美人が得って本当ですか?

きんのたまご

文字の大きさ
34 / 39

28

しおりを挟む
私の誕生パーティーから早いものでもう2ヶ月がたった。
あの日のあの胸のモヤモヤは多分初めて出来た友達を取られるかもしれない寂しさだったのだろう。
しかし相手は皇太子殿下。私のようにいつまでもお一人様でいるわけにはいかないだろう。王妃様からも
「あの子好きな子がいるようなの。ミリア、誰か心当たりは無い?」
と聞かれた。
勝手に話す訳にもいかず あの日のご令嬢の事は言っていないが早く王妃様に紹介すれば良いのに。 ついでに私にも紹介して欲しい。
……友達なんだから。
むぅー。なんかモヤモヤするな。
こんな時は気分転換だ!
私はかつての引きこもりルックに着替え街へと繰り出した。
やっぱりこの格好は落ち着く。

こうして街へと出るのは久しぶりだ。私は色んな店を見てまわる。
「やっぱりこの格好は楽!」
誰に見られることもなく気楽なものだ。
「う~ん。買い食いしちゃおっかな?」
流石にご令嬢に転生?してから買い食いなんてしたことはないのでドキドキするがさっきから良い臭いがたくさんで……もう我慢出来ない! 
近くにあるソーセージの店を目指す!
大きな釜で沢山のソーセージが茹でられていてもう良い匂い過ぎる!
大きなソーセージを一本貰う、あぁこの艶!今にもはち切れんばかりのぷりぷり感!
……じゅるり。はっ!いけない!ヨダレが!
でわ。いただきまーす。
プチッ!じゅわぁ。肉汁~!うま~い。はぁ、幸せ~!
私は口いっぱいに幸せの味を頬張った。

ちょっと休憩。広場の噴水のへりに腰掛ける。
ぼーっと行き交う人々を眺める。お昼だけど良い感じにほろ酔いのおじさん、手を繋いで買い物している母娘、屋台の元気なおばさん。あぁこれが平和なんだなって思う。

「皇太子様どうやらお好きな方がおられるらしいよ」
「へぇ、じゃあもうすぐご結婚かねぇ。めでたいねぇ」
どこからともなく噂話が聞こえる。
うぅ、気分転換に出て来たのにまたこの話。しかしこんなに皆が知ってること言うことは関係が大分進んでいると言うことだろう。殿下の周りにそんな感じのご令嬢見たことなかったケド……。私に内緒で愛を育んでいたのか。しかし何で私は気付かない?鈍いのか?……いや!王妃様も知らない感じだったし殿下が隠すのが上手なんだろう。そうだ、そう思おう!
……今度会ったらちょっと聞いてみようかな?友達だしいいかな?それとも殿下のお相手だしギリギリまで隠しておくのかな?嫉妬とかされそうだしな。私にまで色々言って来た人がいたぐらいだしな。いいな大事にしてるんだな。
私もそんな風に思ってくれる人が欲しい!
「よしっ!」
こうなれば私も頑張ってお相手を探そう!もう、お父様の事は無視だ!
私は決意も新たに屋敷へと帰るのだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

正妻の座を奪い取った公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹のソフィアは姉から婚約者を奪うことに成功した。もう一つのサイドストーリー。

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。 ※新作です。アルファポリス様が先行します。

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

処理中です...