君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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白い影

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 それは先程視た時のあやふやな影ではなく、今やはっきりと姿を現していた。隆哉の言う通り、四、五歳程の女の子。ドレスのような白い服に、人形のような愛らしい顔つき。しかしその女の子は、日本人とは思えぬ銀髪をしていた。ウェーブがかった長い髪が、フワフワと揺れている。

「なっ……」

 絶句する彬に、後ろの隆哉が囁いた。

「ねぇ、視えた?」

「あ、ああ」

「どう思う?」

「どうって――日本人じゃねぇのか?」

 秀行の左肩に両手をついた女の子の顔は、確かに日本人顔。しかしその白い肌と銀の髪は、日本人には似つかわしくないシロモノだった。

「…………」

 無言の隆哉に、振り返る。すると隆哉は、彬の肩から手を放して肩を竦めてみせた。そうしてゆっくりと、首を横に振る。

「解んない」

「だよな? 顔と言葉は日本人っぽいけど、銀髪ってのがなぁ」

「じゃなくて、訳が解んない」

「は?」

 彬をチロリと見下ろすと、隆哉は顎に手をあて視線を逸らせた。

「だって。俺が昨日まで視てたのとは、違うんだもの」

「は? ちょっと待て。――それって……また別の霊って事か?」
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