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今日は朝早くから結婚式の準備で……私はもう限界にまで疲れていた。
しかも初夜だということで寝ずに三時間も待たされて……もう眠気が限界だ。
言葉の通じない夫、意思疎通の出来ない夫、自意識過剰な夫、ああ、どれを選んでも面倒なのに全てを兼ね備えている男が私の夫だなんて……絶望しかない。
「これから……」
そう呟く男。
「ええ、そうです。これからです。愛の無い夫婦生活がどうしても嫌だと仰られるのであれば、離縁しかございません。ですがそうなった場合慰謝料諸々貴方から出していただく事になります……理由は勿論分かりますよね?こうして結婚したのに其方の都合で離縁する事になるのですから当然そうなります、分かりますね?」
お願い、もういい加減頷いてと言う気持ちを込めてしっかり説明し、同意を促す。
男は説明を聞き一つ頷いた。
「勿論、離縁となった場合慰謝料は払わせて貰う」
「はい、分かりました。本当ならば直ぐにでも書面のほうに起こした方が良いのですが、何せ急な事で準備がございません、それはまた明日にでも致しましょう」
そして男はまた一つ頷く。
「そして、もう一つ離縁しないとなった場合。結婚して直ぐ離縁なんて世間体が悪いなどとなった場合です。……貴方はきっと今こう思っていますね?二人の事なのに…今すぐ離縁すると決めてしまえば良いではないか、と。それは違いますよ、ちゃんとお家の事も考えて頂かなければなりません。私の実家とて、今日結婚した筈の娘がこんな下らない理由でまさか実家に出戻って来るなどと考えてもいないでしょうし。そもそもこれは政略結婚、家同士の婚姻と考えて頂いた方がよろしいかと思われます、ですのでこの婚姻に関わる全ての事は両家の当主である両親に相談しなければなりません、分かりますね?」
「……ああ」
男の返事に私も一つ頷いた。
「では、明日……いえ、もう今日になるのでしょうか……両家の当主を交えて話し合いをさせて頂きたいのですが」
「分かった」
よっし!何とか纏まりそう。私は心の中でガッツポーズを作る。
「一つ言わせていただきますと、私と致しましては暫く離縁はしないとした方がいいと思います」
「…何故だ?」
「まあまずは私がとても面倒だからです。折角色々、本当に色々と準備して此方に嫁いで来たのに直ぐに実家に出戻るなんて…また面倒な準備をしなければなりません。そしてもう一つの理由としてはこれが政略結婚であると言うことです。政略結婚と言う話が出るということはこの結婚にお互いの家の利益が発生すると言うことなのです」
「…そうだな」
「はい、ですので……そうですね、例えば期限を決めて、三年なら三年、その間私たちは形だけの夫婦として過ごしこの婚姻によって得られる利益を得られるだけ得てその後蟠りも未練も無く綺麗さっぱりスッキリ潔く離縁する、これが良いと思います。まあ貴方には多少我慢して頂く事になるかもしれませんが、これくらいは貴方が当然負う義務として受け入れて頂くしかございません」
男は私の話を黙って聞いていた。
「……私の方の負担は考えなくてもいい、それよりも…君はそれで大丈夫なのか?その、自分を愛していないと分かっている男と一緒に暮らして行く事について」
「この際正直に言わせていただきますと、私も貴方を愛して嫁いで来た訳では有りませんので、そこの心配はご無用ですわ、寧ろ私の方も…まあ今となっては恥ずかしい勘違いですけれど、もし貴方の方が私に少しでも好意を寄せてくださっていたら申し訳ないと思っていた程です、あっ!大丈夫ですよ!もうそんな事ちっとも思っておりませんので、ご安心下さい」
そう言って私は、今日初めて意思の疎通の取れた夫に満面の笑みを向けた。
しかも初夜だということで寝ずに三時間も待たされて……もう眠気が限界だ。
言葉の通じない夫、意思疎通の出来ない夫、自意識過剰な夫、ああ、どれを選んでも面倒なのに全てを兼ね備えている男が私の夫だなんて……絶望しかない。
「これから……」
そう呟く男。
「ええ、そうです。これからです。愛の無い夫婦生活がどうしても嫌だと仰られるのであれば、離縁しかございません。ですがそうなった場合慰謝料諸々貴方から出していただく事になります……理由は勿論分かりますよね?こうして結婚したのに其方の都合で離縁する事になるのですから当然そうなります、分かりますね?」
お願い、もういい加減頷いてと言う気持ちを込めてしっかり説明し、同意を促す。
男は説明を聞き一つ頷いた。
「勿論、離縁となった場合慰謝料は払わせて貰う」
「はい、分かりました。本当ならば直ぐにでも書面のほうに起こした方が良いのですが、何せ急な事で準備がございません、それはまた明日にでも致しましょう」
そして男はまた一つ頷く。
「そして、もう一つ離縁しないとなった場合。結婚して直ぐ離縁なんて世間体が悪いなどとなった場合です。……貴方はきっと今こう思っていますね?二人の事なのに…今すぐ離縁すると決めてしまえば良いではないか、と。それは違いますよ、ちゃんとお家の事も考えて頂かなければなりません。私の実家とて、今日結婚した筈の娘がこんな下らない理由でまさか実家に出戻って来るなどと考えてもいないでしょうし。そもそもこれは政略結婚、家同士の婚姻と考えて頂いた方がよろしいかと思われます、ですのでこの婚姻に関わる全ての事は両家の当主である両親に相談しなければなりません、分かりますね?」
「……ああ」
男の返事に私も一つ頷いた。
「では、明日……いえ、もう今日になるのでしょうか……両家の当主を交えて話し合いをさせて頂きたいのですが」
「分かった」
よっし!何とか纏まりそう。私は心の中でガッツポーズを作る。
「一つ言わせていただきますと、私と致しましては暫く離縁はしないとした方がいいと思います」
「…何故だ?」
「まあまずは私がとても面倒だからです。折角色々、本当に色々と準備して此方に嫁いで来たのに直ぐに実家に出戻るなんて…また面倒な準備をしなければなりません。そしてもう一つの理由としてはこれが政略結婚であると言うことです。政略結婚と言う話が出るということはこの結婚にお互いの家の利益が発生すると言うことなのです」
「…そうだな」
「はい、ですので……そうですね、例えば期限を決めて、三年なら三年、その間私たちは形だけの夫婦として過ごしこの婚姻によって得られる利益を得られるだけ得てその後蟠りも未練も無く綺麗さっぱりスッキリ潔く離縁する、これが良いと思います。まあ貴方には多少我慢して頂く事になるかもしれませんが、これくらいは貴方が当然負う義務として受け入れて頂くしかございません」
男は私の話を黙って聞いていた。
「……私の方の負担は考えなくてもいい、それよりも…君はそれで大丈夫なのか?その、自分を愛していないと分かっている男と一緒に暮らして行く事について」
「この際正直に言わせていただきますと、私も貴方を愛して嫁いで来た訳では有りませんので、そこの心配はご無用ですわ、寧ろ私の方も…まあ今となっては恥ずかしい勘違いですけれど、もし貴方の方が私に少しでも好意を寄せてくださっていたら申し訳ないと思っていた程です、あっ!大丈夫ですよ!もうそんな事ちっとも思っておりませんので、ご安心下さい」
そう言って私は、今日初めて意思の疎通の取れた夫に満面の笑みを向けた。
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