最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

文字の大きさ
102 / 114
第十二章 指名依頼

102

しおりを挟む
「そこまで言うならチェルシーに、薬草園の管理を頼もうかしら?」

「わ、私はこれから任務なんですっ!」

なんて母娘の争いを横目に、レティスが神木公平へと目線を改める。

「あの調子では仕方ありませんね。コーヘーさん、出来ればメイ殿の方に…」

それからメイへの繋ぎを依頼しようと口を開いたその時、応接室内にノックの音が鳴り響いた。

「あら、何かしら?」

それに気付いたグレイスが、小首を傾げながら扉を開く。すると組合本部の男性事務員が、背筋を伸ばして立っていた。

「どうかしたの?」

「あ、はい! 騎士団所属のアイゼン殿が、レティス殿への面会を申し出ております」

「アイゼン隊長が…?」

事務員の報告を聞いて、レティスがゆっくりと立ち上がる。

「一体、何の用でしょうか」

「…お通ししても?」

「そうですね。宜しくお願いします」

グレイスからの念のための確認に、レティスは姿勢を正して頷いた。

~~~

「お話中、失礼する」

現れたのは、面長の精悍さ溢れる四角顔に黒い短髪の男性。広い肩幅、厚い胸板の身体には鉄色の甲冑鎧、カーキ色のスラックスに黒のブーツ、背中には白いマントを纏っている。

「どうかしましたか? アイゼン隊長」

「は! あの…」

「構いません」

アイゼンは一瞬、躊躇った様子を見せるが、レティスに促され再び背筋をシャキッと伸ばした。

「水晶湖に配置した守備隊より、急ぎの報せがありました」

「まさか、また魔物が現れたのですか⁉︎」

「あ、いえ、それが……突然現れた不審な少女を保護したとかで…」

「少女…ですか?」

あまりに想定外の展開に、流石のレティスも言葉に詰まる。

「はい。それで…その少女が言うには、今度は魔族が直接乗り込んでくるから、この程度の防衛網では絶対に守り切れないと騒いでいるらしく…」

「何者なのですか?」

「分かりません。ですが自身を、エルアーレと名乗ったとか」

「エルアーレだって⁉︎」

邪魔にならないよう静かに様子を伺っていた神木公平は、そこで思わず素っ頓狂な声をあげた。

~~~

「コーヘーさんの、お知り合いの方ですか?」

「いやまあ、お知り合いと言うか…」

レティスから驚いたような表情を向けられ、神木公平は困った顔で苦笑いを浮かべる。

「前に一度、会った事があるんだ」

「どういった方ですか?」

「俺もよくは分からないけど、なんか不思議なヤツだった」

何とも要領を得ない神木公平の返答に、レティスは考え込むように瞳を閉じた。それからパッと両目を開くと、佐敷瞳子へと向き直る。

「ひょっとしてトーコさんなら、何かご存知なのではないですか?」

レティスのその真剣な眼差しに、佐敷瞳子は思わず顔を伏せた。

そのまま隣りに座る神木公平の左袖を掴むと、

「に、人間…でも、魔獣…でも、魔物…でもない、赤い……タグ」

ボソリボソリと口を開いた。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

冷遇された聖女の結末

菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。 本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。 カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...