ポチッと押したらオタクの俺は本当に異世界にいました。

竜虎

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ベルン魔法研究編

Dinner Party (前編)

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そんな風にオウター家のこの機体によって起きる嫌な事態を予測し、回避するための対策をつけていることに感心しながら乗りながら風を感じること五分、エレベーターの前に到着した。ちなみにあの機体の速度は風の当たる量から考えて、俺の普段の自転車ぐらいのスピードが出ていた。何か時間がかかりすぎている気がするので距離を計算してみることにした。

確か、自転車の速度が時速20kmぐらいだったはずなので、まず分速に直すと20÷60≒0.33。そしてそれに5を掛けると0.33×5=1.65.つまり、だいだい廊下が1.5kmぐらいあったというわけだ。長いな。でかすぎて屋敷は迷うとかそんな一文を小説とかで見たことあるけど貴族の屋敷ってでかいな。そりゃあ、ああゆうのも必要になるよね、最初は研究が大好きな一族だから、取り合えず作ってみたし配備してみるか。的なのりで有るのかと思ってた。そういえば、ちゃんと領土経営したり技術を適度に出してたりするので、別に研究バカではないんだよな。認識を改めることにしよう。

やはり解っていてたが、エレベーターは昔のイギリスのエレベーターみたいな感じではなく。現代のエレベーターよりもSFチックな近未来な感じのデザインだった。具体的にどういうデザインかというと、にぶい銀色の金属の扉が丸く円を作るように曲がっていて、中はこれまたさっきの部屋と一緒で二つの透明な管に入っている青く光る液体が上へと上って下へと下っていくのを繰り返しており、壁はにぶい銀の色の金属である。ちなみに外のボタンは漆塗りの木だったが、中はまんま金属のにぶい銀色のボタンになっていた。

そしてマギナが3階へのボタンを押すとボタンの上の黒かった部分が元いた世界と同じく元いた8階を表す8という表示から7と下がっていくの表示して教えてくれている。こうして考えている間にはもう4になっていた。何をするべきか考えよう。

まず、オウター家は怒っている可能性が高いから、礼儀正しくすること。そして、他の貴族はまったく融通が利かないので、なるべく接触しないようにし接触されたとしても当たり障りのない会話をし、やり過ごすこと。むやみに、令嬢と恋愛フラグを建築しないこと。これくらいだろうか、最後のは自意識過剰かと思われるかもしれないが、現実としてフラグを建築していることも事実である。

もうすでに付いていることに気づき意識して前を見ると、想像とは違い驚いてしまった。まず、廊下だったこと、勝手に部屋が来ると思い込んでいた。なぜかメイドが俺に対して、「マギナ様の旦那様、当主がお待ちです」といってお辞儀をしたことだ。

つまり、晩餐会でのイベントは一番確率として、ないと思っていた結婚を持ちかけられるだった。そういえばフラグを建ててたからね。仕方ないね。頬を赤らめているが否定しないマギナと一緒に部屋の前まで歩いて行った。

部屋の前につくと俺についていたメイドさんとスーツ姿で、執事みたいな格好のクリスティーネさんが木製の二つの取っ手がある大きなドアを同時に開けてくれた。中の様子は俺が想像しているのとは全く別の様子だった。

どこが、俺の予想と大きく違うか、というと、まずは中にいる人の数だ。俺が予想していたのは中の部屋から溢れんばかりの人だったが、実際は八人だけだった。しかも、格好を見るに一人は料理人、二人は使用人で、もう一人は席に座らずに立っていた。

二つ目は、中の様子だ。俺はてっきり立食形式で、貴族たちがワイングラスを持ち他の貴族たちと話しているのを想像していたのだが、たった八人でそんなことをしている訳でも無く。日頃は立食パーティーに使われているのか物凄い長いテーブルに寂しげに四人が何も食わずに座っていただけだった。

つまり、俺は晩餐と聞いただけなのに勝手に晩餐会と言葉を置き換えて、貴族がいっぱい居ると勘違いしたのだ。いやー貴族たちが居ないのは嬉しいけど勝手に勘違いして対策立てたり緊張していた俺が恥ずかしいわ。そんなことを考えていると、マギナに無意識について行っていたのか一番偉いと思わしき人の前に立っていた。

その偉いと思わしき人がなぜか先に挨拶をしてきた。

「君がヒョウガくんだね。マギナ姉さんをよろしく頼むよ」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
「緊張しないでくれ。貴族とは言っているが、ここにいる人みんなが、ただの研究好きだ。オウター家は当主が誰になるかを争うんじゃなくて、当主にならない人が誰になるのかを争うくらいだからね」
「そうなんですか」

「それに、君は僕の姉の夫になる男だろ。だからなお更、気軽にしてくれ」
「ありがとうございます」
「というか、わたしがマギナと結婚して良いものでしょうか?」
「いや、むしろ、結婚して欲しいんだよ。あれだったら、僕の妹と結婚するかい?」

「なんで、オウター家の誰かと結婚しなければならないんですか?」
「君はオウター家の当主と元当主しか知ってはいけない真実を知ってしまっているからね、今までの行動を見て悪いことはしないだろうが念のためにつながりを確保しておきたいのさ」
「それに、マギナ姉さんと結婚するのは満更でもないんだろ?だって普通ならあの良い体をしていて、愛想が良い妹と結婚できると知ったら喜びの表情が出ても良いはずなのに出てなかったからね」
「そうなんですが、身分的な問題があるんではないですか?」

「大丈夫。オウター家は古来より優秀な研究者としか結婚しないんだ。だから、マギナ姉さんは貴族のしつこい勧誘とかは、受けていないし、マギナ姉さんは研究者として、全国各地を飛び回っているってことになっているから。念のために内密に処理をしておけば文句を言うことはできないだろう。それに、マギナ姉さんはああ見えても26歳でもう嫁ぎ遅れているからね。マギナ姉さんが『結婚したい』という人なら問題ないよ」

「じゃあ遠慮なくマギナさんをお嫁にさせていただきます」
「そのときはこちらで内密に処理するからそのときはマギナ姉さんと一緒に顔を見せにきてよ」
「わかりました」
「よかったね。マギナ姉さん」
「よかった!」
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