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37「月が落ちてくる」
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魔界から地球に帰ってきて、今日でちょうど1週間。ぼくはだいたい部屋に引きこもっていた。ゲームをするかネットをみるか、たまに近所の古本屋に行く。そんな生活だ。
「あー。何やってんだろ……」
魔界に行く前と全く同じ生活。こんなことなら魔王になっとけばよかったかな……。そんな後悔も頭をかすめる。ーーああ、タバコでも吸おう。
ベランダに出る。夜風が冷たい。
「うう、さむっ」
月を見上げる。大きな、赤い月。今日は特に大きいみたいだ。ニュースでやってたな。少し異常なくらい月が大きいって……。
「にゃー」
「ん!?……わっ、わっ」
空から猫が降ってきた。
慌ててキャッチする。ぼくの腕に抱かれた猫はおとなしくにゃーにゃーないている。
「どうしたんだお前。落ちなくてよかったな」
次の瞬間、猫はにゃーといって人間の大人の女性に変身した。
「クリス!大変よ。月が……、月が、落ちるわ」
「え?」
♦︎♦︎♦︎
「どういうことだ、キャサリン。月が落ちるって?」
キャサリン。キャサリンだ。なんだかひどく懐かしい。少しも変わっていない。いや、少し疲れている感じがする……。
部屋の中に入って、お茶を沸かし、テーブルを挟んで向かい合って座る。
「そうね。順を追って説明するわ。バサラが魔王になって、あなたが地球に帰ってから……。バサラは魔王の宝の力を使ったの。その力で、魔界を改造しだしたのよ。月ごとね」
「月ごとって……。そんなことできるのか?」
「できるのよ。あの宝の力ならね。それで……月の改造はできたのよ。超高性能の惑星型兵器。でも、操縦がバサラにはできなくてね。彼女、機械音痴だから」
「惑星型兵器……。本気でそんなもの作ったのか。大方、操縦の仕方を間違って月を地球に落としてしまったとかだろう?」
「その通りよ。お願い。クリス。あなたの力を貸して。月を止めて欲しいの」
ぼくはポケットに入っていた、魔法のライターを撫でた。
「いいだろう。でも、月を止められたら、ぼくを魔王にしてくれないか?やっぱり、バサラには任せられないよ」
「いいわ。バサラにも認めさせる。力づくでもね」
「よし。交渉成立だ」
「あー。何やってんだろ……」
魔界に行く前と全く同じ生活。こんなことなら魔王になっとけばよかったかな……。そんな後悔も頭をかすめる。ーーああ、タバコでも吸おう。
ベランダに出る。夜風が冷たい。
「うう、さむっ」
月を見上げる。大きな、赤い月。今日は特に大きいみたいだ。ニュースでやってたな。少し異常なくらい月が大きいって……。
「にゃー」
「ん!?……わっ、わっ」
空から猫が降ってきた。
慌ててキャッチする。ぼくの腕に抱かれた猫はおとなしくにゃーにゃーないている。
「どうしたんだお前。落ちなくてよかったな」
次の瞬間、猫はにゃーといって人間の大人の女性に変身した。
「クリス!大変よ。月が……、月が、落ちるわ」
「え?」
♦︎♦︎♦︎
「どういうことだ、キャサリン。月が落ちるって?」
キャサリン。キャサリンだ。なんだかひどく懐かしい。少しも変わっていない。いや、少し疲れている感じがする……。
部屋の中に入って、お茶を沸かし、テーブルを挟んで向かい合って座る。
「そうね。順を追って説明するわ。バサラが魔王になって、あなたが地球に帰ってから……。バサラは魔王の宝の力を使ったの。その力で、魔界を改造しだしたのよ。月ごとね」
「月ごとって……。そんなことできるのか?」
「できるのよ。あの宝の力ならね。それで……月の改造はできたのよ。超高性能の惑星型兵器。でも、操縦がバサラにはできなくてね。彼女、機械音痴だから」
「惑星型兵器……。本気でそんなもの作ったのか。大方、操縦の仕方を間違って月を地球に落としてしまったとかだろう?」
「その通りよ。お願い。クリス。あなたの力を貸して。月を止めて欲しいの」
ぼくはポケットに入っていた、魔法のライターを撫でた。
「いいだろう。でも、月を止められたら、ぼくを魔王にしてくれないか?やっぱり、バサラには任せられないよ」
「いいわ。バサラにも認めさせる。力づくでもね」
「よし。交渉成立だ」
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