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第一章
サプライズとかドッキリとかはある程度の信頼関係がなければ変な空気になる
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恥ずかしながら、僕は人を見る目が無い。節穴と言っていい。
基本的に察しは悪いし、嘘を見抜くのも苦手。
まあ、弱い僕をわざわざ騙すような人もあんまりいなかったからそこまで問題はなかったし、色々な知識を学ぶことで無知につけ込まれるようなこともなくなった。
後はさっきも言ったけど、強い弱いを見抜けない。ていうか世の人々は大抵僕より強い。
この部族も鬼人種の中では弱い方かな~とか思ってたけど、体が小さいだけで普通に強かった。むしろ、バーレンのように技術を磨く意識がある分他より強いまである。
まあでも、僕は戦闘力の高い低いじゃなくて肉体強度の強い弱いでデータを取りたいから、結果的に大きく間違っていた訳では無い。
まあそれはいいんだけど、ともかく僕は察しが悪い。それはもう昔から認めるところではある。
しかし、これは。
流石に僕の察しがどうこうではないよね・・・?
「・・・・・・え、あなたが、族長・・・?」
マヌケ丸出しの顔で女性に問う。しかし、誰が僕を責められようか。
普通に考えて、街に現れた得体の知れない来訪者の元にその町の最高責任者が現れるなんて思わないだろう。
言葉を出せないまま口をパクパクしてる僕をみて、女性はしてやったりと言わんばかりに可笑しそうに笑う。くそ、可愛いな・・・!
「ふふっ別に騙しているつもりはなかったのですけれど・・・。そうですね、私も皆《みな》に倣って名乗りましょうか。」
そういうと、彼女は胸元に手を当てると、上品に一礼する。
あまりにも洗練されたその動きに僕は目を奪われる。
「私の名はヒルダ・オルクス。この封神の里の神子にして、民を束ねる族長です。」
「ヒルダ・オルクス・・・」
名前の響きもさることながら、家名がある辺りどうにも鬼人種っぽくない。
それに彼女の言が正しければ、彼女はこの里では最も強いものということになる。いくら魔法が使えるとはいえ、華奢な彼女がこの里で一番強いとは考えにくい。
と、そこで僕はある可能性に気付く。僕は察しは悪いが知識はある。そしてその知識は、ひとつの可能性を僕に示していた。
「まさかあなたは・・・『鬼神種』、なのですか?」
「たったこれだけの情報で気付きますか。やはり、あなたは素晴らしい・・・ご名答です。」
・・・嘘でしょ。まさかこんな山奥に、最強格の上位種がいるなんて思わなかった。
『鬼神種』。あるいはバイオレントオーガ。それは非常に強力な肉体を持ち、さらに呪力を除いた3つの上位元素に適性を持った上位種だ。
それだけでも引くほど強いのに、その種族はさらにもうひとつ反則気味の力、異能を持っている。
『神成り』。極短時間ではあるが、自らを高次元存在に変え、己に向けられたありとあらゆる下位次元からの干渉を無効化する。さらに全ての能力が強化され、攻撃面でも手がつけられなくなる。
対抗するには、自分も高次元存在になるか、でもなければ効果が切れるまで逃げ回るしかない。まあ、到底逃げ切れるものでもないだろうけど。
「・・・ヒルダさん、さすがに鬼神であるあなたと戦えというのは無茶というものですよ。鬼人とはわけが違う。」
鬼人と鬼神が似てるのは見た目だけだ。いくらなんでも生命としての格が違いすぎる。
僕自身は相手がどれほど強い相手でも諦める気も無いし負けを認める気もないが、その分準備は万全にする。
少なくとも鬼神種は、こんな突発的な戦闘で戦っていい相手じゃない。
・・・ついでに言うと、手段を選ば無くてはならない「試合」では絶対に勝てない。
僕の至極真っ当な意見に、しかしやっぱり彼女は耳を貸さない。
「心配せずとも、『神成り』は使いませんよ。それに今度はちゃんと手加減しますので、あなたが死ぬこともありません。」
「いや、だからそもそも戦闘自体が無理があるというか・・・」
「くどいです」
ヒルダさんはそう冗談めかして言って笑う。
可愛いけども。お願いだから聞いて?
「もちろん私としても思いつきでこんなことを言っている訳ではありません。」
「え、そうなんですか?」
てっきり純粋に血の気が多いだけかと。本気で驚いた僕の顔をみて、ヒルダさんは呆れたような表情を浮かべる。
「当たり前でしょう。そうでなければ突然こんな戦いなどさせません。これは、崇高な目的の元に行われている聖戦なのです。」
「そ、そうだったんですか。」
なるほど、何か事情があったのか。それならば、鬼人種の常識を外れていた諸々のことにも一応納得は行く。全てはその崇高な目的のためだったのだろう。
となると、その目的が気になるのが人情というもの。説明もなしにここまで巻き込まれたんだからそれを聞く権利くらいあるだろう。
「では、その目的というのは、いったい何なのですか?」
「そうですね、ここまで付き合わせた以上、説明するのが義理というものでしょう。」
そう言ってヒルダさんは胸をはって堂々と―――しかし、僅かに頬を染めて言い放つ。
「この戦いの目的。それは・・・
私の伴侶を見つけることです。」
「・・・・・・・・・・・・・え?」
え?
基本的に察しは悪いし、嘘を見抜くのも苦手。
まあ、弱い僕をわざわざ騙すような人もあんまりいなかったからそこまで問題はなかったし、色々な知識を学ぶことで無知につけ込まれるようなこともなくなった。
後はさっきも言ったけど、強い弱いを見抜けない。ていうか世の人々は大抵僕より強い。
この部族も鬼人種の中では弱い方かな~とか思ってたけど、体が小さいだけで普通に強かった。むしろ、バーレンのように技術を磨く意識がある分他より強いまである。
まあでも、僕は戦闘力の高い低いじゃなくて肉体強度の強い弱いでデータを取りたいから、結果的に大きく間違っていた訳では無い。
まあそれはいいんだけど、ともかく僕は察しが悪い。それはもう昔から認めるところではある。
しかし、これは。
流石に僕の察しがどうこうではないよね・・・?
「・・・・・・え、あなたが、族長・・・?」
マヌケ丸出しの顔で女性に問う。しかし、誰が僕を責められようか。
普通に考えて、街に現れた得体の知れない来訪者の元にその町の最高責任者が現れるなんて思わないだろう。
言葉を出せないまま口をパクパクしてる僕をみて、女性はしてやったりと言わんばかりに可笑しそうに笑う。くそ、可愛いな・・・!
「ふふっ別に騙しているつもりはなかったのですけれど・・・。そうですね、私も皆《みな》に倣って名乗りましょうか。」
そういうと、彼女は胸元に手を当てると、上品に一礼する。
あまりにも洗練されたその動きに僕は目を奪われる。
「私の名はヒルダ・オルクス。この封神の里の神子にして、民を束ねる族長です。」
「ヒルダ・オルクス・・・」
名前の響きもさることながら、家名がある辺りどうにも鬼人種っぽくない。
それに彼女の言が正しければ、彼女はこの里では最も強いものということになる。いくら魔法が使えるとはいえ、華奢な彼女がこの里で一番強いとは考えにくい。
と、そこで僕はある可能性に気付く。僕は察しは悪いが知識はある。そしてその知識は、ひとつの可能性を僕に示していた。
「まさかあなたは・・・『鬼神種』、なのですか?」
「たったこれだけの情報で気付きますか。やはり、あなたは素晴らしい・・・ご名答です。」
・・・嘘でしょ。まさかこんな山奥に、最強格の上位種がいるなんて思わなかった。
『鬼神種』。あるいはバイオレントオーガ。それは非常に強力な肉体を持ち、さらに呪力を除いた3つの上位元素に適性を持った上位種だ。
それだけでも引くほど強いのに、その種族はさらにもうひとつ反則気味の力、異能を持っている。
『神成り』。極短時間ではあるが、自らを高次元存在に変え、己に向けられたありとあらゆる下位次元からの干渉を無効化する。さらに全ての能力が強化され、攻撃面でも手がつけられなくなる。
対抗するには、自分も高次元存在になるか、でもなければ効果が切れるまで逃げ回るしかない。まあ、到底逃げ切れるものでもないだろうけど。
「・・・ヒルダさん、さすがに鬼神であるあなたと戦えというのは無茶というものですよ。鬼人とはわけが違う。」
鬼人と鬼神が似てるのは見た目だけだ。いくらなんでも生命としての格が違いすぎる。
僕自身は相手がどれほど強い相手でも諦める気も無いし負けを認める気もないが、その分準備は万全にする。
少なくとも鬼神種は、こんな突発的な戦闘で戦っていい相手じゃない。
・・・ついでに言うと、手段を選ば無くてはならない「試合」では絶対に勝てない。
僕の至極真っ当な意見に、しかしやっぱり彼女は耳を貸さない。
「心配せずとも、『神成り』は使いませんよ。それに今度はちゃんと手加減しますので、あなたが死ぬこともありません。」
「いや、だからそもそも戦闘自体が無理があるというか・・・」
「くどいです」
ヒルダさんはそう冗談めかして言って笑う。
可愛いけども。お願いだから聞いて?
「もちろん私としても思いつきでこんなことを言っている訳ではありません。」
「え、そうなんですか?」
てっきり純粋に血の気が多いだけかと。本気で驚いた僕の顔をみて、ヒルダさんは呆れたような表情を浮かべる。
「当たり前でしょう。そうでなければ突然こんな戦いなどさせません。これは、崇高な目的の元に行われている聖戦なのです。」
「そ、そうだったんですか。」
なるほど、何か事情があったのか。それならば、鬼人種の常識を外れていた諸々のことにも一応納得は行く。全てはその崇高な目的のためだったのだろう。
となると、その目的が気になるのが人情というもの。説明もなしにここまで巻き込まれたんだからそれを聞く権利くらいあるだろう。
「では、その目的というのは、いったい何なのですか?」
「そうですね、ここまで付き合わせた以上、説明するのが義理というものでしょう。」
そう言ってヒルダさんは胸をはって堂々と―――しかし、僅かに頬を染めて言い放つ。
「この戦いの目的。それは・・・
私の伴侶を見つけることです。」
「・・・・・・・・・・・・・え?」
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