上 下
16 / 39

13

しおりを挟む
王妃様との話が和やかに進むなかその隣の皇太子殿下から何やら視線を感じる。
う~ん。何だろうか、この落ち着かずモゾモゾする感じ。
そもそも、そんなに視線を投げ掛けられるような変なことはしてないはず。
う~ん。…顔か??
やっぱりこんな地味なのが…以下略。
的な事を思われているのだろうか。

「ミリア孃も先日の夜会に参加を?」

「えぇ、おりましたが…」
何だ?こんな地味なやつが本当に来てたのかってか?
私は王子様をジト目で見た。
「私も参加していたんですがお見かけしなかったもので」
にっこり微笑みながら顔を見てくる。
「ふふふ、私のような地味なものが殿下の目に留まる事はありませんわ。それにあの夜会にはそれこそ美しいご令嬢が沢山いらっしゃいましたもの」
まぁ、私を見かけていないのは当然である。
あの日はこの姿ではなく本来の姿で参加したんだもの。
それにしても色とりどりのドレス綺麗だったなと、前世一般庶民の私がうっとり自分の世界へトリップしていると
「実はあの夜会で興味深いご令嬢を見付けたんですよ」
おっ?恋バナか?
いくら自分の恋愛にはまったく興味がない私でも腐っても中身は花も恥じらう乙女なのだ!それこそ美しい王子様の恋バナなんて!興味無い方が嘘だろう。
「あら、殿下がご興味をもたれるなんてさぞ美しい方なんでしょうね。羨ましいですわ。で、その羨ましいご令嬢はどちらの方なんですか?」
私がそう聞くと隣の王妃様も息子のロマンスの予感に興味津々。
「あら?そんな娘(こ)がいたの?この子ったらわたくしにもそんな事言わなかったのに。で、どちらのご令嬢なの?」 
おぉ!ぐいぐいいくなぁ。
「実は顔はわからないんですよ」
王妃様と私は頭の中に?思い浮かべながら顔を見合う。
その様子が可笑しかったのか王子様は笑いながら続ける。
「そのご令嬢はなぜかカーテンに隠れていてね。どうしたのか声を掛けたら…ふふっははは…。あー思い出しても可笑しい」
私は可笑しそうに笑う殿下を見ながら内心動揺しまくっていた。
今の話…。私だ!おおぅまさかあの時話をしたあのチャラ男が殿下だったとは!
「でね、そのご令嬢。話を聞くとなんと自分はカーテンの中にいて他のご令嬢を眺めてたって言うんだよ。そんなご令嬢今まで見たことも無かったから、びっくりしてね」
… …。
うん、まぁあれだ!顔は見られてない。大丈夫!今の話を聞いている限り恋とか愛とかでは無い!それだけは確実だ。
「へ、へぇ…かわったご令嬢もおられるのですね。ふふふ」
私は何にも知りませんよー。
「なんだ興味深いってそういう事なの?結婚したいなーなんて思う娘(こ)はいなかったの?」
王妃様がさもつまらなそうに唇を尖らせている。
「あら、殿下ほどのお方なら引く手あまたでございましょう?」
私の言葉に王妃様は
「そうなのよ、そう思うでしょう?わたくしの息子だけあって容姿は申し分ないと思うのよ、陛下ににて仕事には真面目に取り組んでいるし。でもそういう浮いた話がちっともないのよ。早く可愛いお嫁さんとお茶会とかしてみたいのにー」
そんな事を言っている王妃様の方が可愛らしいですよと心の中で思った。
しおりを挟む

処理中です...