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更にあれから1週間が経ちようやくお兄様から外出の許可が出た。
「本当に行くのかい?」
「ええ、何もしていないのにいつまでも家に篭っていてもしょうがないですからね」
私は明日から学園に復帰する。その後殿下から何の音沙汰も無く城に行く用事も無い。ならば学園に行かなければと思ったのだ。
しかしお兄様からはもう少し休んだ方がいいのではと何故か学園に復帰する事は酷く反対された、しかしこのまま何もしていないと私も余計な事ばかり考えてしまいますわとちょっと卑怯かとも思ったがしおらしくそう言うと渋々ほんとーに渋々了承してくれた。
お兄様は何をそんなに心配されているのかしら?私のクラスにはお兄様の婚約者で私の友達のシェイラもいるから大丈夫なのに・・・。
「エミリア!ちょっと出掛けようか」
お昼ご飯を食べ少しした頃お兄様とカイルが2人で部屋に現れた。
「?どこに行くのです?」
「ちょっと街にね」
「お買い物ですか?」
「まぁそんな所だね、折角3人揃っているんだからたまには皆で街にでも行こう!エミリアも外に出るのは久しぶりだろう?」
私は少し考えて頷いた。
「はい!お供しますわ」
馬車で街へと向かう。
今日はいい天気、絶好の買い物日和。
それにしても本当に外に出るのは久しぶり、窓の外から街の喧騒が聞こえる。
何だかウキウキしてきたわ。考えればこうしてゆっくりお買い物に来るのも久しぶり。だってずっと殿下と一緒だったから・・・。こうなれば今を楽しまなきゃ損なのかも・・・うん!これからは今まで出来なかった事とかしてみようかな。刺繍も子供の頃から好きだったけど最近は王妃教育と殿下に時間を取られて出来なかった、お菓子作りだって本当は大好きだった、恋愛小説だってずっと読みたかった。だってずっと教科書と睨み合っていたものね。殿下に相応しくいるために必死に走って来た日々だった。
この先どうなるか分からないけれど、分からない事にずっと悩まされているなんて勿体ないわ。
「お兄様!手芸屋さんとお菓子屋さんとあと本屋さんにも寄っていいですか?」
私は元気にそう言う。
「勿論だよ!エミリアの行きたい所、どこでも行こう」
「お姉様ばかりずるいです!」
「大丈夫、カイルの行きたい所にも行こう」
「はい!」
「楽しいですお兄様!お姉様!」
私達は人気のカフェでお茶をしている。あれからカイルの行きたかった店に行き私が行きたいと言った店にも全て行った。疲れてちょっとお茶にしようとこのカフェに立ち寄った。
「私達の行きたい所ばかり行きましたけどお兄様どこかに行きたかったのでは?」
「うん、大丈夫。私の用事は帰りに寄ればいいからね。それよりも・・・今日は楽しかったかい?」
「「はい!」」
私とカイルは勢いよくそう返事した。
「ふんっ今の内よ笑って過ごせるのも。これからは私の為のこの世界で私の為に貴女には悪役令嬢になって貰わないとね」
ピンクブロンドの髪を靡かせ少女は闇の中に消えて行く。
「ここですか?」
今日の最後にお兄様が立ち寄ったのは宝石店。
「そうか!シェイラへのプレゼントですね!」
私は店に入るお兄様の後を付いて行く。カイルは興味が無いようで馬車で待っている。
あまりアクセサリーに興味の無い私でもこういう店に来ると心が弾む。
「綺麗・・・」
私はお兄様を待つ間店の中を見て回る。
「お待たせ」
「早かったですねお兄様」
振り向くと私に向かってお兄様がプレゼントの箱を差し出していた。
「お兄様?」
私は上目遣いにお兄様を見る。
「これはエミリアにプレゼントだよ」
私はその箱を受け取る。
「開けても?」
「ああ」
リボンを解く。するとそこには私の瞳と同じ色の宝石が付いたシンプルなデザインが可愛いネックレス。
「どうしたんですか?急にプレゼントなんて・・・」
お兄様は微笑みながら頭を撫でる。
「頑張っている妹に・・・お守り代わりだよ」
「・・・ありがとうございます!」
嬉しい気持ちのまま私達は屋敷に戻った。
「本当に行くのかい?」
「ええ、何もしていないのにいつまでも家に篭っていてもしょうがないですからね」
私は明日から学園に復帰する。その後殿下から何の音沙汰も無く城に行く用事も無い。ならば学園に行かなければと思ったのだ。
しかしお兄様からはもう少し休んだ方がいいのではと何故か学園に復帰する事は酷く反対された、しかしこのまま何もしていないと私も余計な事ばかり考えてしまいますわとちょっと卑怯かとも思ったがしおらしくそう言うと渋々ほんとーに渋々了承してくれた。
お兄様は何をそんなに心配されているのかしら?私のクラスにはお兄様の婚約者で私の友達のシェイラもいるから大丈夫なのに・・・。
「エミリア!ちょっと出掛けようか」
お昼ご飯を食べ少しした頃お兄様とカイルが2人で部屋に現れた。
「?どこに行くのです?」
「ちょっと街にね」
「お買い物ですか?」
「まぁそんな所だね、折角3人揃っているんだからたまには皆で街にでも行こう!エミリアも外に出るのは久しぶりだろう?」
私は少し考えて頷いた。
「はい!お供しますわ」
馬車で街へと向かう。
今日はいい天気、絶好の買い物日和。
それにしても本当に外に出るのは久しぶり、窓の外から街の喧騒が聞こえる。
何だかウキウキしてきたわ。考えればこうしてゆっくりお買い物に来るのも久しぶり。だってずっと殿下と一緒だったから・・・。こうなれば今を楽しまなきゃ損なのかも・・・うん!これからは今まで出来なかった事とかしてみようかな。刺繍も子供の頃から好きだったけど最近は王妃教育と殿下に時間を取られて出来なかった、お菓子作りだって本当は大好きだった、恋愛小説だってずっと読みたかった。だってずっと教科書と睨み合っていたものね。殿下に相応しくいるために必死に走って来た日々だった。
この先どうなるか分からないけれど、分からない事にずっと悩まされているなんて勿体ないわ。
「お兄様!手芸屋さんとお菓子屋さんとあと本屋さんにも寄っていいですか?」
私は元気にそう言う。
「勿論だよ!エミリアの行きたい所、どこでも行こう」
「お姉様ばかりずるいです!」
「大丈夫、カイルの行きたい所にも行こう」
「はい!」
「楽しいですお兄様!お姉様!」
私達は人気のカフェでお茶をしている。あれからカイルの行きたかった店に行き私が行きたいと言った店にも全て行った。疲れてちょっとお茶にしようとこのカフェに立ち寄った。
「私達の行きたい所ばかり行きましたけどお兄様どこかに行きたかったのでは?」
「うん、大丈夫。私の用事は帰りに寄ればいいからね。それよりも・・・今日は楽しかったかい?」
「「はい!」」
私とカイルは勢いよくそう返事した。
「ふんっ今の内よ笑って過ごせるのも。これからは私の為のこの世界で私の為に貴女には悪役令嬢になって貰わないとね」
ピンクブロンドの髪を靡かせ少女は闇の中に消えて行く。
「ここですか?」
今日の最後にお兄様が立ち寄ったのは宝石店。
「そうか!シェイラへのプレゼントですね!」
私は店に入るお兄様の後を付いて行く。カイルは興味が無いようで馬車で待っている。
あまりアクセサリーに興味の無い私でもこういう店に来ると心が弾む。
「綺麗・・・」
私はお兄様を待つ間店の中を見て回る。
「お待たせ」
「早かったですねお兄様」
振り向くと私に向かってお兄様がプレゼントの箱を差し出していた。
「お兄様?」
私は上目遣いにお兄様を見る。
「これはエミリアにプレゼントだよ」
私はその箱を受け取る。
「開けても?」
「ああ」
リボンを解く。するとそこには私の瞳と同じ色の宝石が付いたシンプルなデザインが可愛いネックレス。
「どうしたんですか?急にプレゼントなんて・・・」
お兄様は微笑みながら頭を撫でる。
「頑張っている妹に・・・お守り代わりだよ」
「・・・ありがとうございます!」
嬉しい気持ちのまま私達は屋敷に戻った。
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