37 / 55
ぬらりひょんの孫・セイヤくん編
小洗屋のシラタマとぬらりひょんの息子・セイヤくん編 5話
しおりを挟む
「あたしが首だけで飛んで、ガブってしたら、ひゃーって逃げてったの。ダサくない?」
3人でお茶をすすり、大福を頬張るが、リッカちゃんはまだご立腹だ。
「でも、あんなに噛んだら、ぼくもこわいよぉ」
「そう? シラタマちゃんを泣かしたんだから、あれぐらいでいいと思うけど」
「リッカちゃん、ありがと」
少し照れたようにリッカちゃんは笑って、最後のひと口を頬張った。
濃いめに入れた2杯目のお茶をすすり、でもさ、といいだす。
「なんで、あんなに怒ってるんだろね、セイヤくん。シラタマちゃんのこと、いっつも目の敵にしてるし」
「私もね、それは思ったの。なんでだろうなーって。なんでかな」
「……ぼく、ちょっとわかるかも」
ヨツロウくんは画板の紙にサラサラと絵を描いていく。
そこには、セイヤくんのお爺ちゃんが浮かびあがる。
「セイヤくんのお爺ちゃんの口癖、うちの母ちゃんとおんなじなんだぁ」
お爺ちゃんの横に、サラサラと吹き出しで書き込んだのは、
『うちの子、なにもできなくて』
『うちの子、がんばってないから』
『よその子は、ちゃんと家のことをして、えらい』
それを見て、ギョッとする。
確かにいわれた言葉だからだ。
リッカちゃんは、うへぇという顔をして舌をだした。
「うちの母ちゃんさぁ、『うちの子はなにもできなくてぇ』って。『よその子はもっとやってる』って。それこそ、シラタマちゃんみたいになれってさぁ」
シラタマは父と母のために一生懸命にしていた。
だがそれを引き合いにだされていたとは、驚きである。
むしろシラタマにとっては、小豆を一生懸命洗う以外、家族になる方法がなかったからだ。
そんな一生懸命を真似しろといわれても、誰も真似できないし、したくないんじゃないだろうか。
それこそ、本人は今とっても頑張っているのに、まるで頑張ってないようにいわれたら、たまったものじゃない!
「……ごめんね、ヨツロウくん」
「謝る必要ないと思うけど?」
暇なのか自分の頭をころころ転がすリッカちゃんに、ヨツロウくんは大きく頷いた。
「シラタマちゃんは全然悪くないんだ! ごめんね、ぼくの方こそ。……そのね、そういうこと母ちゃんがいう度にね、お姉ちゃんたちが、ぼくががんばってるところいってくれるんだぁ」
ぷくぷくのほっぺを嬉しそうに赤く染めて、しゃべりながら指をおっていく。
「この前はね、油揚げを揚げるのがとっても上手。あとぉ、絵を描くのがはやくなった。それと、ガンモを揚げる練習がんばってる! 3つもあるんだよぉ」
嬉しそうなその手が、ぱたんと膝に落ちる。
「……もしさぁ、セイヤくん、一人っ子だから、誰も褒めてくれなかったらさぁ……」
リッカちゃんは頭を転がすのをやめた。
シラタマのヒゲがむむっと立つ。
「あたしでもちょっとは褒めてもらえるのに、あのセイヤくんが褒められないなんておかしくない?」
セイヤくんはお茶の知識は幅広く、駄菓子の店番の際は、誰よりも暗算が早くて正確なのだ。
「私もそう思う。なんで、セイヤくんは褒められないの?」
シラタマとリッカちゃん、ヨツロウくんはセイヤくんのすごいところを書き出していく……
3人でお茶をすすり、大福を頬張るが、リッカちゃんはまだご立腹だ。
「でも、あんなに噛んだら、ぼくもこわいよぉ」
「そう? シラタマちゃんを泣かしたんだから、あれぐらいでいいと思うけど」
「リッカちゃん、ありがと」
少し照れたようにリッカちゃんは笑って、最後のひと口を頬張った。
濃いめに入れた2杯目のお茶をすすり、でもさ、といいだす。
「なんで、あんなに怒ってるんだろね、セイヤくん。シラタマちゃんのこと、いっつも目の敵にしてるし」
「私もね、それは思ったの。なんでだろうなーって。なんでかな」
「……ぼく、ちょっとわかるかも」
ヨツロウくんは画板の紙にサラサラと絵を描いていく。
そこには、セイヤくんのお爺ちゃんが浮かびあがる。
「セイヤくんのお爺ちゃんの口癖、うちの母ちゃんとおんなじなんだぁ」
お爺ちゃんの横に、サラサラと吹き出しで書き込んだのは、
『うちの子、なにもできなくて』
『うちの子、がんばってないから』
『よその子は、ちゃんと家のことをして、えらい』
それを見て、ギョッとする。
確かにいわれた言葉だからだ。
リッカちゃんは、うへぇという顔をして舌をだした。
「うちの母ちゃんさぁ、『うちの子はなにもできなくてぇ』って。『よその子はもっとやってる』って。それこそ、シラタマちゃんみたいになれってさぁ」
シラタマは父と母のために一生懸命にしていた。
だがそれを引き合いにだされていたとは、驚きである。
むしろシラタマにとっては、小豆を一生懸命洗う以外、家族になる方法がなかったからだ。
そんな一生懸命を真似しろといわれても、誰も真似できないし、したくないんじゃないだろうか。
それこそ、本人は今とっても頑張っているのに、まるで頑張ってないようにいわれたら、たまったものじゃない!
「……ごめんね、ヨツロウくん」
「謝る必要ないと思うけど?」
暇なのか自分の頭をころころ転がすリッカちゃんに、ヨツロウくんは大きく頷いた。
「シラタマちゃんは全然悪くないんだ! ごめんね、ぼくの方こそ。……そのね、そういうこと母ちゃんがいう度にね、お姉ちゃんたちが、ぼくががんばってるところいってくれるんだぁ」
ぷくぷくのほっぺを嬉しそうに赤く染めて、しゃべりながら指をおっていく。
「この前はね、油揚げを揚げるのがとっても上手。あとぉ、絵を描くのがはやくなった。それと、ガンモを揚げる練習がんばってる! 3つもあるんだよぉ」
嬉しそうなその手が、ぱたんと膝に落ちる。
「……もしさぁ、セイヤくん、一人っ子だから、誰も褒めてくれなかったらさぁ……」
リッカちゃんは頭を転がすのをやめた。
シラタマのヒゲがむむっと立つ。
「あたしでもちょっとは褒めてもらえるのに、あのセイヤくんが褒められないなんておかしくない?」
セイヤくんはお茶の知識は幅広く、駄菓子の店番の際は、誰よりも暗算が早くて正確なのだ。
「私もそう思う。なんで、セイヤくんは褒められないの?」
シラタマとリッカちゃん、ヨツロウくんはセイヤくんのすごいところを書き出していく……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる