36 / 41
36「魔王の幽霊」
しおりを挟む
魔王の部屋の扉を開ける。そこには……。
「やあ。遅かったの。待ちくたびれたわい」
「ルシファー!」
そこにいたのは、死んだ思っていたルシファーだった。
「まあ、驚くのも無理はない。死んだと思ってたんだろう?それは間違っていない。わしは死んでいる。今お前たちと話しているのは、そう……、幽霊みたいなものだな」
「そうなのか……。って、どっちにしろ驚くよ、ルシファー。幽霊とかなれるんだな。ーーそれで、幽霊になってまで、どうして魔王の椅子に座っているんだ?」
「そうだなあ。娘にちとひどい呪いをかけてしまったのでな。それを解く方法でも教えてやろうかと思ったのだよ」
呪い。キャサリンにかけられた呪いのことだ。願ってもない。それはぜひ知りたい情報だ。
「ぜひ教えてくれ。この呪いはどうやって解くんだ?」
「ふふふ。それはな。王子のチューだ。それがあれば解ける」
まじか。それまじか。結構簡単なんだな。強力な呪いって聞いていたけれど。
「強力な呪いだよ。だからこそだ。愛の力は最強なんだよ」
「魔王が言うことかよ」
「まあな。ーーわしが幽霊になってまで言いたかったことはそれだけだ。さあ、あとは跡目争いでもなんでも勝手にやるがいい」
そうは言っても。場内の魔物はあらかた倒してしまったしな。残っているのはぼくたち三人だけだろう。
「ふうん……。あとはお前たちだけなのか。じゃあ次の魔王は誰がやるんじゃ?」
三人で顔を見合わせる。誰が次の魔王になるか。
「私はやめておくわ。性に合わないもの」
「そうか」
「ええ。あなたは?クリス」
「ぼくは」
ぼくはどうだろう。魔王なんて柄だろうか。うーん……。少し迷ったが、ぼくには一つ希望があった。
「ぼくは地球に帰りたい。やはり故郷が恋しいんだ」
「ふむ。てことはあたしか」
「頼む。バサラ」
「いいよ。やってやる。めちゃくちゃ強力な軍隊とか作って地球を侵略してやるぜ」
「ははは。本当にやりそうで怖いなあ」
「よし。次の魔王はバサラじゃな?ふむふむ。ろくな国にならんだろうが、まあいい。わしはもういく。未練ももうないしな」
「ああ、ありがとう。ルシファー」
「ふん。礼には及ばん。せいぜい精進しろ。小僧」
具合が悪そうに俯いていたキャサリンが顔をあげ、ルシファーを見上げる。
「ルシファー。いえ、お母さん」
「なんじゃ。娘。あらたまって」
「今までありがとう。私もいつかそっちにいくと思うけど。しばらくお別れね」
「そうじゃな。まあ長生きしろ。小僧と仲良くな」
「ええ」
「じゃあな」
光に包まれて、ルシファーは消えていった。
キャサリンは少し涙ぐんでいた。
「さようなら、ルシファー」
「やあ。遅かったの。待ちくたびれたわい」
「ルシファー!」
そこにいたのは、死んだ思っていたルシファーだった。
「まあ、驚くのも無理はない。死んだと思ってたんだろう?それは間違っていない。わしは死んでいる。今お前たちと話しているのは、そう……、幽霊みたいなものだな」
「そうなのか……。って、どっちにしろ驚くよ、ルシファー。幽霊とかなれるんだな。ーーそれで、幽霊になってまで、どうして魔王の椅子に座っているんだ?」
「そうだなあ。娘にちとひどい呪いをかけてしまったのでな。それを解く方法でも教えてやろうかと思ったのだよ」
呪い。キャサリンにかけられた呪いのことだ。願ってもない。それはぜひ知りたい情報だ。
「ぜひ教えてくれ。この呪いはどうやって解くんだ?」
「ふふふ。それはな。王子のチューだ。それがあれば解ける」
まじか。それまじか。結構簡単なんだな。強力な呪いって聞いていたけれど。
「強力な呪いだよ。だからこそだ。愛の力は最強なんだよ」
「魔王が言うことかよ」
「まあな。ーーわしが幽霊になってまで言いたかったことはそれだけだ。さあ、あとは跡目争いでもなんでも勝手にやるがいい」
そうは言っても。場内の魔物はあらかた倒してしまったしな。残っているのはぼくたち三人だけだろう。
「ふうん……。あとはお前たちだけなのか。じゃあ次の魔王は誰がやるんじゃ?」
三人で顔を見合わせる。誰が次の魔王になるか。
「私はやめておくわ。性に合わないもの」
「そうか」
「ええ。あなたは?クリス」
「ぼくは」
ぼくはどうだろう。魔王なんて柄だろうか。うーん……。少し迷ったが、ぼくには一つ希望があった。
「ぼくは地球に帰りたい。やはり故郷が恋しいんだ」
「ふむ。てことはあたしか」
「頼む。バサラ」
「いいよ。やってやる。めちゃくちゃ強力な軍隊とか作って地球を侵略してやるぜ」
「ははは。本当にやりそうで怖いなあ」
「よし。次の魔王はバサラじゃな?ふむふむ。ろくな国にならんだろうが、まあいい。わしはもういく。未練ももうないしな」
「ああ、ありがとう。ルシファー」
「ふん。礼には及ばん。せいぜい精進しろ。小僧」
具合が悪そうに俯いていたキャサリンが顔をあげ、ルシファーを見上げる。
「ルシファー。いえ、お母さん」
「なんじゃ。娘。あらたまって」
「今までありがとう。私もいつかそっちにいくと思うけど。しばらくお別れね」
「そうじゃな。まあ長生きしろ。小僧と仲良くな」
「ええ」
「じゃあな」
光に包まれて、ルシファーは消えていった。
キャサリンは少し涙ぐんでいた。
「さようなら、ルシファー」
0
あなたにおすすめの小説
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる