仕事と推しの為に生きると決めた私が上司から溺愛されとにかく困っています

きんのたまご

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私の仕事は広告会社の営業である。
引きこもりの私にはなかなか厳しい業種ではあるが仕事と割り切り頑張っている。 

今日は胡散臭い程爽やかな陽属性の係長との営業だ。
陰属性の私にとっては眩しくて仕方ない。
ただでさえ営業に出る日は憂鬱なのに。
周りの同僚からは男女関わらず係長と一緒なんて羨ましいと言われまくった。解せぬ。


出来る上司との仕事は楽で良い。
取引先との話はスムーズに終わり今は会社に向い歩いている。
ブブブブブブブ
係長の携帯が震える。
「もしもし」
話しながら少し離れて行く。私はその場で立ち止まり係長を待つ。
「お待たせ」
「いいえ、大丈夫です」
「今の電話会社からだった、今日はこのまま直帰でいいそうだ」
「本当ですか?」
うわぁーい、やったー!ちょっとでも早く帰れると言うことはそれだけ早く推しの元に行けると言うこと!
私の意識はもう家に向かっていた。
「まだ時間も早いし、良かったら今日の仕事の成功をお祝いして晩御飯でもどう?」
その言葉に家に向かっていた私の意識は無理矢理こちらに戻された。
「はい」
そんないい顔でそんな事言われて、しかも相手は上司。予定なんぞ当然無い。私には断る術が見つからなかった。
これだから人付き合いは嫌いだ。

暖簾を( *˙ω˙*)و グッ!とくぐり焼き鳥屋に入る。
「いらっしゃい」
渋い大将が焼き鳥を焼きながら挨拶してくれる。
私達はカウンターに並んで腰掛ける。
「飲み物どうする?」
おしぼりで手を拭きながらそう聞く係長。
「えっと、じゃあウーロンハイで・・・」
「ん、すいませーん」
「はい!」
元気のいい店員さん。
「ウーロンハイ1つと生ビール1つ」
「はい!」
係長の顔を見る。
「係長もこう言う店来るんですね」
思わず呟いていた。
「いや、普通に来るだろ」
何言ってんだ?こいつ。みたいな顔でこっちを見ている。
「いや、係長だし・・・もっとオシャレな店とか行くのかなって」
「・・・・・・俺ってそんなイメージ?」
「・・・はぁ、まぁ」
私は曖昧に返事しておく。
「お待たせしました!」
タイミング良く店員さんが飲み物を持って来る。
「取り敢えず乾杯しますか?」
「ああ、じゃあ今日の仕事の成功にカンパーイ」
そう言った途端凄い勢いで係長はビールを呑む。
「おお、いい呑みっぷりですねぇ」
そう言った私の顔をじっと見てくる。
「どうかしましたか?あっ大将!手羽先下さい!」
「俺がこう言う店にいたら変か?」
ん?まださっきの話か?
「さっき私が言った事なら気にしなくていいと思いますけど」
「いや、違うんだ。俺はどうも人から思われているイメージと中身にギャップがあるらしいんだ」
ん?何だ?いきなり相談が始まった。もう酔っているのか?
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