空から熟女がふってきた!?  〜魔界でエッチなお姉さんハーレム〜

田中くりまんじゅう(しゃち)

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36「魔王の幽霊」

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 魔王の部屋の扉を開ける。そこには……。

「やあ。遅かったの。待ちくたびれたわい」

「ルシファー!」

 そこにいたのは、死んだ思っていたルシファーだった。

「まあ、驚くのも無理はない。死んだと思ってたんだろう?それは間違っていない。わしは死んでいる。今お前たちと話しているのは、そう……、幽霊みたいなものだな」

「そうなのか……。って、どっちにしろ驚くよ、ルシファー。幽霊とかなれるんだな。ーーそれで、幽霊になってまで、どうして魔王の椅子に座っているんだ?」

「そうだなあ。娘にちとひどい呪いをかけてしまったのでな。それを解く方法でも教えてやろうかと思ったのだよ」

 呪い。キャサリンにかけられた呪いのことだ。願ってもない。それはぜひ知りたい情報だ。

「ぜひ教えてくれ。この呪いはどうやって解くんだ?」

「ふふふ。それはな。王子のチューだ。それがあれば解ける」

 まじか。それまじか。結構簡単なんだな。強力な呪いって聞いていたけれど。

「強力な呪いだよ。だからこそだ。愛の力は最強なんだよ」

「魔王が言うことかよ」

「まあな。ーーわしが幽霊になってまで言いたかったことはそれだけだ。さあ、あとは跡目争いでもなんでも勝手にやるがいい」

 そうは言っても。場内の魔物はあらかた倒してしまったしな。残っているのはぼくたち三人だけだろう。

「ふうん……。あとはお前たちだけなのか。じゃあ次の魔王は誰がやるんじゃ?」

 三人で顔を見合わせる。誰が次の魔王になるか。

「私はやめておくわ。性に合わないもの」

「そうか」

「ええ。あなたは?クリス」

「ぼくは」

 ぼくはどうだろう。魔王なんて柄だろうか。うーん……。少し迷ったが、ぼくには一つ希望があった。

「ぼくは地球に帰りたい。やはり故郷が恋しいんだ」

「ふむ。てことはあたしか」

「頼む。バサラ」

「いいよ。やってやる。めちゃくちゃ強力な軍隊とか作って地球を侵略してやるぜ」

「ははは。本当にやりそうで怖いなあ」

「よし。次の魔王はバサラじゃな?ふむふむ。ろくな国にならんだろうが、まあいい。わしはもういく。未練ももうないしな」

「ああ、ありがとう。ルシファー」

「ふん。礼には及ばん。せいぜい精進しろ。小僧」

 具合が悪そうに俯いていたキャサリンが顔をあげ、ルシファーを見上げる。

「ルシファー。いえ、お母さん」

「なんじゃ。娘。あらたまって」

「今までありがとう。私もいつかそっちにいくと思うけど。しばらくお別れね」

「そうじゃな。まあ長生きしろ。小僧と仲良くな」

「ええ」

「じゃあな」

 光に包まれて、ルシファーは消えていった。
 キャサリンは少し涙ぐんでいた。

「さようなら、ルシファー」
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