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生と死は隣り合わせというけど、俺はもっと近くにある気がした。
「要、お薬飲んだの?」
粉末タイプの物と、錠剤タイプの物。
「……ああ」
「もう…ちゃんと飲まなきゃダメだからね?発作抑えるためのものなんだから」
俺は聞かれないくらいに小さくため息をつく。こんなことしなくても、どうせあと数ヶ月で死んでしまうのに。
「要、おはよう。…病院?」
「うん」
学校についたのは4限の後だった。
窓側の1番後ろの席に鞄を置く。
隣はいなかったはずだが、机が置かれていた。余りの机が移動したのだろうか。
席についたところで、後ろからヒソヒソと話し声が聞こえる。
きっと、サボりとかそういうことを言われているんだと思う。でも、言い返すつもりはなかった。
なるべく関わらない。教室の隅でいる方が楽だった。嶺、ー天野 嶺も幼馴染みだからってわざわざ教室で話しかけなくてもよかった。そんなことしてると根も葉もない噂が立つこと位、嶺も知っているはずだ。
「そんな陰気な顔してると余生楽しめないよ」
「っ…お前聞かれたらどうすんだよ。」
俺だって元々は、活発な子、だったと思う。
鬼ごっことかはできなかったけど、軽い運動なら少しできたし、友達も沢山いた。
その頃、自分が死ぬ前にしてみたい10のこと、を嶺と書いたことがある。死というものの理解が足りなかった頃。自分の病気の重さが理解していなかった頃。体育の授業でサッカーだった時に参加してしまった。
しぬまえに、サッカーがしたい。
下手な字で書かれたその言葉。
嶺も、要は今体調いいし、大丈夫だよと言ったからできると思った。が、そんなわけはなく、校庭に救急車が来る始末だった。
ああ…自分は普通じゃないんだ、とやっと理解できた。それから自分が生きれるのは何歳まで、と伝えられた。余命宣告、というものだった。小学生の僕には、14歳ー…あと7年間という時間が長いのが短いのかわからなかった。自分は人生の半分を生きた。わかるようでわからない、曖昧な理解しかできなかったけれどこれはどうしようもないことだということだけはわかっていた。
中学1年生。気付けば俺が生きられるのはあと1年と少しだ。そのことを、嶺と親戚以外は知らない。知られたところでどうなるかは予想がついた。どれだけクラスで目立たなくても死ぬとなればお別れ会なるものをやり、死が近くなれば病院にだって見舞う人もいるだろう。テレビなどで心臓病で亡くなった14歳の少年、とドキュメンタリーを流せば、そこには、涙を流すクラスメイトが映るのだろう。
そんなのはごめんだった。
「あれ、要くん。おはよう。いやーこの時間だとこんちには、かな?」
「あ、高瀬」
地毛だと言い張る茶髪に、着崩されたシャツ。
見た目は紛うことなき不良だ。
だが、常時笑顔で成績も良いので、生徒どころか先生までも慕っている。
なんでそんな奴が俺と一緒にいるのかは、よくわからない。隣の教室からわざわざやってきて、お昼にしよっかー要くん来なかったらぼっち飯だったよ、と彼は相変わらず人懐っこい笑顔を向けるが、彼には友達が多いはずなのに何故か俺といたがる。冴えないやつといたところで評判が下がるだけだと思うが、見慣れたせいか、なにか言ってくる同級生はいなくなった。
俺は、購買部でコロッケパンと、いちごみるくを購入し、中庭に出る。
「今日さ、要のクラスに転入生来たみたいだよ」
遅刻したせいで他クラスより情報が遅れていた。転入生。…もしかしたら先程自分の席の隣に設置された新しい机がその子のものなのだろうか。合点がいった気がする。
「へぇ。女子?」
「うん。なんか、可愛かったよ。結構」
そんな漫画みたいなことあるか、と思ったが、高瀬が言うのだからまあそうなのだろう。彼は1年以上付き合ってた彼女と2ヶ月くらい前に別れていたが、その子は清純派を絵にしたような子だった。容姿はさることながら性格までもよかった。何故別れたのかは、高瀬が言ってこないので話したくないのかもしれない。触れないでおいている。そして、彼が言うくらい可愛い子が、おそらく俺の隣。いままで教科書を忘れても隣の人がいなかったため1人でどうにかしてたがきっとそれもなくなるのだろう。しかも可愛い女の子に見せてもらえるなんて願ったり叶ったりだ。
高瀬がトイレに行くと行って消えていったので、俺はいちごみるくのパックを飲み干した。近くのゴミ箱に投げ入れが、淵に当たって入らなかった。
パックからは飲みきれなかった少量のいちごみるくが零れている。
そして排水口に飲み込まれていった。
また、ため息をつく。
「あ、ため息。幸せ逃げちゃうよ?」
上から声がした。
振り向くと、茶髪でセミロングくらいの女の子が微笑んでいた。リボンは赤。ということは俺と同じ学年だが、こんな子はいた気がしない。
「あはは、驚いてる。そりゃあ見たことないでしょ、私今日転入してきたんだもん」
口元を隠してその子は笑った。
転入生。高瀬が言った子だろう。
確かに紛うことなき美少女だ。
「ど、どうも。」
しどろもどろになっていると、何が面白いのかその子は爆笑している。
あははは、と。
その辺の女子中学生はきゃははは、と甲高い声で笑うが、そんな煩わしい笑い方ではなかった。そして、告げる。
「面白いね、君、家で飼ってたルビィに似てる!!」
「要、お薬飲んだの?」
粉末タイプの物と、錠剤タイプの物。
「……ああ」
「もう…ちゃんと飲まなきゃダメだからね?発作抑えるためのものなんだから」
俺は聞かれないくらいに小さくため息をつく。こんなことしなくても、どうせあと数ヶ月で死んでしまうのに。
「要、おはよう。…病院?」
「うん」
学校についたのは4限の後だった。
窓側の1番後ろの席に鞄を置く。
隣はいなかったはずだが、机が置かれていた。余りの机が移動したのだろうか。
席についたところで、後ろからヒソヒソと話し声が聞こえる。
きっと、サボりとかそういうことを言われているんだと思う。でも、言い返すつもりはなかった。
なるべく関わらない。教室の隅でいる方が楽だった。嶺、ー天野 嶺も幼馴染みだからってわざわざ教室で話しかけなくてもよかった。そんなことしてると根も葉もない噂が立つこと位、嶺も知っているはずだ。
「そんな陰気な顔してると余生楽しめないよ」
「っ…お前聞かれたらどうすんだよ。」
俺だって元々は、活発な子、だったと思う。
鬼ごっことかはできなかったけど、軽い運動なら少しできたし、友達も沢山いた。
その頃、自分が死ぬ前にしてみたい10のこと、を嶺と書いたことがある。死というものの理解が足りなかった頃。自分の病気の重さが理解していなかった頃。体育の授業でサッカーだった時に参加してしまった。
しぬまえに、サッカーがしたい。
下手な字で書かれたその言葉。
嶺も、要は今体調いいし、大丈夫だよと言ったからできると思った。が、そんなわけはなく、校庭に救急車が来る始末だった。
ああ…自分は普通じゃないんだ、とやっと理解できた。それから自分が生きれるのは何歳まで、と伝えられた。余命宣告、というものだった。小学生の僕には、14歳ー…あと7年間という時間が長いのが短いのかわからなかった。自分は人生の半分を生きた。わかるようでわからない、曖昧な理解しかできなかったけれどこれはどうしようもないことだということだけはわかっていた。
中学1年生。気付けば俺が生きられるのはあと1年と少しだ。そのことを、嶺と親戚以外は知らない。知られたところでどうなるかは予想がついた。どれだけクラスで目立たなくても死ぬとなればお別れ会なるものをやり、死が近くなれば病院にだって見舞う人もいるだろう。テレビなどで心臓病で亡くなった14歳の少年、とドキュメンタリーを流せば、そこには、涙を流すクラスメイトが映るのだろう。
そんなのはごめんだった。
「あれ、要くん。おはよう。いやーこの時間だとこんちには、かな?」
「あ、高瀬」
地毛だと言い張る茶髪に、着崩されたシャツ。
見た目は紛うことなき不良だ。
だが、常時笑顔で成績も良いので、生徒どころか先生までも慕っている。
なんでそんな奴が俺と一緒にいるのかは、よくわからない。隣の教室からわざわざやってきて、お昼にしよっかー要くん来なかったらぼっち飯だったよ、と彼は相変わらず人懐っこい笑顔を向けるが、彼には友達が多いはずなのに何故か俺といたがる。冴えないやつといたところで評判が下がるだけだと思うが、見慣れたせいか、なにか言ってくる同級生はいなくなった。
俺は、購買部でコロッケパンと、いちごみるくを購入し、中庭に出る。
「今日さ、要のクラスに転入生来たみたいだよ」
遅刻したせいで他クラスより情報が遅れていた。転入生。…もしかしたら先程自分の席の隣に設置された新しい机がその子のものなのだろうか。合点がいった気がする。
「へぇ。女子?」
「うん。なんか、可愛かったよ。結構」
そんな漫画みたいなことあるか、と思ったが、高瀬が言うのだからまあそうなのだろう。彼は1年以上付き合ってた彼女と2ヶ月くらい前に別れていたが、その子は清純派を絵にしたような子だった。容姿はさることながら性格までもよかった。何故別れたのかは、高瀬が言ってこないので話したくないのかもしれない。触れないでおいている。そして、彼が言うくらい可愛い子が、おそらく俺の隣。いままで教科書を忘れても隣の人がいなかったため1人でどうにかしてたがきっとそれもなくなるのだろう。しかも可愛い女の子に見せてもらえるなんて願ったり叶ったりだ。
高瀬がトイレに行くと行って消えていったので、俺はいちごみるくのパックを飲み干した。近くのゴミ箱に投げ入れが、淵に当たって入らなかった。
パックからは飲みきれなかった少量のいちごみるくが零れている。
そして排水口に飲み込まれていった。
また、ため息をつく。
「あ、ため息。幸せ逃げちゃうよ?」
上から声がした。
振り向くと、茶髪でセミロングくらいの女の子が微笑んでいた。リボンは赤。ということは俺と同じ学年だが、こんな子はいた気がしない。
「あはは、驚いてる。そりゃあ見たことないでしょ、私今日転入してきたんだもん」
口元を隠してその子は笑った。
転入生。高瀬が言った子だろう。
確かに紛うことなき美少女だ。
「ど、どうも。」
しどろもどろになっていると、何が面白いのかその子は爆笑している。
あははは、と。
その辺の女子中学生はきゃははは、と甲高い声で笑うが、そんな煩わしい笑い方ではなかった。そして、告げる。
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