君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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白い影

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 感情の籠らない低い声を出した隆哉に、秀行が眉尻を上げた。グイと顔を近付けて歯を食いしばり、こちらも負けぬ程の低い声をノドの奥から絞り出す。

「巻き込むも何も、お前が発端だろう」

「俺が? どーして?」

「お前に関わるまで、こんな事はなかったんだ! なんだこれは! 何かの悪戯のつもりか?」

「悪戯?」

「ちょ…、ヒデ?」

 友人のあまりの憤慨ぶりに、訳が解らず彬が止めに入る。周りを行く生徒達が、不穏な空気に自分達を避けて通って行った。

「やめろよ」

 声を顰め言った彬に、怒りを含んだ秀行の視線が向けられる。

「邪魔をするな。お前も、何平気な顔してんだ」

「どーしたんだよ? 落ち着けって」

「うるさいッ」

 掴み掛からんばかりの勢いに、仕方なく二人の間に割って入る。二人の胸を押し遣って、なんとか引き離した。


『とらないで!』


 途端。

 彬の耳に幼い子供特有の、甘ったるい舌足らずな声が響く。

「なっ!」

 弾かれるように手を引っ込めた彬の肩を、トンと隆哉の両掌が受け止めた。目を見開いて秀行を凝視する彬の瞳に、白く小さな人影が映っている。
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