13周目は悪役令嬢!? いやいや、私は好きに攻略させてもらいますっ!

yolu

文字の大きさ
9 / 12

9話 ディナータイムはいずこへ?

しおりを挟む
 美味しく食べてはいるが、どう考えても親族の宴会レベルのディナーだ。

 もうすぐデザートではあるが、だんだんエスカレートするお小言、声のデカさ、そして騒ぐ2人に、私は怒りゲージが溜まってきていた。
 こんなに美味しいのに、ソフィアとは小声で話さなきゃならないし、話を聞いてなければ叱られるし!!!!

「ふたりも自由におしゃべりしていいんだぞ?」

 アリエスのこの言葉に、私の怒りゲージはフルとなった。
 目の前にあったワイングラスを引っ掴むと、一気に私はワインを飲みこむ。


 がっと熱くなる喉に、胃袋、そして、頭の中もっ!!!!


「………ちょっと、静かにしなさい、あんたたちっ!!!」
「れ、レイヤ、どうしたの?」

 おろつくソフィアを置いて、私はさらに言葉を放った。

「大人同士の食事なんでしょ? こんな親戚の集まりに来た覚えはないっ! ったく、黙って食事ができないは、グチグチ説教だわ、挙句に大酒飲んでただ笑って………そんな人が神様なの? ねぇ、神様として恥ずかしくないっ?」

 私が怒鳴ったことで、走るのをやめたジェーとミニは大人しく椅子に腰をかける。
 マナーも何もなかったタウラスは、一度座り直すと、食べ方飲み方を改めるのか、一度皿を下げさせた。
 アリエスにいたっては、言い返す言葉が見つからないのか、あわあわと口を揺らすだけ。

 そして私は………

「あたま、ぐらぐらする………」

 ばたりと床に崩れる寸前、誰かに支えられた気がする。
 薄目で見えたのは、オフィクスだ。
 オフィクスに抱きかかえられている………

「オフィクス………ごめ……」

 私の意識は、そこで途絶えた。




 クラクションと急ブレーキの音───!!!!!




 冷や汗をどっぷりかいて、私は体を飛び起こした。
 急に起きたせいで頭が痛い。

 ………すごく痛い。

「……なにこれ」

 頭を抱えて体をまるめると、そっと私の頭をなでる手がある。
 オフィクスだ。
 大きくて、暖かくて、優しい手だ。

「オフィクス……ありがと」
「よかった。目覚めが遅いから心配でたまらなかった」

 オフィクスは心配そうに目を細め、私の額に彼の額をくっつける。
 頭がもうろうとしてるため、オフィクスのまつげは黒いんだと、当たり前のことを私は眺めていた。

「レイヤ、この水を飲め。薬も溶かしたから問題ない」

 言われたとおり飲み込むんだ。
 が、苦い。とても苦い水だ。

「我慢して飲んでくれ」

 オフィクスの頼みとあらば!!!!!

 私は一気に飲み込み、ひと息つく。

「ありがと、オフィクス」

 手が伸ばされたので、そこにグラスを手渡すと、

「レイヤは感謝の言葉が多くて、俺は好きだ」

 オフィクスの声は心底幸せそうな温かな声。
 だけれど、言葉が唐突すぎて、私の心臓が止まりそうになる!

「どうした、レイヤ? 大丈夫か?」
「……な、なんとか……」

 優しく背をさする手に甘えていると、オフィクスが笑い出した。

「何、急に………?」
「さっき啖呵きっただろ。あれが面白くて」
「なんで? だいたいあんなのおかしいじゃん」
「そう、おかしい。だけど誰もおかしいとは言えないから。レイヤは自由でいい」
「みんな遠慮してるんだね」

「いいや、レイヤ、君は、本当に素晴らしいんだ……」

 オフィクスは私の頬を優しくなでる。
 赤い爪が鋭いので、それを肌に当てないように、指の背でそっと。

「さ、レイヤ、明日から個々の生活が始まる。今日はもうゆっくり眠るといい」

 優しく頭を触られて、私はわかったといえただろうか。
 薬のおかげもあってか、すんなりと夢の中へと入っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!

966
ファンタジー
「錬金術士様だ!この村にも錬金術士様が来たぞ!」  最低ランク錬金術士エリセフィーナは錬金術士の学校、|王立錬金術学園《アカデミー》を卒業した次の日に最果ての村にある|工房《アトリエ》で一人生活することになる、Fランクという最低ランクで錬金術もまだまだ使えない、モンスター相手に戦闘もできないエリナは消えかけている前世の記憶を頼りに知り合いが一人もいない最果ての村で自分の夢『みんなを幸せにしたい』をかなえるために生活をはじめる。  この物語は、最果ての村『グリムホルン』に来てくれた若き錬金術士であるエリセフィーナを村人は一生懸命支えてサポートしていき、Fランクという最低ランクではあるものの、前世の記憶と|王立錬金術学園《アカデミー》で得た知識、離れて暮らす錬金術の師匠や村でできた新たな仲間たちと一緒に便利なアイテムを作ったり、モンスター盗伐の冒険などをしていく。 錬金術士エリセフィーナは日本からの転生者ではあるものの、記憶が消えかかっていることもあり錬金術や現代知識を使ってチート、無双するような物語ではなく、転生した世界で錬金術を使って1から成長し、仲間と冒険して成功したり、失敗したりしながらも楽しくスローライフをする話です。

処理中です...