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サードコンタクト ~三日目の少年~
第19話 いらだち
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「ジェイコブ……」
「ああ少年、見てたよ。随分打ち解けたみたいで嬉しいぞ。あのような宇宙人の姿ははじめて見た。特に怖気立つような触手で器用にコントローラーを握る姿は抱腹絶倒ものだ。ハハハ……」
「あんたが指定した三つの情報のうちのひとつを聞き出した」
「まさか……ついにやったのかリュウタ?」
俺が言うと、通信機越しにざわつく管制室の声が聞こえてくるのが分かる。そしてジェイコブはまた英語でなにやら話し合っていた。
「なんだ……」
なんなんだ。英語ができないことがもどかしかった。ジェイコブは一体何を話してる。俺は数少ない知識を総動員して懸命に単語を聞き取ろうと努力する。
「リュウタ……インポッシブル……ビデオゲーム……アンレス?」
だめだ。聞き取れない。そうこうしているうちにジェイコブの声が戻ってくる。日本語だった。
「情報は?」
「……獣座衛門は人間を監視するために地球へやって来た。そういった」
「つまらないことを聞くかもしれないが……それは侵略か?」
「違う。獣座衛門はある理由から侵略は無意味だっていった……なんだっけな……とにかく、獣座衛門は自分の身分を末端であるともいった……それはより高度に統率された組織から目的があって派遣されたってことだ……今分かってるのはこれだけだよ……また時間をかけて聞いてみる」
「ちょちょちょ……待てよリュウタ。情報が急すぎるぜ」
「なんだ?」
「侵略は無意味だといったな、その理由とやらが百歩譲ってよほど理路整然としたものだとする。しかし、どうしてオノダは侵略者でないといいきれる? 組織の末端ならば尚更疑ってかかるべきじゃないか? 少なくとも、人間の兵士は敵地で嘘をつくように教育されているだろう?」
確かにその通りだ。だけど、俺が獣座衛門の言葉を信じられる根拠は屁理屈や御託以前にもっと本能的なところにあった。俺はいう。
「……なぁジェイコブ、本当はさ。獣座衛門が地球に来た理由、あんたは知ってたんじゃないか?」
「ははは、何を言っている?」
「……獣座衛門はお互いの利害の一致がロボットハウスで手打ちになったっていってた。それってまともな話し合いの末の合意だろ? 事情を知らないわけ、ないじゃないか……考えてみればおかしな話だ」
獣座衛門は人間に捕まったがそれはお互いの合意があったという。獣座衛門はつとめて協力的だ。そんな彼がなぜ俺達に嘘をつくんだろう。そう思った。
俺は少し怖くなった。だけど、覚悟を決めていう。
「そうでなければ、俺は矛盾すると思う」
「わからないよリュウタ……そんな話は私は初耳だし……君の言う事が事実だとするならマックスや組織の上層部の人間が黙っているということなのかい? なんのために? そうしたら私という人間の存在意義は!?」
確かにそうだ。そうしたら全ては無駄骨だ。こんなに宇宙に人を送り届けてまでやることじゃない。馬鹿げてる。単純にそう思ったんだ。そうしたら、また英語でやり取りが聞こえてきた。
「……――……――――……――………………――――……」
俺は待った。これは俺の問題ではなく、向こうの組織の問題。NSIAの問題だ。しばらくして、ジェイコブが戻ってきた。けれどもそれは、俺の予想に反するものだった。
「少年……ひとつ聞きたい事がある」
「な……なんです?」
「前に私と話したこと……ジェイク・マースティンという男のことについてだ」
俺はゾッとして怖気だった。どうしてそれを。ジェイコブは続ける。
「君は私ではなく、そのことをステイマンに相談したんだね?」
「待ってくれよ! 過去のオペレーターのことが気になるのは同じオペレーターとして仕方ないことだろ!? だって俺は何もわからないまま宇宙に来た!」
「少年……ワタシより、ステイマンかい?」
「……!」
その時思い出した。あのサラ・ミラーの言葉。
――リュウタ。彼はああ見えて繊細な人なのよ――
「悪かったよジェイコブ。俺は……」
「少し悲しくなったぞ、リュウタ。それではまた連絡してくれ」
ブツっと、通信が途絶えた。俺はぐっとうな垂れた。
「くそくそくそっ……いったいどういうことなんだよ!」
俺はむしゃくしゃしてた。フラストレーションがたまってたんだ。その心境が獣座衛門にまで伝わったんだろう。彼はゲーム画面に集中しつつも俺に向かっていう。
「どうしたんだ、リュウタ。イライラしているのか?」
「なんでもない……ただ、今になっていろいろとうまく行かないことに気づいた」
「そうか……そういえばまだ聞いてなかった」
「?」
「君がここに来た理由……教えてくれないかな?」
珍しく獣座衛門が興味を示してきた。答えない理由はなかった。
「ああ少年、見てたよ。随分打ち解けたみたいで嬉しいぞ。あのような宇宙人の姿ははじめて見た。特に怖気立つような触手で器用にコントローラーを握る姿は抱腹絶倒ものだ。ハハハ……」
「あんたが指定した三つの情報のうちのひとつを聞き出した」
「まさか……ついにやったのかリュウタ?」
俺が言うと、通信機越しにざわつく管制室の声が聞こえてくるのが分かる。そしてジェイコブはまた英語でなにやら話し合っていた。
「なんだ……」
なんなんだ。英語ができないことがもどかしかった。ジェイコブは一体何を話してる。俺は数少ない知識を総動員して懸命に単語を聞き取ろうと努力する。
「リュウタ……インポッシブル……ビデオゲーム……アンレス?」
だめだ。聞き取れない。そうこうしているうちにジェイコブの声が戻ってくる。日本語だった。
「情報は?」
「……獣座衛門は人間を監視するために地球へやって来た。そういった」
「つまらないことを聞くかもしれないが……それは侵略か?」
「違う。獣座衛門はある理由から侵略は無意味だっていった……なんだっけな……とにかく、獣座衛門は自分の身分を末端であるともいった……それはより高度に統率された組織から目的があって派遣されたってことだ……今分かってるのはこれだけだよ……また時間をかけて聞いてみる」
「ちょちょちょ……待てよリュウタ。情報が急すぎるぜ」
「なんだ?」
「侵略は無意味だといったな、その理由とやらが百歩譲ってよほど理路整然としたものだとする。しかし、どうしてオノダは侵略者でないといいきれる? 組織の末端ならば尚更疑ってかかるべきじゃないか? 少なくとも、人間の兵士は敵地で嘘をつくように教育されているだろう?」
確かにその通りだ。だけど、俺が獣座衛門の言葉を信じられる根拠は屁理屈や御託以前にもっと本能的なところにあった。俺はいう。
「……なぁジェイコブ、本当はさ。獣座衛門が地球に来た理由、あんたは知ってたんじゃないか?」
「ははは、何を言っている?」
「……獣座衛門はお互いの利害の一致がロボットハウスで手打ちになったっていってた。それってまともな話し合いの末の合意だろ? 事情を知らないわけ、ないじゃないか……考えてみればおかしな話だ」
獣座衛門は人間に捕まったがそれはお互いの合意があったという。獣座衛門はつとめて協力的だ。そんな彼がなぜ俺達に嘘をつくんだろう。そう思った。
俺は少し怖くなった。だけど、覚悟を決めていう。
「そうでなければ、俺は矛盾すると思う」
「わからないよリュウタ……そんな話は私は初耳だし……君の言う事が事実だとするならマックスや組織の上層部の人間が黙っているということなのかい? なんのために? そうしたら私という人間の存在意義は!?」
確かにそうだ。そうしたら全ては無駄骨だ。こんなに宇宙に人を送り届けてまでやることじゃない。馬鹿げてる。単純にそう思ったんだ。そうしたら、また英語でやり取りが聞こえてきた。
「……――……――――……――………………――――……」
俺は待った。これは俺の問題ではなく、向こうの組織の問題。NSIAの問題だ。しばらくして、ジェイコブが戻ってきた。けれどもそれは、俺の予想に反するものだった。
「少年……ひとつ聞きたい事がある」
「な……なんです?」
「前に私と話したこと……ジェイク・マースティンという男のことについてだ」
俺はゾッとして怖気だった。どうしてそれを。ジェイコブは続ける。
「君は私ではなく、そのことをステイマンに相談したんだね?」
「待ってくれよ! 過去のオペレーターのことが気になるのは同じオペレーターとして仕方ないことだろ!? だって俺は何もわからないまま宇宙に来た!」
「少年……ワタシより、ステイマンかい?」
「……!」
その時思い出した。あのサラ・ミラーの言葉。
――リュウタ。彼はああ見えて繊細な人なのよ――
「悪かったよジェイコブ。俺は……」
「少し悲しくなったぞ、リュウタ。それではまた連絡してくれ」
ブツっと、通信が途絶えた。俺はぐっとうな垂れた。
「くそくそくそっ……いったいどういうことなんだよ!」
俺はむしゃくしゃしてた。フラストレーションがたまってたんだ。その心境が獣座衛門にまで伝わったんだろう。彼はゲーム画面に集中しつつも俺に向かっていう。
「どうしたんだ、リュウタ。イライラしているのか?」
「なんでもない……ただ、今になっていろいろとうまく行かないことに気づいた」
「そうか……そういえばまだ聞いてなかった」
「?」
「君がここに来た理由……教えてくれないかな?」
珍しく獣座衛門が興味を示してきた。答えない理由はなかった。
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