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意気込んだのはいいものの全くと言っていい程私の婚約者探しは捗らない。
地味令嬢の仮装?変装?もやめ、そこそこ綺麗めの令嬢だと思っていたんだけど。
出る夜会出る夜会、なんだか令息達に避けられているような?なんかしたか?
目が合って見つめ合い、逸らされる。
.........。私の後に何か見えるのか?
その代わり今まで地味だった私が劇的変化で美しい令嬢になって夜会に現れたものだから他のご令嬢達からはどうしてそんなに綺麗になったのか!と大人気。
…うん。これはこれでいいのかも。

    
こうして終わった社交シーズン。
女の子の友達がいっぱい出来ました。

「お父様、お母様。わたくし結婚出来ないかもしれません」
ある日の朝食、私の問題発言で屋敷は揺れ動いた。
「ど、どうしたんだい?何かあったのかい?」
お父様慌てすぎです。お父様の言葉に私は首を振る。
「いいえ、逆ですわお父様。なーんにも無いんですの。本当に何も、出会いも何も」
はぁ。ため息しか出ない。
「あら、どうしてかしらねぇ。ミリアちゃんとっても綺麗なのに」
「お母様、それは身内の贔屓目かもしれません」
「そんな事ないわよ。私が貴方の母親じゃなくても貴方は綺麗よ?」
いや、正直そこはわかってるんですよ。自惚れではなく本当に私は美人だと思うんですよ。
「どうも御令息達から避けられているようで…不思議ですよね」
はぁ。またため息が!
「.........。」
「?」
お父様とお母様が顔を見合わせてらっしゃる。
「どうかしましたか?」
そんなお2人に問いかける。
「いいえ、なんでもないわ。ミリアちゃん、貴方が急に綺麗になったものだから御令息達も戸惑っているのかもしれないわよ」
「そんなものでしょうか?」
「ええ」
そうなのかな?まぁお母様がそう言うのならばそうなのかもしれない。
「それに急いで婚約者を作ることないわ。ゆっくり自分に本当に合う相手を見つけなさい」
「!はい!ありがとうございます、お母様」
お父様お父様のお陰で気持ちが軽くなった私は鼻歌交じりで自分の部屋へと戻った。




「あなた、この間王妃様から来ていた手紙」
「ああ、まさか本気だったとは」
鼻歌交じりで部屋へ戻る娘の背中を見ながら2人はため息をついた。
「あの子が夜会で相手を見つけることは出来ないわねぇ」

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