私に悪役令嬢を強要してくる転生者なヒロインと悪役令嬢にはなりたくない転生者じゃない私

きんのたまご

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「グレン・・・どうか無事でっ」
城でそう呟くのは・・・・・・。


「ルシード殿下!」
出来る側近のグレンが珍しくノックも無く執務室のドアを開ける。
「・・・なんだグレン」
ルシードは呆れ返った目で、入ってきたグレンを見る。
そんな視線に気付いているのかいないのかお構い無しでずんずんとルシードが使っている執務用の机の前まで進み出るグレン。
「どうした」
「ルシード!」
どうしたんだと言いかけたルシードの言葉を遮りグレンは机に手を付き話し出す。
「お前・・・何を隠してる?」
「・・・・・・なんの事だ?」
「とぼけても無駄だ。ここ最近のお前はおかしい。あんなにエミリア様に執着していたのに最近は全然会ってもいない、挙句別の女生徒と仲良くしているなんて・・・。全て話せ」
机を挟んで二人の男は暫く睨み合う。
・・・どのくらいそうしていたのか・・・やがてルシードの方が諦めたようにため息をつく。
「言えない・・・と言っても無駄・・・なんだろうな」
「良くわかってるじゃないか」
グレンは満足そうに頷いた。
そしてルシードはゆっくりと話し出す。


「陛下直々に調査に乗り出すとは・・・しかも大切な息子を使ってまでか」
「ああ、どうも光魔法の使い手らしい」
「それは・・・また。陛下も喉から手が出る程欲しいだろうな」
「ああ、そういう事だ。その少女どうも私に好意があるようで・・・まあ、下衆な言い方をするとたらし込めと言う事だ」
「陛下はこの話が上手くいけばお前とその何とかとか言う少女を結婚させようと思っているんじゃないか?」
グレンのその言葉を聞いたルシードは黙り込む。
「その反応だと・・・既にそう言われているな」
「・・・ああ」
「まさかお前・・・それ了承したのか?だから最近エミリア様から離れているのか?」
「そんな訳ないだろう!それだけは出来ないと断った!・・・しかしその分今はその少女の方の世話をするように、と言われてな」
「そういう事か・・・」
グレンはようやく納得したようだった。
「しかし・・・その少女・・・本当に聖女になり得るのか?学園での噂は酷いものだが・・・」
「ああ・・・正直かなり参っている」
「だろうな・・・いつもいつもエミリア様のような正にこの方こそ聖女!という方の側にいるんだ・・・アレは耐えられないだろう」
「まぁな」
そう言ってルシードは重めのため息をつく。
「暫く代わってやろうか?」
そう言ったグレンの顔は面白いイタズラを思い付いたような少年のような顔だった。
「代わる?」
「ああ、忘れたのか?俺も魔法が使えるのを」
「!」


そうして、その日から暫くグレンとルシードはその姿をお互いに変えて身代わり生活を始めたのだが・・・。

その日からグレンは城に帰って来なくなった。
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