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アレクシスと領地に来てから早いもので二週間が経とうとしていた。
アレクシスは毎日外で走り回っている。
こんなに活発なアレクシスを見るのは初めてだった。
領地の子供達ともすぐに仲良くなって毎日笑っている。
帰る日を決めて来てはいなくて、でもそんなに王都の屋敷を長く空ける訳にもいかないと思っていたけどアレクシスのあんな笑顔を見たらずっとここに居てもいいんじゃないかと思うようになってきていた。
離縁。そんな言葉が頭に浮かぶ。
今までも考えた事が無かった訳では無いけれど、暴力を振るわれる訳でも無く、金遣いが荒い訳でも無く、女性の影が見え隠れする訳でも無く、まぁそこは上手く隠しているだけなのかもしれないけれど……兎に角ただ、ただ放っておかれるだけ。それだけの事。
それこそ世の中には暴力を振るう、まともに稼がない、他所に女を何人も作る。そんな夫もいると聞く。
そんな話を聞くと私はただ放置されているだけで本当は恵まれているのかもしれないと思い、夫を夫と思わず同居人として穏やかに生活していけたらと思っていたけれど、ここで伸び伸びと暮らすアレクシスを見るとそうでは無く、もっとアレクシスにとって良い何かが出来たのではないかと思うようになった。
そしてそれは夫との離縁なのではないかと。
「お母様~!」
手を振りこちらへ駆けてくるアレクシス。
胸に飛びついてくる息子をぎゅっと抱き締める。
「これ!お母様に」
そう言ってアレクシスは野草の花束を差し出してくる。
「わぁ、とても綺麗だわ!ありがとう」
チュッとそのふくふくした頬にキスをする。
すると恥ずかしそうにはにかみながらへへへと笑うアレクシス。
私の勝手な思いだけでこの子から父親を奪ってはいけないと今までどれだけ夫から捨て置かれても我慢してきたけれど、それがアレクシスにとって良かったのか悪かったのかは今のアレクシスの笑顔を見れば一目瞭然だった。
その夜夢を見た。
アレクシスが笑っていた。
メルも笑っていた。
リチャードも笑っていた。
他の使用人達も笑っていた。
夫の義両親も笑っていた。
私の両親も笑っていた。
私もきっと笑っている。
真っ白なドレスに身を包む私。
ああ、きっと今日は結婚式なのだわ。
一生で一度。とてもとても幸せな日。
遠くに白いタキシードの男性。
私はその男性へと近付き顔を覗き込む。
それは確かに私の夫だった……きっと夫も幸せな顔で笑っていると……そう、思っていた。
その人が夫であると分かるのにその顔は見えなかった。
目を覚ますと空が白んで、もうすぐ夜が明ける所だった。
「夫の笑顔なんて一度も見た事無かった……」
今更のことに今頃気付き、もうすっかり枯れ果てていただろうと思っていた涙が出た。
「やはり最初から間違っていたのね」
アレクシスは毎日外で走り回っている。
こんなに活発なアレクシスを見るのは初めてだった。
領地の子供達ともすぐに仲良くなって毎日笑っている。
帰る日を決めて来てはいなくて、でもそんなに王都の屋敷を長く空ける訳にもいかないと思っていたけどアレクシスのあんな笑顔を見たらずっとここに居てもいいんじゃないかと思うようになってきていた。
離縁。そんな言葉が頭に浮かぶ。
今までも考えた事が無かった訳では無いけれど、暴力を振るわれる訳でも無く、金遣いが荒い訳でも無く、女性の影が見え隠れする訳でも無く、まぁそこは上手く隠しているだけなのかもしれないけれど……兎に角ただ、ただ放っておかれるだけ。それだけの事。
それこそ世の中には暴力を振るう、まともに稼がない、他所に女を何人も作る。そんな夫もいると聞く。
そんな話を聞くと私はただ放置されているだけで本当は恵まれているのかもしれないと思い、夫を夫と思わず同居人として穏やかに生活していけたらと思っていたけれど、ここで伸び伸びと暮らすアレクシスを見るとそうでは無く、もっとアレクシスにとって良い何かが出来たのではないかと思うようになった。
そしてそれは夫との離縁なのではないかと。
「お母様~!」
手を振りこちらへ駆けてくるアレクシス。
胸に飛びついてくる息子をぎゅっと抱き締める。
「これ!お母様に」
そう言ってアレクシスは野草の花束を差し出してくる。
「わぁ、とても綺麗だわ!ありがとう」
チュッとそのふくふくした頬にキスをする。
すると恥ずかしそうにはにかみながらへへへと笑うアレクシス。
私の勝手な思いだけでこの子から父親を奪ってはいけないと今までどれだけ夫から捨て置かれても我慢してきたけれど、それがアレクシスにとって良かったのか悪かったのかは今のアレクシスの笑顔を見れば一目瞭然だった。
その夜夢を見た。
アレクシスが笑っていた。
メルも笑っていた。
リチャードも笑っていた。
他の使用人達も笑っていた。
夫の義両親も笑っていた。
私の両親も笑っていた。
私もきっと笑っている。
真っ白なドレスに身を包む私。
ああ、きっと今日は結婚式なのだわ。
一生で一度。とてもとても幸せな日。
遠くに白いタキシードの男性。
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それは確かに私の夫だった……きっと夫も幸せな顔で笑っていると……そう、思っていた。
その人が夫であると分かるのにその顔は見えなかった。
目を覚ますと空が白んで、もうすぐ夜が明ける所だった。
「夫の笑顔なんて一度も見た事無かった……」
今更のことに今頃気付き、もうすっかり枯れ果てていただろうと思っていた涙が出た。
「やはり最初から間違っていたのね」
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