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30「親父の事情」
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ぼくには魔法があった。魔法のライター。今こそ使う時だ。
ポケットをまさぐって銀色に光るライターを取り出し、争っている二人にそれを向け、火を灯す。
瞬間、二人の動きが止まった。
「……」
「……」
声も出せない。とりあえず争いは収まった。ふう、よかった。しかし彼女たちをどうしたものか……。
「なかなか機転がきくじゃねえか。犬のくせに良くやったな」
バサラだ。気がつけばタエにうちわを持たせてあおがせている。
「少々暑いな。タエ、もっとあおげ」
「はい、バサラさん」
いつの間にかタエがバサラの手下みたいになっていた。
「クリス、お前にとってどっちが大事だ?」
「え?」
「キャサリンとカオル、どっちが大事なのかって聞いている」
「……」
どうしたんだ、急に……。ぼくはみんなが仲良くやってくれるのが一番だと……。
「おいおい、どうしたんだよ?選べないのか?それともどちらでもいいのか?しっかりしてくれよ、クリス」
ぼくは……。ぼくは……。選ぶことができるだろうか?そう言えばあの時もそうだった。選ぶことができなかった。そしてどちらも失ったのだ。今度は選べるはずだ。ぼくは、キャサリンを抱きしめた。
「そうか。そうなんだな。お前も。ははは!でも、あたしはそれを認めない」
バサラはそう言ってキャサリンを蹴飛ばした。吹っ飛ばされたキャサリンは2、3メートルほど宙を舞った後、地面に叩きつけられた。つられてぼくも尻餅をつく。
「あんたの親父もおんなじだったよ。どいつもこいつもキャサリン、キャサリン……。はっ!」
「ぼくの親父?なんのことだ?」
「ダンディー。これはあだ名みたいなものだけどね。あんたの父親だよ。あいつもキャサリンに惚れててね。そのせいで死んだようなもんだ。みんな馬鹿だよ、全く。呆れたもんだ。ああ、ムカつく」
そういって唾を吐き捨てる。おい、待て。待て待て待て。今ちらっと言ったけど……。
「ぼくの本当の父さんは死んでいる……?」
「そうだ。そこに転がっている女のせいでな」
「どういうことだ。詳しく教えてくれ」
「嫌だ。これは魔界のトップシークレットだ。いや、本当はお前には知る権利があるんだがな。あたしの口からは言えない。いや、言いたくない」
なにやら事情がありそうだ。
ポケットをまさぐって銀色に光るライターを取り出し、争っている二人にそれを向け、火を灯す。
瞬間、二人の動きが止まった。
「……」
「……」
声も出せない。とりあえず争いは収まった。ふう、よかった。しかし彼女たちをどうしたものか……。
「なかなか機転がきくじゃねえか。犬のくせに良くやったな」
バサラだ。気がつけばタエにうちわを持たせてあおがせている。
「少々暑いな。タエ、もっとあおげ」
「はい、バサラさん」
いつの間にかタエがバサラの手下みたいになっていた。
「クリス、お前にとってどっちが大事だ?」
「え?」
「キャサリンとカオル、どっちが大事なのかって聞いている」
「……」
どうしたんだ、急に……。ぼくはみんなが仲良くやってくれるのが一番だと……。
「おいおい、どうしたんだよ?選べないのか?それともどちらでもいいのか?しっかりしてくれよ、クリス」
ぼくは……。ぼくは……。選ぶことができるだろうか?そう言えばあの時もそうだった。選ぶことができなかった。そしてどちらも失ったのだ。今度は選べるはずだ。ぼくは、キャサリンを抱きしめた。
「そうか。そうなんだな。お前も。ははは!でも、あたしはそれを認めない」
バサラはそう言ってキャサリンを蹴飛ばした。吹っ飛ばされたキャサリンは2、3メートルほど宙を舞った後、地面に叩きつけられた。つられてぼくも尻餅をつく。
「あんたの親父もおんなじだったよ。どいつもこいつもキャサリン、キャサリン……。はっ!」
「ぼくの親父?なんのことだ?」
「ダンディー。これはあだ名みたいなものだけどね。あんたの父親だよ。あいつもキャサリンに惚れててね。そのせいで死んだようなもんだ。みんな馬鹿だよ、全く。呆れたもんだ。ああ、ムカつく」
そういって唾を吐き捨てる。おい、待て。待て待て待て。今ちらっと言ったけど……。
「ぼくの本当の父さんは死んでいる……?」
「そうだ。そこに転がっている女のせいでな」
「どういうことだ。詳しく教えてくれ」
「嫌だ。これは魔界のトップシークレットだ。いや、本当はお前には知る権利があるんだがな。あたしの口からは言えない。いや、言いたくない」
なにやら事情がありそうだ。
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