職場が宇宙の国際都市で、私があいつに恋をして。

和久田純

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それぞれの夢

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圭と亜美がカフェテリアドームに入ると、
既にそこは熱く盛り上がっていた。

それぞれの故郷の民族衣装や民族楽器に彩られた空間は、二人にとってあまりに新鮮だった。

圭がウェルカムドリンクを持ったスタッフからシャンパンを二つ貰う。

音楽が大きくて声が聞こえないのか、圭が亜美の耳に顔を近づけて話す。

「亜美さん!お酒!飲めますか!」

亜美は圭のその意味を理解し、

「飲む!ありがとう!」

と叫び返した。さりげない優しさを元カレと比べてしまう亜美は、まだ失恋から立ち直っていない。

二人は会話を楽しみながら、部署の先輩と挨拶を交わし交流を深めた。

圭の顔がやや赤くなっている。
パーティーが始まって既に三時間が経っている。
これからカラオケに行くグループや、寮で映画を見るグループ、パブやクラブに行く者もいれば、即興ジャズセッションを始める者もいる。

私は一度、圭と別れてドームの入り口近くのジャズセッションを聞きに行った。

「あ、亜美さん」

酔って明るくなったリアが亜美に駆け寄る。

「亜美さん、これからよろしくね。
私、緊張してて、午前は愛想悪くてごめんなさい」

亜美はアルコールが入ると性格が変わるリアをすこし警戒した。

「緊張するよね!これから本当によろしく!」

私は明るく努めた。
ふんわりとウェーブのかかった
美しい上品な茶色の髪の毛や、
整った顔立ち、
モデルのような体躯に
嫉妬したわけではない…はずだ。

私はシカゴ出身の研究員らによるセッションに後ろ髪を引かれる思いで、
リアを避けるようにドームへ戻った。

劣等感の塊で、誇れる理由があってここへ来たわけではない。

夢があるわけでもない。

幹部候補の存在さえ私には縁がなかった。

圭とリアが途端に輝いて見える。

私は中国で働くべきだったのだろうか。

今更帰る場所も地球にはないというのに。










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