を見上げると、怒ったような困ったような青の顔があった。

「おまえを、誰にも見せたくない。このままここに一生閉じ込めて、俺がいなきゃ生きてけないようにしたいくらいなんだからな、俺は」

 青に骨が砕けるかと思うくらい強く抱きしめられる。

「青・・・痛いし、こえーし」

「本当にするわけねーだろ。それくらい、涼太が好きだって事だよ。わかれよな」

 わかってる。つもりではいる。
 時々激しくなる感情も行動も、かと思えば優しく触れてくる手も言葉も、どんな時でも青から、好き、を貰っている気がする。

「涼太、していい?」

 え!?もー、すぐそーなるんだよな・・・

「オレ、休みまでまだ遠いんだけど・・・」

「入れねぇから。ダメ?」

 ・・・まあ、挿入無しならいっか。

「ちょっとだけだからな!」

「大好きだよ、涼太」





 ・・・といいつつ、昨日も最後までヤッてしまうオレ。
 ああ~。下半身がダルい。

「店長、昨日の話、お断りさせて頂きたいです」

「やっぱ、涼太ならそう言うと思ってた」

 思ってたら最初から言うなよな~。無駄に体力使っちゃったじゃん!

「そう思って、もうひとつ用意してる事がある」

「なんですか?」

 小出しにすんなよな、オッサン。

「上海、行く気ないか?」

しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...