中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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第2章

星の郷 7

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森の中を暫く進むと、水の流れる音が聞こえてきた。どうやら川が近いようだ。

「警戒してください。対岸に黒帝狼がいます」

セーレーの言葉に全員の足が止まる。

「どんな魔物?」

初めて聞く名前に、アイが念のため確認する。

「所謂『中ボス』クラスの存在で、盲目攻撃を行いますので注意が必要です。逃がすと厄介なので必ず討伐してください」

セーレーの説明は簡潔だが、事の重大性はヒシヒシと伝わってきた。

アイたちは慎重に進み川辺に近付く。

マナノ川は、幅が5m程あり水量もソコソコ流れていた。歩いて渡るのは苦労しそうである。

ちょうどその時、正面の対岸に、馬ほどもある黒く大きな影が現れた。黒帝狼だ。

黒帝狼はアイたちに一瞥をくれると、喉を反り上げながら「ウォオー」と吠えた。

同時に黒帝狼の足元に4つの魔法陣が描き出され、それぞれから1体ずつ灰色狼が出現する。

「魔物を呼んだ!」

「逃がすと厄介…なるほどね」

アイとおキクはセーレーの言葉の意味を理解した。直ぐさま装備武器を召喚する。

それが合図であったかのように、4体の灰色狼が川を飛び越えてコチラに襲いかかってきた。

黒帝狼に動く気配はない。こちらをジッと見据えて様子を伺っている。

先頭で襲ってきた灰色狼を、おキクが一刀のもとに斬り裂いた。その隙を狙って背後からおキクに飛びかかった1体を、アイが空中で撃ち落とす。

残りの2体は距離をとって、紅い瞳でこちらを睨みつけていた。どうやら警戒をしているようだ。

「アイ、黒帝狼を倒さない限り終わりません。木のバレットの使用を推奨します」

「だね」

セーレーの言葉に頷くと、アイは身近にある木の幹に触れる。

「バーストバレット」

魔法陣から浮かび上がった正四面体を、アイは透かさず掴み取った。

時を同じくして、おキクがカタパルトで一気に間合いを詰め、正面から1体を突き刺す。そのまま両手剣を横に薙いで、もう1体を斬り裂いた。

おキクの様子を確認し終わってから、アイは特殊弾を装填する。同時に短銃が輝きを放ち始めた。

そのとき、黒帝狼が再び吠えた。喉を天高く反り上げ、確かに吠えているのだが…その啼き声が全く聞こえない。

次の瞬間、耳の奥でキンと音が鳴り響き、アイの視界が突然ブラックアウトした。

「…え?」

キンとして暗転…

この一連の流れに、アイは狼狽えるより先に、思考があの日の自室の中に飛んだ。

   ~~~

「何コレ…どうなったの?」

突然、亜衣の耳の奥がキンと鳴ったと思ったら、ゲームの画面が真っ暗になった。プレイヤー情報がそのまま表示されているので、テレビが消えた訳ではないと後から気付く。

「この難易度になると使ってくる、あの敵の特殊技なんだ。プレイヤーを盲目状態にしてくる」

横に座る伊緒が冷静に答えた。

「こんなの、どうしたらいいのよ!」

「あの敵はとても用心深いんだ。だからコッチが盲目になっても、すぐには攻撃してこない。大体30秒ってトコかな」

伊緒は「ちょっと貸して」と亜衣からガンコンを受け取ると、真っ暗な画面に狙いをつける。

「盲目は1分くらい続くから、30秒を過ぎるとヤラレほぼ確定。だから味方のナビを頼りに敵を見つけて、動き出す前に倒す」

『ソコです!』

ナビゲーターの女性の声が画面から響いた。同時に伊緒はガンコンの特殊ボタンを押す。

「銃を向けたら動き出すから、見つけたら速攻でボム攻撃」

その瞬間『ミッションクリア!』の表示とともに、画面が通常の状態に戻った。

「次、私やる!」

亜衣の瞳がヤル気で光り輝く。

「どうぞ。慣れるまでは時間がかかるよ」

伊緒は上から目線でニヤリと微笑んだ。

   ~~~

「神経系への攻撃です。アイの視神経が一時的に麻痺しています」

セーレーの声で、ブラックアウトの原因が敵の攻撃だと気付く。

「みんな落ち着いて!すぐに治るから大丈夫!」

アイは直ぐさま、狼狽している全員に向かって声を張り上げた。

「だけど、このままじゃ…」

おキクが言葉を詰まらせる。その後の現実を口に出すのを躊躇った。

「私がなんとかする!だから皆んなは、そのまま動かないで!」
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