悪役令嬢は呑んだくれ放浪の旅に出たい

はるみ

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2.レモンハイくださぃ

酒でも呑まないと聞いていられない話 その2

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これから迎えるであろう、昼ドラも真っ青のドロドロ愛憎劇な未来に途方に暮れ呆然としている私に、息巻くキールが更なる追い討ちをかけてきた。

「お姉様、それだけでは無いのですっ!」


まだ、あるんかぃw
なんか笑えてきました。


「主人公と恋仲になる相手、ゲームでいう攻略相手は第一王子だけでは無いんです!他、2人いますっ!!」


まだ2人もいるんかぃっwww


「その2人、どの相手と主人公が結ばれても、お姉様は死亡、良くて修道院送りに成るんですっ!!」


お先真っ暗かぃっっっwwwwwwww


そんなあまりの強い衝撃に頭の中が真っ白になり白目を剥いている私の両肩を掴み、力強くキールは宣言した。

「でも安心してください!『おつ糸』の全てのルートを攻略した自分に任せてください!必ずや、お姉様の全ての破滅フラグをへし折り、お姉様の平和な明るい未来を約束しますっ!!!」


あ・・・、キールの背面に後光が視える。。。
キールが仏様に視える。
言っている台詞が、どっかの政治家の街頭演説みたいだが。。。


「神様、仏様、キール様、何卒この哀れな子羊を、どうか平穏な未来へお導きください。」

私は両手を合わせ、深々と頭を垂れてキールを拝み、救いを求めた。


「お姉様、そんなに畏まらないでください。僕はただ、お姉様の力になりたいだけなんです。早速、破滅フラグをへし折る為の対策会議を行いましょう。」

キールの温かい言葉に、思わず目から汁が溢れそうになった。


その後の『破壊フラグへし折り計画』会議により大まかに決まった事項は以下の通りである。


・攻略対象その1
 第一王子、ギムレット の場合
 カシスとは婚約者同士の関係。
 ギムレットはカシスに対して主人公が現れるまでは、ただの婚約者としてしか認識をしておらず、特別な感情を抱いていなかった。
 一方カシスは、初めてギムレットに出会った時に一目惚れをし、常日頃よりギムレットに付き纏ていた。
 しかし主人公と出会って以降、ギムレットは主人公に対して嫌がらせを行うカシスに徐々に嫌悪感を抱いていく。
 
 ギムレット攻略成功後のカシスの末路は薬殺刑。

 →このキャラの破滅回避対策としては、絶対に婚約者にはならないこと。あとは極力関わらないこと。
元々この世界で誰の婚約者にもならないと決めていたので問題無し。


・攻略対象者その2
 第二王子、マティーニ の場合
 カシスは第一王子の婚約者にも関わらず、第一王子と同様に皇太子になる可能性がある第二王子にもちょいちょいと言い寄っていた。その事でマティーニより煩わしく思われ嫌われていた。カシスの嫌がらせを恐れ、どの令嬢もマティーニの婚約者になろうとはせず、婚約者はいない。
 
 マティーニ攻略成功後のカシスの末路はギムレットの場合と同じく、薬殺刑。
 
 →このキャラの破滅回避対策としては、とにかくマティーニに関わらないこと。認識されない程に関わらない事が◎。


・攻略対象者その3
 侯爵嫡男、キール・コアントロー の場合
 なんと我が義弟キールも攻略者だったとは。。。
 養子に出される前も後も家族愛に恵まれず、必要以上に他人に関わらないように生きてきたギムレット。カシスとは互いに干渉し合わない関係だった。しかし主人公からの愛により次第に心を開き、カシスからの嫌がらせから主人公を守る為、カシスに制裁を加える。

 キール攻略成功後のカシスの末路は王国の果て国境にある修道院送り。

 →このキャラの破滅回避対策としては、、、、、

「対策は必要無いんじゃないですかね。だって僕は絶対お姉様を裏切らないし。それに主人公、生理的に気持ち悪いし。」

はっきりと言い切るキールに、まだ少し心配な私は尋ねた。

「うん、、確かにキールは私を裏切らないと信じているけど。。だけど主人公のことをもし好きになって、私のことを邪魔に思っ・・・
「絶対にありません!!」」

強くキールに否定されてしまい、キールに関しては『対策の必要は無し』と決まった。


「いずれにしても主人公が現れたらお姉様は絶対に主人公を構わないようにしてくださいね。僕もそうしますから。」

「イエッサー!!」

私はキールに敬礼を行った。

私の明るい未来『呑んだくれ放浪』は、この世界『おつ糸』を全て把握するキールのサポート無しではありえない。


・・・・そういえば・・・・・
キールの場合の破滅末路は国境の修道院。。。
修道院・・・修道院・・・・

そう言えばコニャック王国の修道院では酒を作っている。


私はそっとキールの服の袖を引っ張り伝えた。

「もし修道院に送りたくなったら、コニャック王国との国境の修道院にしてね。そこではきっとお酒作ってるから。」


「だから僕はお姉様を修道院になど絶対送りませんっ!!」

キールは声を荒げて叫んだ。




 

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