最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第七章 チェルシー危機一髪!

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ハルベルトたちは、日輪熊の毛皮を奪うように受け取ると、早々にこの場から去っていった。

残された神木公平たちは、暫く誰も言葉を発しなかった。しかしやがて、チェルシーが神木公平と佐敷瞳子の方に身体を向けた。

「本当に、何から何までありがとですーっ!」

そう言って深々と頭を下げる。

「しかも、あんなに貴重な素材まで…どれだけ感謝しても感謝しきれないですー」

「そんなに凄い素材だったのか、アレ?」

「と、当然ですーっ! もしかして、ご存知なかったですかー?」

神木公平の「へー」と感心する姿を見て、チェルシーは思わず声を張り上げた。

「元々個体数の少ない魔獣ですが、やっぱりその強さですー。普通なら10人くらいは必要ですー」

「そ…そーなんだ」

その説明を聞いて、神木公平はチラリと佐敷瞳子に目を向ける。あのとき佐敷瞳子に絶対勝てると太鼓判を押されたので、そこまで強い魔獣だとは思ってなかった。と言う事は、この籠手の能力がそれ程強いと言う事になる。

「公平くん、どうか…した?」

神木公平からの視線に気付き、佐敷瞳子が不思議そうな声を出した。

「いや、瞳子がいてくれて良かったなと思ってさ」

「ふへ…っ⁉︎ 何で、急に…そんな?」

その瞬間、シュボンと佐敷瞳子の顔が沸騰する。

「急に…って、何度も言ってなかったか、俺?」

「ハハッ」と笑う神木公平を見て、佐敷瞳子は恥ずかしそうに顔を伏せた。

「あ、あのー…」

そのときチェルシーが、気まずそうに口を開く。

「お二人は、どー言う関係なんですかー?」

   ~~~

「そーですか、幼なじみさんですかっ」

何やら弾んだ声で安堵の息を漏らすチェルシーを、佐敷瞳子が怪訝な瞳でジッと睨む。

それから神木公平の背後にそっと近付くと、彼の右袖をちょこんと摘んだ。

「ん…どうした、瞳子?」

「何でも…ない」

気付いた神木公平が何事かと振り返るが、佐敷瞳子は口を尖らせ、やや不満そうに顔を伏せた。

そうして3人は、馬車を走らせ帰路に着く。

裏門を抜け中の広場に戻ってくると、一台の馬車を中心に、大勢の人が集まり騒然としていた。

神木公平たちは馬車を降り、何事かと遠巻きに様子を伺う。すると不意に、横から声をかけられた。

「そろそろだと思って迎えに来たが、思ったより遅かったな」

「あ、メイさん、ただいま戻りました」

現れたメイに気が付いて、神木公平はパッと走り寄って頭を下げる。

「で、ソッチは?」

頭の後ろで両指を組みながら、メイは興味深そうに見慣れぬ少女を観察した。

「あ、初めまして、チェルシーです」

チェルシーが、青色ワンピースの裾を両手で摘んで、ペコリとお辞儀する。

「ふーん」

メイは何やらニヤニヤしながら、意味深な表情でチェルシーに右手を差し出した。

「私はメイだ、ヨロシクな」

「アッチで何かあったんですか?」

握手を交わす二人を尻目に、神木公平が人集りを眺めながら疑問を口にする。

「ああ、何でもスピアー家のお坊っちゃんが日輪熊を討伐したとかで、それはもう大騒ぎさ」

あまり興味も無さそうにメイが答えたとき、不意に周囲を大勢の人々に囲まれた。一体何事かと神木公平が焦っていると、人集りの一角がパッと別れて道が開ける。

「よくもまあ逃げ出さずに、堂々と帰ってこれたものだな」

そのときハルベルトが、その道を通って悠然と姿を現した。
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