1 / 8
1
しおりを挟む
私はナディア。私には幼い頃からの婚約者がいる。
彼はトマス。私と彼は同じ伯爵家で父親が仲良しな幼なじみ。
偶然にも子供同士が同じ歳で生まれたので調子に乗った両家の父は私達を婚約者にした、そう!生まれながらの婚約者なわけです。
でも私にも言い分が有るんですよ!
そんな自我もはっきりしないうちから婚約させるってどうなの?貴族だからしょうがない?いやいや。我慢しろ?無理無理!
誰にでも趣味趣向有るでしょ?
小さい頃は仲が良かったじゃないのとお母様はおっしゃいますけど、そりゃ小さい頃は近くに同じくらいの歳の子供がいれば遊ぶでしょうよ。
それは異性の好き嫌いとは別物ですよ。
トマスは顔がいい。世間で言うところのイケメン。
トマスは性格もいい。とても優しい。
トマスは運動も出来る。剣術も見事。
トマスは頭もいい。成績は常にトップクラス。
誰がどう見ても非の打ちどころのない彼。
勿論人間的に嫌いでは無い。むしろ友達としてなら最高の男だ。では何で私がこんな事を言っているのかと言うと……。
「あんな女にトマス様は勿体ないわ!絶対に綺麗な私の方がいいに決まっている!絶対にあの二人を別れさせるわ!」
ある日の昼休み学校の中庭でそんな事を大きな声で話すお馬鹿で可愛い女の子がいた。
トマスの事を言っていた…では別れさせる相手は…私か。
そりゃそうか、まぁ誰が見ても私達がつり合っているようには見えないもんな。
トマスは先程も言ったようにとてもイケメン。
明るい金髪は綺麗でふわふわ。海のように深いブルーの瞳。目元は切れ長で涼し気。
まぁ兎に角褒めだしたらキリがない。
比べて私は髪はブラウン、ゴワゴワで硬い。
瞳もブラウンのありきたりな色。敢えて褒めるとしたら二重の目と白い肌ぐらい……まあ誰でも持ってるもの。本当にその位しか褒める所が無いくらい特徴の無い地味な顔だ。
「それでも生まれた時はとても可愛かったのよ!」と「何故こんな婚約を結んだんだ!」と親に詰め寄る度に親の欲目全開な事を言われてその度そういう事じゃないんだよォと脱力している。
そんな家格以外つり合う所がまっっっっっったくと言って良いほど無い婚約者なのでさっきの女の子のようにトマスに近づこうとする女の子は今までからも沢山いて…だからあの女の子の事も今更珍しくも無い。
それでもあんな大声で外であんな事を言っている子は初めてだけど。
いつもならそんな子珍しくも無いので気にしないんだけどその子は何となく気になって暫く様子を見ていた。
私に見られているとも知らずその子はまた大きな独り言を話し出す。
「どうしたら近づけるかしら…私は顔が可愛いからちょっと仲良くなれれば私の事を好きになると思うんだけど。あんな地味女よりも私の方が絶対にいいに決まっているもの」
…まぁ、確かに顔は可愛い。トマスの色には劣るけど綺麗な金髪。サラサラで腰まで伸ばしていて触り心地がとっても良さそう。
瞳はグリーン。二重で大きい。
頬はほのかにピンクに色付き唇はうるつや。
うーん、こうして改めて観察しても文句の付けようも無い美少女だ。
トマスの隣に並ぶあの少女を想像するとまるで1枚の絵画のようにお似合いだった。
……よし!決めた!あの子にしよう。
私はずっと探していたのだ私の婚約者を安心して譲れる人を。
彼女ならきっと彼も好きになる。
彼はトマス。私と彼は同じ伯爵家で父親が仲良しな幼なじみ。
偶然にも子供同士が同じ歳で生まれたので調子に乗った両家の父は私達を婚約者にした、そう!生まれながらの婚約者なわけです。
でも私にも言い分が有るんですよ!
そんな自我もはっきりしないうちから婚約させるってどうなの?貴族だからしょうがない?いやいや。我慢しろ?無理無理!
誰にでも趣味趣向有るでしょ?
小さい頃は仲が良かったじゃないのとお母様はおっしゃいますけど、そりゃ小さい頃は近くに同じくらいの歳の子供がいれば遊ぶでしょうよ。
それは異性の好き嫌いとは別物ですよ。
トマスは顔がいい。世間で言うところのイケメン。
トマスは性格もいい。とても優しい。
トマスは運動も出来る。剣術も見事。
トマスは頭もいい。成績は常にトップクラス。
誰がどう見ても非の打ちどころのない彼。
勿論人間的に嫌いでは無い。むしろ友達としてなら最高の男だ。では何で私がこんな事を言っているのかと言うと……。
「あんな女にトマス様は勿体ないわ!絶対に綺麗な私の方がいいに決まっている!絶対にあの二人を別れさせるわ!」
ある日の昼休み学校の中庭でそんな事を大きな声で話すお馬鹿で可愛い女の子がいた。
トマスの事を言っていた…では別れさせる相手は…私か。
そりゃそうか、まぁ誰が見ても私達がつり合っているようには見えないもんな。
トマスは先程も言ったようにとてもイケメン。
明るい金髪は綺麗でふわふわ。海のように深いブルーの瞳。目元は切れ長で涼し気。
まぁ兎に角褒めだしたらキリがない。
比べて私は髪はブラウン、ゴワゴワで硬い。
瞳もブラウンのありきたりな色。敢えて褒めるとしたら二重の目と白い肌ぐらい……まあ誰でも持ってるもの。本当にその位しか褒める所が無いくらい特徴の無い地味な顔だ。
「それでも生まれた時はとても可愛かったのよ!」と「何故こんな婚約を結んだんだ!」と親に詰め寄る度に親の欲目全開な事を言われてその度そういう事じゃないんだよォと脱力している。
そんな家格以外つり合う所がまっっっっっったくと言って良いほど無い婚約者なのでさっきの女の子のようにトマスに近づこうとする女の子は今までからも沢山いて…だからあの女の子の事も今更珍しくも無い。
それでもあんな大声で外であんな事を言っている子は初めてだけど。
いつもならそんな子珍しくも無いので気にしないんだけどその子は何となく気になって暫く様子を見ていた。
私に見られているとも知らずその子はまた大きな独り言を話し出す。
「どうしたら近づけるかしら…私は顔が可愛いからちょっと仲良くなれれば私の事を好きになると思うんだけど。あんな地味女よりも私の方が絶対にいいに決まっているもの」
…まぁ、確かに顔は可愛い。トマスの色には劣るけど綺麗な金髪。サラサラで腰まで伸ばしていて触り心地がとっても良さそう。
瞳はグリーン。二重で大きい。
頬はほのかにピンクに色付き唇はうるつや。
うーん、こうして改めて観察しても文句の付けようも無い美少女だ。
トマスの隣に並ぶあの少女を想像するとまるで1枚の絵画のようにお似合いだった。
……よし!決めた!あの子にしよう。
私はずっと探していたのだ私の婚約者を安心して譲れる人を。
彼女ならきっと彼も好きになる。
17
あなたにおすすめの小説
貴方の幸せの為ならば
缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。
いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。
後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……
嘘の誓いは、あなたの隣で
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢ミッシェルは、公爵カルバンと穏やかに愛を育んでいた。
けれど聖女アリアの来訪をきっかけに、彼の心が揺らぎ始める。
噂、沈黙、そして冷たい背中。
そんな折、父の命で見合いをさせられた皇太子ルシアンは、
一目で彼女に惹かれ、静かに手を差し伸べる。
――愛を信じたのは、誰だったのか。
カルバンが本当の想いに気づいた時には、
もうミッシェルは別の光のもとにいた。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
婚約破棄、別れた二人の結末
四季
恋愛
学園一優秀と言われていたエレナ・アイベルン。
その婚約者であったアソンダソン。
婚約していた二人だが、正式に結ばれることはなく、まったく別の道を歩むこととなる……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる