職場が宇宙の国際都市で、私があいつに恋をして。

和久田純

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最初の一戦、粘り勝ち。

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各国の代表らと地球からテレビ電話をつないで、会議が始まった。
「——以上で私の説明を終わります」

圭の後に発表をした。
圭が案を出したとき、さすが将来のリーダーだと場内がざわめいた。

角ばった骨格デザインの中に水滴のような小さな部屋が集まって、ねじれてちぎれて、再び湖に戻るという水の状態変化を繊細に表現していた。
強度も十分で、軽量でデザインも洗練されている。

「また、負けるのかなぁ」

結果が出るのは今週末だ。


エレナは二人を少しだけ褒めた。

「すごいじゃない。これからこっちで叩いたり割ったり破いたり、想定してみるから楽しみにしててー!」

どちらの案が良いかは言わなかった。

日が暮れて
帰寮の時間になった。
今日はまだ、帰りたくなかった。
ただゴールドコーストにもう一度行って
少しだけ一人になりたかった。

ベンチに負けて亜美が腰掛けると、雲間から夕日が差し込んだ。

眩しい。

劣等感に潰されそうだった。リアといえば今日、いろんな職員から信頼されてて羨ましかった。

「亜美ちゃん、いい?」

声の主は、圭、

ではなく、リアだった。

リアにベンチの隣を勧める。

「今日はお疲れ。二人の案、すごく人気だったよ。圭くんは省エネ、現実主義者で、亜美ちゃんの天才的芸術センスには敵わないって、いろんな人が言ってた」

リアは励まそうとしていた。

「ありがとう、でも能力差は痛感した。これからどうにか追いつく。でも、今日だけはここで反省会」

リアはその真意までを汲み取られた気がして、少し黙った。そして、立ち上がって戻ろうとした。
刹那、顔を見ないようにさりげなく伝える。

「圭、ご飯誘うつもりだったみたい。
本人は互角だって思ってたから。
だけど、今日は別のデザインのヘルプに入ってるって、上手く言っといた。
泣いても明日には持ち越さないでね」

あぁ、そうだった。こんな言い方の強いリアだけど、誰より人との繋がりを大切にするんだった。

「ありがとう。助かった」

リアは何も言わずに帰っていった。


何もない湖畔に月の光が煌めいた。



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