貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご

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妻と息子が領地に旅立ってから早くも二週間が過ぎた。
城の仕事が忙し過ぎて普段あまり家族に構ってやる事は出来ないが眠る二人を見るだけで癒されている日々だったのでそれが無いのは何とも寂しいものである。
そうは言った所で仕事が待ってくれる訳でも無く今すぐにでも妻と息子がいる領地に行きたい気持ちをぐっと抑え城へと向かう。

城に勤めだしたのはアカデミーを卒業して直ぐの頃。
王太子殿下とはアカデミーの同級生。
元々アカデミーに成績優秀者として入学した私、だが無愛想で家に閉じこもりきりで勉強をしていたせいか顔色も悪く人相も悪かった私に近付きたいと思う者もおらず(しかも若干の引きこもり気味でコミニュケーション能力にも難がある)一人過ごしている所に何を思ったのか王太子殿下は話しかけてきた。
「少し聞いて欲しい事が有るのだが良いだろうか?」
と、思えば殿下との悪縁はここから始まっていたのだ。この時私がもっとハッキリ断っていれば!今頃こんなに馬車馬の如くこき使われる事も無く!妻と息子のいる領地に共に行けていたかもしれない!
しかも殿下の聞いて欲しい事とはその時の婚約者であった隣国から留学していらっしゃっていた王女様の事。
そんな話を何故一度も話した事が無い私に?と思わなくも無かったがその時の私に王子からの誘いを断れるはずも無くしぶしぶ話を聞くことになった。
後に理由を聞いた時に王子は「迂闊に人に相談出来る内容では無かったがもう自分一人で悩むのに限界だった。誰かに相談したいと思ったそんな時に常に一人でいるお前の事を見かけて、あいつなら友達もいなさそうだし誰かに漏らす事も無いだろうと思ってな」と言った。
そんなこんなで王子との奇妙な関係が始まりなんやかんやと常に王子と一緒にいるようになった。
王子はとても優れた方で悩んでいた王女様との関係にしても本当なら自分一人で解決出来たのに、どうにもそれまでに誰かに自分の考えを聞いて貰わなければ実行に移せないタイプらしくただひたすらに王子の話を聞いてくれる人が必要だったようだ。
私は元々人付き合いも下手で話し下手だった事もあり聞くのが上手かったらしい。
そこを王子にかわれて城の文官へとスカウトされた。
初めは側近候補として城に来いと言われたが、もうそんな恐れ多い事は断固無理だと何とか断った。

しかしながら城で働き出したらことある事に王子が私を呼び、それに習い王女も私を呼び、またまたそれに習い周りの側近達まで私を呼び、そしてまたまたまたそれに習い他の者達も王子に何かあれば私を呼ぶようになって…………。
本来の文官としての仕事もまともに出来ず、一日中王子夫婦に振り回される事になった。





今日から夫sideです。


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