私の中から貴方だけが姿を消した

きんのたまご

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私はベッドの上で今日の事を思い出していた。
ヘクターが私が事故を起こした日に女生徒とキスしていた事言った時のメアリー…本当に人を殺せそうな位の目の鋭さでヘクターを見ていた。その後ヘクターは「……君の気のせいだろう、まだ記憶が曖昧なんだね」と意味の分からない事を言って帰って行った。まあ、そこまでは良かった。しかしヘクターが帰った後のメアリー…表に出さないようにしていたみたいだけど…凄く怖かった!メアリーの周囲にだけブリザードが吹き荒れているようだった。
…まさかメアリーはヘクターの事を好きなのだろうか…だから私がヘクターがカトリーヌの相手だと勘違いしていたのを注意したのだろうか。あの人は私の想い人なのよ!みたいな?
そうか……メアリーそうだったのか…。
うん、人を好きになのは自由だよね……でも!ごめんメアリー!あの人との事は応援出来そうにも無いわ!
そもそもメアリー以外の人とキスしていた時点で無理!ヘクターはメアリーの気持ちを知らないのかもしれないけれど…それでもやはりメアリーだけを大切にしてくれる人で無ければとてもじゃ無いけど応援する事は出来ない!
そもそもヘクターのあの態度、女の子慣れしている。し過ぎている、きっと自分の顔が良いのをいい事に遊びまくっているに違いない。
…メアリー!あの顔だけ男の一体どこに好きになる部分があるというの?もう私には分からないわ!ああ!半年間眠っていた私だけど今日はちょっと眠れそうに無いわなんて思いながら眠りに付いた。


「お嬢様が事故を起こされた日、ヘクター様は学園の中庭でお嬢様でない他の女生徒とキスしていたらしいです。お嬢様が急に思い出されてそう仰っていました」
私は今日の昼間の事をお嬢様のお姉様であるマリアンヌ様にご報告する。
マリアンヌ様は…少々…大分…そのお嬢様好きを拗らせておいでなので以前から(お嬢様が事故を起こす前)大切なお嬢様のお相手となるヘクター様の事をそれはもう注意深く見ておられた。
どこぞのスパイかと思う程の情報収集力でヘクター様の数多くいるお相手の調査をなさっていて…その情報はどうするのですか?と聞いた時のマリアンヌ様の黒い笑顔は忘れられない…。
そんな妹好きすぎるマリアンヌ様でさえもこの事は知らなかったようで、まあ当然か、お嬢様の事故でそれどころでは無かったものね…今は烈火の如く物凄く怒っていらっしゃるようだ。
「それであの子の様子は?」
「お嬢様自体はヘクター様がご自分の婚約者であるという記憶と共に今までのお気持ちも忘れていらっしゃるようで、その事について落ち込んだりと言う事はありませんでした」
私のその言葉にマリアンヌ様はほっと胸を撫で下ろした。これでお嬢様が落ち込んでいらしたらもう目も当てられない状況になっていただろうと遠い目をしていると「よし!」と言う声が聞こえたのでマリアンヌ様の方を見るとマリアンヌ様はそれはそれはいい笑顔で言った。
「ヘクターの調査再開しましょう」
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