30 / 56
3日目は釣り日和【釣り編】
しおりを挟む
バラが咲き誇る中庭を抜けると、すぐに小道が現れた。
道の両脇には白い幹が美しい木々が一列に並んでいる。
青く茂る木の葉っぱはダイヤ型で、先がギザギザだからか揺れるたびに葉の揺れる音がとても爽やかだ。
肩車をされたアレッタは手の届く枝から葉をちぎり、手のひらで眺めていると、道の奥に煌めく場所が見えてきた。
丸く抜かれた場所は、緩やかに揺れている。
それは大きな大きな水溜りだ。
───これは、湖!
「エイビス、湖だ、湖っ!」
カンカンと仮面を叩くアレッタを宥めるように背負いなおし、エイビスは大きく頷いて見せる。
「そうだよ。あの湖のほとりで釣りをするんだ。
あの湖には主がいるんだけど、まだ釣り上げられたことがないんだ。
アレッタ、どちらが主を釣れるか競争しない?」
その言葉に、アレッタは疑問符を浮かべ、口を一文字に結んだ。
「エイビス、ヌシってなんだ? 魚の名前か?」
「この湖の古株で、とても大きな魚のこと。
きっと釣ったらフィアが喜ぶね」
アレッタがフィアへと視線を向けると、フィアはメガネを指で持ち上げ、にやりと微笑んだ。
「ああ、それ1匹でみんなの腹を十分まかなえる」
「それならエイビス、やろうじゃないかっ!」
アレッタはエンを頭に乗せ直し、もぞもぞとエイビスから降りて走りだした。
だがアレッタの短い足では、あれほど近くに見えた湖なのに、全く到着しない。
「……なかなかやるな、湖……」
息を切らして立ち止まったアレッタを、さらうようにネージュが抱きかかえた。
ひとつ頬ずりをして、抱き直すと、
「あたしが連れてってあげるっ」
彼女は足を一歩踏み出した。
その一歩の距離がとてつもなく長い。
まるで風にでもなったようだ。
ぼうぼうと耳で音が鳴り、景色が流れていく。
眺める湖の揺れは少なく、鏡のように縁をたどる木々が映り込む。
陽はじんわりと頬を温め、釣り日和に間違いないことを教えてくれる。
アレッタは混ざる景色に魅入っていたが、急にそれが停止した。
「はい、アリー、到着よっ」
そっと降ろされた先は、水際だ。ちゃぷんと小さな波が地面を叩いている。
地面は岩と砂利が敷き詰められ、砂浜のように美しくはないがとても歩きやすい。
後ろには大木が茂り、日陰が大きく伸びている。
横を見ると、すでにエイビスとフィアも到着していた。
2人とも、本気を出せばとてつもなく速いのだ。
アレッタはその現実に、改めて自分がヒトなのだと実感する。
フィアは慣れた足取りで大木の下へと移動すると、いつもの火起こし場所があるのか、枝が天井のように囲う場所に荷物を降ろし、ランチの準備をしだした。
「おーい、アレッタ! 競争しようぉ」
釣り道具をネージュに押しつけられていたエイビスが、手を振りアレッタを呼んでいる。
エイビスのいる場所は大きな岩があり、そこに腰をかけて釣りをするようだ。
だがスーツをビシッと着た仮面紳士がそんなところで釣り糸を垂らすのだと思うと、異様で、滑稽だ。
アレッタはその姿をイメージし、小さく笑ってからネージュへと振り返った。
「ネージュ、行ってくるっ」
「気をつけるのよ」
力一杯走り出したアレッタの背を見て、ネージュは笑った。
子供の頃のアレッタも、こうだったのだろうか、と。
だが、その考えはすぐに消える。
アレッタの幼少期は、悪霊との戦争時代と言っていい。
きっと、こんな穏やかな日はなかっただろう。
あの永遠の命を持つ天使が死ぬ時代だ。
神の左手は肉片1つあれば聖剣の力で体を戻すことができるが、ほかの天使は違う。
ヒトよりも、体力も身体能力も全て勝る寿命のない彼らでも、体を傷つけられれば消滅するのだ。
日々減り続ける戦力を補うため、孤児院で育ったアレッタが歩んだ幼少期は、ただ智天使になるための訓練しかない。
あれだけはしゃぐアレッタを見ると、子供として堕ちたのは神からのプレゼントだと思いたくなる。
だが、そうではない。
断じて、違う───
…おい……おいっ、ネージュ、」
フィアの声にネージュは体を震わせた。
「アレッタばかり見るのはいいが、釣りをするか俺の手伝いをするか、どちらか決めろ」
「そうね、かわいそうだからフィアの手伝いをしてあげる。
何をすればいい?」
アレッタがたどり着いた目の前には岩がある。それは大きく、高さは3mはありそうだ。
だが波風にさらされた結果か、角は丸く、触るとするりとして肌触りもいい。
「アレッタ、この岩は湖の屋根のようにせり出てるんだ。この上を釣り場にするよ」
見上げるアレッタをエイビスは抱え、慣れた足取りで飛び上がった。
一回の跳躍で到着したその岩場は、意外と広く、しかも平らだ。木の板も敷かれ、そこに座って釣りができるようになっている。すでに道具が置いてあり、エイビスが明るい声で説明していく。
「ここの下は、よく魚が休んでる場所なんだよ。ここの魚は暗いところが好みなんだ」
「それでここにヌシもいる可能性があるんだな!」
「そのとおり」
エイビスは釣竿を取り出し、アレッタに手渡した。
「この細い棒が釣竿。さっきも話したけど、この糸の先に針がついてて、それを湖の中に垂らして、魚が針を飲むこむのを待つのが釣りなんだよ」
アレッタは小さな指で器用に針をつまんだ。先が鋭く尖り、さらに返しもついている。
一度刺さると抜けづらい。
「エイビス、この針だけで釣れるのか?」
「ううん。それだけじゃダメだから、疑似餌というのをつけて釣るんだよ」
アレッタの持つ釣竿に、エイビスは追加の部品をつけていく。擬似餌の他に、ウキや錘だ。
その様子を黙って見ているアレッタに、エイビスは出来上がった釣竿をアレッタに再度手渡した。
アレッタは改めて持ち、感触を確かめていた。
竿は木製でよくしなる。それは振ると先がよく揺れるからだ。
糸を巻き上げるリールも木製で、小さなつまみを持って回して見ると、スムーズな動きで糸が巻き上がってくる。
「アレッタ、リールを離すと下に落ちていくから、湖に糸を垂らしてくれる?」
アレッタは言われた通りに竿を湖に向けると、リールから手を離した。
しゅるしゅると糸が落ち、すぐに針が着水する。
すぐに湖の中をふわりと落ちていき、丸いウキがぷかりと浮いた。
「もう少し深いところの魚を狙いたいから、もう少し糸を伸ばせる?」
リールで糸を落おとしていくと、エイビスの手がかざされた。
そこでリールのつまみを掴み、これ以上落ちないようにロックをかける。
するとエイビスが湖面を指さした。
「あの丸いウキが、クイクイって引っ張られると魚が食いついた合図だよ。
さ、釣りは待つのが大事。ゆっくり楽しもうか」
静かな湖面を見ながら、柔らかな日差しと心地のいい風を浴び、2人の釣りは始まった。
道の両脇には白い幹が美しい木々が一列に並んでいる。
青く茂る木の葉っぱはダイヤ型で、先がギザギザだからか揺れるたびに葉の揺れる音がとても爽やかだ。
肩車をされたアレッタは手の届く枝から葉をちぎり、手のひらで眺めていると、道の奥に煌めく場所が見えてきた。
丸く抜かれた場所は、緩やかに揺れている。
それは大きな大きな水溜りだ。
───これは、湖!
「エイビス、湖だ、湖っ!」
カンカンと仮面を叩くアレッタを宥めるように背負いなおし、エイビスは大きく頷いて見せる。
「そうだよ。あの湖のほとりで釣りをするんだ。
あの湖には主がいるんだけど、まだ釣り上げられたことがないんだ。
アレッタ、どちらが主を釣れるか競争しない?」
その言葉に、アレッタは疑問符を浮かべ、口を一文字に結んだ。
「エイビス、ヌシってなんだ? 魚の名前か?」
「この湖の古株で、とても大きな魚のこと。
きっと釣ったらフィアが喜ぶね」
アレッタがフィアへと視線を向けると、フィアはメガネを指で持ち上げ、にやりと微笑んだ。
「ああ、それ1匹でみんなの腹を十分まかなえる」
「それならエイビス、やろうじゃないかっ!」
アレッタはエンを頭に乗せ直し、もぞもぞとエイビスから降りて走りだした。
だがアレッタの短い足では、あれほど近くに見えた湖なのに、全く到着しない。
「……なかなかやるな、湖……」
息を切らして立ち止まったアレッタを、さらうようにネージュが抱きかかえた。
ひとつ頬ずりをして、抱き直すと、
「あたしが連れてってあげるっ」
彼女は足を一歩踏み出した。
その一歩の距離がとてつもなく長い。
まるで風にでもなったようだ。
ぼうぼうと耳で音が鳴り、景色が流れていく。
眺める湖の揺れは少なく、鏡のように縁をたどる木々が映り込む。
陽はじんわりと頬を温め、釣り日和に間違いないことを教えてくれる。
アレッタは混ざる景色に魅入っていたが、急にそれが停止した。
「はい、アリー、到着よっ」
そっと降ろされた先は、水際だ。ちゃぷんと小さな波が地面を叩いている。
地面は岩と砂利が敷き詰められ、砂浜のように美しくはないがとても歩きやすい。
後ろには大木が茂り、日陰が大きく伸びている。
横を見ると、すでにエイビスとフィアも到着していた。
2人とも、本気を出せばとてつもなく速いのだ。
アレッタはその現実に、改めて自分がヒトなのだと実感する。
フィアは慣れた足取りで大木の下へと移動すると、いつもの火起こし場所があるのか、枝が天井のように囲う場所に荷物を降ろし、ランチの準備をしだした。
「おーい、アレッタ! 競争しようぉ」
釣り道具をネージュに押しつけられていたエイビスが、手を振りアレッタを呼んでいる。
エイビスのいる場所は大きな岩があり、そこに腰をかけて釣りをするようだ。
だがスーツをビシッと着た仮面紳士がそんなところで釣り糸を垂らすのだと思うと、異様で、滑稽だ。
アレッタはその姿をイメージし、小さく笑ってからネージュへと振り返った。
「ネージュ、行ってくるっ」
「気をつけるのよ」
力一杯走り出したアレッタの背を見て、ネージュは笑った。
子供の頃のアレッタも、こうだったのだろうか、と。
だが、その考えはすぐに消える。
アレッタの幼少期は、悪霊との戦争時代と言っていい。
きっと、こんな穏やかな日はなかっただろう。
あの永遠の命を持つ天使が死ぬ時代だ。
神の左手は肉片1つあれば聖剣の力で体を戻すことができるが、ほかの天使は違う。
ヒトよりも、体力も身体能力も全て勝る寿命のない彼らでも、体を傷つけられれば消滅するのだ。
日々減り続ける戦力を補うため、孤児院で育ったアレッタが歩んだ幼少期は、ただ智天使になるための訓練しかない。
あれだけはしゃぐアレッタを見ると、子供として堕ちたのは神からのプレゼントだと思いたくなる。
だが、そうではない。
断じて、違う───
…おい……おいっ、ネージュ、」
フィアの声にネージュは体を震わせた。
「アレッタばかり見るのはいいが、釣りをするか俺の手伝いをするか、どちらか決めろ」
「そうね、かわいそうだからフィアの手伝いをしてあげる。
何をすればいい?」
アレッタがたどり着いた目の前には岩がある。それは大きく、高さは3mはありそうだ。
だが波風にさらされた結果か、角は丸く、触るとするりとして肌触りもいい。
「アレッタ、この岩は湖の屋根のようにせり出てるんだ。この上を釣り場にするよ」
見上げるアレッタをエイビスは抱え、慣れた足取りで飛び上がった。
一回の跳躍で到着したその岩場は、意外と広く、しかも平らだ。木の板も敷かれ、そこに座って釣りができるようになっている。すでに道具が置いてあり、エイビスが明るい声で説明していく。
「ここの下は、よく魚が休んでる場所なんだよ。ここの魚は暗いところが好みなんだ」
「それでここにヌシもいる可能性があるんだな!」
「そのとおり」
エイビスは釣竿を取り出し、アレッタに手渡した。
「この細い棒が釣竿。さっきも話したけど、この糸の先に針がついてて、それを湖の中に垂らして、魚が針を飲むこむのを待つのが釣りなんだよ」
アレッタは小さな指で器用に針をつまんだ。先が鋭く尖り、さらに返しもついている。
一度刺さると抜けづらい。
「エイビス、この針だけで釣れるのか?」
「ううん。それだけじゃダメだから、疑似餌というのをつけて釣るんだよ」
アレッタの持つ釣竿に、エイビスは追加の部品をつけていく。擬似餌の他に、ウキや錘だ。
その様子を黙って見ているアレッタに、エイビスは出来上がった釣竿をアレッタに再度手渡した。
アレッタは改めて持ち、感触を確かめていた。
竿は木製でよくしなる。それは振ると先がよく揺れるからだ。
糸を巻き上げるリールも木製で、小さなつまみを持って回して見ると、スムーズな動きで糸が巻き上がってくる。
「アレッタ、リールを離すと下に落ちていくから、湖に糸を垂らしてくれる?」
アレッタは言われた通りに竿を湖に向けると、リールから手を離した。
しゅるしゅると糸が落ち、すぐに針が着水する。
すぐに湖の中をふわりと落ちていき、丸いウキがぷかりと浮いた。
「もう少し深いところの魚を狙いたいから、もう少し糸を伸ばせる?」
リールで糸を落おとしていくと、エイビスの手がかざされた。
そこでリールのつまみを掴み、これ以上落ちないようにロックをかける。
するとエイビスが湖面を指さした。
「あの丸いウキが、クイクイって引っ張られると魚が食いついた合図だよ。
さ、釣りは待つのが大事。ゆっくり楽しもうか」
静かな湖面を見ながら、柔らかな日差しと心地のいい風を浴び、2人の釣りは始まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる