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呪いの鎧武者
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「大体の事は今、保が伺ったようですが、あと一つだけ私からも質問があります。その鎧武者以外に、何か不審なモノを見たり、気付いたりした事はありませんか?」
「不審なモノ、ですか?」
「そう――例えば何か、いつもと違っていたモノとか」
眉を寄せた佐藤は、目を閉じて真剣に思い出そうとしていた。そして小さく「あっ」と声を出すと、依羅さんを見上げた。
「何か――ええ、確かに何かがいつもと違っていました。だから、校舎が気になったんだと思います。でも、凄く感覚的なモノだったのでそれが何かまでは……。あと、いつもと違う事といえば、黒い車でしょうか」
「ほう、車……」
「はい。鎧武者を目撃して逃げ出した時に、裏門の角を曲がった所で停まっていた車に、ぶつかりそうになったんです。いつもは、そんな所に車なんて停まっていません」
「ふん」
チラリと松岡と視線を交わし合った依羅さんは、佐藤に向かって告げた。
「では明日の夜から、調査を開始いたします。結果が出次第、綾香さんを通して連絡させていただきますので、お待ち下さい」
「私も行く!」
突然ガタンッと立ち上がった綾香に、全員の驚いた視線が注がれた。
「明日の夜って事は、校舎に忍び込むつもりでしょ! 松岡、私も連れてって」
「綾香っ!」
目を剥いた友也さんに、彼女は見向きもせず更に言葉を続けた。
「お母さんになら、お兄ちゃんの所に泊まるって言えばいいし、私幽霊とか信じないから、全然平気!」
「馬鹿! お前何言って――」
語気を荒げた友也さんに、依羅さんが制するように右手を一振りした。それだけの動作であったが、その場にいた俺達全員の注意を惹きつけるには、充分だった。
「恐れ入ります、子羊。依頼されたからには、こちらの指示に従っていただかねば困りますね。お聞き入れ願えないのでしたら、残念ですがこの依頼、お引き受けし兼ねますが」
佐藤を見つめながら薄く微笑んだ依羅さんに、綾香の顔が蒼ざめた。その笑顔はいつもと変わらぬように見えたが、体から出す威圧的な雰囲気はいつも以上で、決して反論は許さなかった。
「……ごめんなさい」
これ以上ないくらいに消沈した彼女は、その後もずっと元気がなかった。
「不審なモノ、ですか?」
「そう――例えば何か、いつもと違っていたモノとか」
眉を寄せた佐藤は、目を閉じて真剣に思い出そうとしていた。そして小さく「あっ」と声を出すと、依羅さんを見上げた。
「何か――ええ、確かに何かがいつもと違っていました。だから、校舎が気になったんだと思います。でも、凄く感覚的なモノだったのでそれが何かまでは……。あと、いつもと違う事といえば、黒い車でしょうか」
「ほう、車……」
「はい。鎧武者を目撃して逃げ出した時に、裏門の角を曲がった所で停まっていた車に、ぶつかりそうになったんです。いつもは、そんな所に車なんて停まっていません」
「ふん」
チラリと松岡と視線を交わし合った依羅さんは、佐藤に向かって告げた。
「では明日の夜から、調査を開始いたします。結果が出次第、綾香さんを通して連絡させていただきますので、お待ち下さい」
「私も行く!」
突然ガタンッと立ち上がった綾香に、全員の驚いた視線が注がれた。
「明日の夜って事は、校舎に忍び込むつもりでしょ! 松岡、私も連れてって」
「綾香っ!」
目を剥いた友也さんに、彼女は見向きもせず更に言葉を続けた。
「お母さんになら、お兄ちゃんの所に泊まるって言えばいいし、私幽霊とか信じないから、全然平気!」
「馬鹿! お前何言って――」
語気を荒げた友也さんに、依羅さんが制するように右手を一振りした。それだけの動作であったが、その場にいた俺達全員の注意を惹きつけるには、充分だった。
「恐れ入ります、子羊。依頼されたからには、こちらの指示に従っていただかねば困りますね。お聞き入れ願えないのでしたら、残念ですがこの依頼、お引き受けし兼ねますが」
佐藤を見つめながら薄く微笑んだ依羅さんに、綾香の顔が蒼ざめた。その笑顔はいつもと変わらぬように見えたが、体から出す威圧的な雰囲気はいつも以上で、決して反論は許さなかった。
「……ごめんなさい」
これ以上ないくらいに消沈した彼女は、その後もずっと元気がなかった。
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