それだけは絶対にお断りします!

きんのたまご

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それから2日後夫は屋敷に帰って来た。
私が思っていたよりも随分早いお戻りに内心では驚いたがそれだけ早く私と離縁したかったのだろう、そう思うとこの帰宅も納得出来た。
「旦那様お帰りなさいませ」
「ああ…話がある少しいいか」
そして私達は旦那様の部屋に移動する。
部屋に入ってすぐ私は言った。
「旦那様はお忙しいようですのでお手紙のお返事だけ頂ければ結構です」
私がそう言うと夫は懐から離縁状を取り出し私の目の前でビリビリに破いたのだ。
「旦那様何を!」
「離縁は絶対にしない!」
普段穏やかな旦那様が声を荒らげそう言ったので思わず身体がビクリとしてしまう。
私のその様子に旦那様は気まずそうに俯いた。
「どのような理由で君が離縁を求めるのか分からないが……暫く考え直して欲しい」
「それだけはお断りします。私の気持ちは変わりません。私は結婚した時お約束した通り旦那様の幸せの為だけに行動しているのですから」
そこまで言うと私は自分の部屋に戻った。


自分の部屋に戻ると侍女と息子が遊んでいた。
夫と私が離縁すれば夫は必ず幸せになれる。私の唯一の心残りはこの愛しい息子。


夫の想い人は平民の女性だ。
夫が立ち上げた貿易会社の近くのお店で働く方。会社の場所をあそこにしたのも彼女を見守る為だろう。
私と夫が離縁出来て夫が彼女と一緒になる、そこまではまあ、難しいが絶対に無理な事では無い。しかし跡継ぎの事は別だ。
……確かに夫の子供であるならば妻がどんな立場であったとしても家を継がせる事が出来ればいいと私は思う。それが全ての人の幸せであると。しかし貴族社会は独特だ、妻の立場が低いとそれだけで下賎な子供と罵られてしまう。
幸いにも我が家は夫の格に合う家だった、幼い頃からの婚約者、夫には丁度良かったのだろう、跡継ぎを産んでくれる人がいる事が…だから夫は好きでも無い私を抱いたのだ。


思っているよりも随分早く子供は出来た。
しかも男の子、夫は心底安心した事だろう。
これで好きでも無い女を抱く必要も無い、夫も私も責任を果たしたのだ。それを証明するかのように子供を産んでから別々になった寝室は未だ別々のまま。


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