中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

文字の大きさ
88 / 98
第3章(続き)

斬岩刀を持つ漢 1

しおりを挟む
黒地竜との激闘を繰り広げた翌朝、アイたちがエリサの元に訪れると、ターニャとエリサが会話をしていた。

「おはようございます」

フランが代表でふたりに挨拶をする。

「よお!」

「あ、おはようございます」

ターニャとエリサが挨拶を返した。

「身体は何ともないか?」

少し心配そうにターニャが3人の様子を伺う。

「大丈夫、何ともない」

アイが両腕で「力こぶ」を作りながら、満面の笑顔で答えた。

「改めて礼を言っとく。アリガトな」

そんなアイの素ぶりを見て、ターニャが口を大きく開けて笑った。チャームポイントの白い八重歯がキラリと輝く。

「そんな、お礼だなんて…」
「ターニャ殿ぉぉおお!」

そのとき、おキクの言葉をかき消すように、詰所のロビーに男性の声が響き渡った。

ロビーにいた全員が、詰所の入り口に現れた男に何事かと注目する。

「この声は…」

ターニャはうな垂れるように俯き、眉間を右指でそっとつまんだ。

男の身長はおキクと同じくらいだが、ふっくらしたお腹の、丸めのオッサンであった。ボサボサに跳ねた黒髪は肩口まで伸びている。黒色の細い目と鼻の下に生えたハの字形のちょび髭。紺色の小袖に白い袴、裏地に鉄糸が編み込まれた赤い羽織を上から羽織っていた。

「何故、某を連れて行ってくださらなかったでゴザルか!」

男はアイたちのことなど気にも留めず、一直線にターニャに詰め寄っていく。

「黒地竜など某の愛刀『斬岩刀』で、一刀のもとに斬り倒してみせたでゴザルに!」

言いながら男は背中に背負っている、自身の身長を超える程の大剣バスターソードの柄を、右手の親指でトンと突いた。

「あー、すまなかったな、ゾンボル」

ターニャはゾンボルの気迫に気圧されながら、しかしどこか棒読みな感じで謝る。

「お前の姿を見つけることが出来なかったもんで仕方なくな」

「くっ…確かに。先日某は、噂の聞き込みのためにタルノ市にいてた故…」

「あのー…」

おキクがおそるおそる口を挟んだ。

「おや?誰でゴザルか、この少女たちは?」

ゾンボルが、初めて気が付いたかのように、おキクたちに目を向けた。

「ゾンボルさん、こちらがターニャさんと共に黒地竜を討伐した皆さんですよ」

エリサが少しムッとした表情で紹介する。

「ああ、C級の…」

ゾンボルが見下すような視線を向けた。

「某は冒険者のゾンボルでゴザル。ターニャ殿の右腕と言っても過言ではない漢でゴザル」

「そんなこと、認めた覚えはねーがな」

ターニャが「けっ」とソッポを向く。

(そういう感じの人なのね…)

おキクは残念そうにゾンボルを見た。

「あーこういう人、いるいる」

アイは包み隠さず「アハハ」と笑った。

   ~~~

「で、何しに来たんだよ?」

ターニャは面倒臭そうに、ゾンボルの顔を見た。

「それはもちろん、誰がターニャ殿の右腕に相応しいか、そこのC級に思い知らせに来たでゴザルよ」

「はあ?」

ターニャが心底嫌そうな表情になる。

「面白そう!どんな勝負をするの?」

しかしアイが、その話に食い付いた。

「オモシ…」

ゾンボルは「コホン」と咳払いをする。

「実は昨夜のうちに、軍がヨーケバ城跡に簡易拠点を築いたでゴザル。そこで情報収集してから、次のことは考えるでゴザル」

「アバウトな話だなー」

ターニャが肩を落としてゲンナリした。

「いーよ、やろーやろー!」

アイは完全に楽しんでいる。

おキクとフランは思わず顔を見合わせると「ま、いっか」と笑い合った。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...