ファンタスティック吉田

天野 みろく

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第4話 面接

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引きこもり歴20年。どうも、吉田です。

俺は両親に働く事、社会復帰して親孝行すると、今まで申し訳なかったと詫びを入れ
た。

今までに見たことのないくらいの喜び様と嬉し泣きする両親の姿を見てぐっと胸に刺さった。

つられて泣き出しそうになった俺は両親に背を向けいそいそと玄関に向かった。

『面接に行ってくる』

すると背中越しに父親が言った。

『少しずつ無理せず頑張りなさい。』

と言った後、俺のポケットに何かを入れた。それは…1万円札だった…

俺の肩が小刻みに震え、抑える事が出来ず背を向けたまま頷くのが精一杯だった。

急いで家を出た後、暫く溢れる涙を堪える事が出来なかった…

朝早く外に出るなんて何年ぶりなんだろうか?

爽やかな朝の香り。
時折吹く風と暖かな日差し…

季節はすっかり春になっていた。

面接は午後からだったが、思わず家を飛び出した俺は散歩しながら面接場所に行く事にした。

その警備会社は古い雑居ビルの3Fにあった。

『〇〇ビルの3F…あっ、あった。ここで間違いないな。』

時間はまだ午前10時を回ったとこだった。

『さすがに早すぎるなぁ…』

近くに公園がある。
コンビニでパンとコーヒーを買い公園で休憩する事にした。

その公園は喫煙が出来る公園だった。最近では公園でもタバコが吸える所が少ないらしい。

仕事の合間の休憩なのか、まだ午前10時と言うのにサラリーマンやOL達がタバコを吸っている。

俺はタバコは吸わないが、臭いは嫌いでは無かった。

4人掛けのベンチがひとつだけ空いていたのでそこに腰を下ろす事にした。

コーヒーを啜る…

するとサラリーマン風の人が声を掛けて来た。

『すみません。ここ空いてますか?』

見た目60代くらい白髪混じりでヨレヨレのスーツ姿の男性はお世辞にも仕事が出来る様には見えない。

引きこもりの俺が言える立場ではないのだが…

『あっ、え、あ、空いてます。どうぞ』

その男性は空を眺めながらタバコに火をつけ深く吸い込んだ。

『良い天気ですなー。』

え!俺に話しかけているのか?
面倒くさいなぁ…

俺 『そうですね…』

俺はコーヒーとパンを齧りながら場所を変えようと考えていた。

『先程ね、私の会社に募集に来た人の面接だったのよ…』

と言うと、深くため息をついた…

何でも面接した後、思っていた職場とは違うとの理由でと断ってきたのだとか…

2~3日以内に人を見つけないと取引先が契約解除すると言う。

『これで10人目なんだよなぁ』

と空を見上げながらタバコ吸った。

『す、すみません。ベラベラと話してしまって…』

俺『い、いえ。だ大丈夫です。』

何やら嫌な予感がする。

『この辺でお仕事ですか?』

俺 『そ、その~面接で…公園で時間を潰しています。』

『そうなんですね!も、もしですね、その面接で条件等が合わなかったりしたらですが…うちの会社で面接どうですか?』

と、嬉しそうに名刺を渡してきた。
その名刺には…

〇〇警備保障……と、書かれていた……

や、やっぱりそうか…

まぁ、面接は半分終わった様なもんだし、採用間違い無しだ!

何はともあれファンタスティック!

続く
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